産業バンクかわさき
イベント報告 イベント情報 イベント報告 調査・刊行物 川崎市の商工施策概要 TOP
 



若手技術者の登竜門として20年にわたり開催してきた、かわさきロボット競技大会(愛称:かわロボ)。20年を機にこれまでの大会の歴史をまとめ、今後の20年に向けた記念事業(かわさきロボット競技大会集団戦、記念講演・パネルディスカッション、交流会)が、12月7日に川崎市産業振興会館で実施された。
第二部のパネルディスカッションを中心にお伝えする。

目次

20周年記念事業は、<第1部>かわさきロボット競技大会集団戦、<第2部>記念講演・パネルディスカッション、<第3部>交流会の3部構成で行われた。

挨拶 公益財団法人川崎市産業振興財団理事長 曽禰純一郎氏

記念講演

テーマ:高専ロボコンと技術者教育

講師:福島工業高等専門学校名誉教授 佐東信司氏

1.パネルディスカッション

[ テーマ ] かわさきロボット競技大会20周年のあゆみ〜若手技術者と社会の関わり

コーディネータ :

  • 神奈川大学工学部機械工学科 教授 山崎徹氏

パネリスト :

  • NPO法人子どもモノづくり教育支援事業団 代表理事 佐藤晟氏(大会実行委員長)
  • 東京エレクトロニックシステムズ株式会社 機械設計部 弓納持充代氏(第1回大会から参加。過去最多優勝チーム)
  • 公益財団法人川崎市産業振興財団 産業支援部長 櫻井亨氏(第1回大会企画・運営担当)
  • 福島工業高等専門学校 名誉教授 佐東信司氏
  • 公益財団法人川崎市産業振興財団 事業推進課 塩川克久氏(事務局)

はじめに、山崎コーディネータより、
「かわさきロボット競技大会が20年になったことで、これまでの20年を振り返ると共に、これからの20年、すなわち若者の育成について、パネリスト、会場の方、特に若者と共に考えていきたい」とパネルディスカッションの目的と狙いについて説明があった。

かわロボ開催のきっかけ

櫻井氏
「第1回大会を行ったとき、かわロボが本当に20年も続く大会になるとは思いませんでした。きっかけは、22年前。当時はバルブ期で、当財団で開催していたある研究会の経営者の方から、「実はうちの社員がやめてしまって困るんだ」という話を伺って、なんで辞めてしまうのかを聞くと、「自分たちが作った物が、大きな声で自分が作ったと言うことを言えないんですよ。しかも3K、モノづくりの現場は暗い・カッコ悪いと揶揄されて、私達の職場から若い子がいなくなってしまう」というお話を聞きました。
それと平行して、佐藤晟先生を主体としてロボット技術研究会という研究会も開催しており、研究会ではロボット技術を学ぼうということで、中小企業が作ったロボットが戦って、そのロボットはそんなに強いのか。そんな技術を持っているのかということを世の中に知ってもらいたい。強いロボット=技術力No1を決める大会をやろう。また、第1回目が、たまたま市政70周年とも重なり、かわさきロボット競技大会というのは、ロボットのエンジニアの人の力を示して頂ける場にしたいと開催したのが『かわロボ』の始まりです」

開催の経緯

佐藤晟氏
「私の研究テーマはヒューマノイド型のロボットで、当時(1968年位)は、「不可能だ、止めろ、なんでこんなことやるの?」とか言われた時代でした。ロボットという名前を使えず、人工の脚というテーマで隠れてやっていました。
それで1993年の時に財団のほうからロボコンをやりたいという話がありました。当時、日本相撲ロボット競技大会というのをやっていて、一対一のガチンコ勝負、本能を刺激するような競技会をやったら面白いんじゃないかということになり、かわロボバトル競技会ができました」

参加者の立場から

弓納持氏
「第1回かわロボの時、私は入社4年目くらいで機械設計をやってまして、会社の社内報を作ってる方から、川崎市で面白そうな大会があるよ、ネタになるから出てみてくれと言われ、それで出場したのがきっかけです。
とにかく第一回目の大会はものすごく注目されていた大会だったんですね。たまたまそこで優勝してしまったので、だいぶ僕の人生も変わったのかなぁと思いますけど。朝日新聞の一面にロボットが戦っているシーンが掲載され、あらゆるメディアが歩くロボットがバトルをする、それは世界初だと言う事で、非常に注目された大会でした。私もいろんなインタビューやテレビに出たりしました。逆に一回目優勝してしまったものですから、二回目もがんばらないといけないなと勉強しまして、仕事も機械設計ですし役に立つだろうと、いろんな機構を勉強しました。当時、歩くロボットというものは参考にするものがなかった。今では二足歩行や、かわロボであればいろんなパターンの機構がインターネットで判るようになってますけど、自分でいろんな文献を調べたり、三次元CADなんかなかった時代ですから、紙で作ってクルクル回してみたり、第1回大会ではいろんな人のロボットをみて、あれは素晴らしいなぁ、あれはすごいなぁと。今では仕事で機械設計の部隊を取り持つようになって、仕事を自分で取ってこなければいけないんですが、そうした時にこれから新しい開発がある、ロボットの開発ができるような人に是非設計してほしいと依頼が結構あります。ロボットができるなら総合力が高いだろうと世の中の方がそういう認識をしてくれていて、更に新しい仕事が入ってくるというもありますし、好きなロボットの設計が仕事になれば、夢のある仕事ができる事があるんじゃないかなと思います」

若者への教育

佐東氏
「ロボットに興味ある学生たちは、やはりロボット作りをしたいと来るわけですけど、機械工学科にしても他の学科にしても、モノづくりは全部の学科でやっているんですね。
例えば、一番モノづくりと縁遠い化学系の物理工学科があるのですが、物理工学科でもモノづくりがわからないとダメだろうと言うことで、ライントレーサー等、電機の回路の事を勉強しなければいけないと言う事で取り入れて、今、教育をしています。非常に幅広く学科横断型の形でやっている。只、それを真面目にそれだけやっていくとみんな疲れてしまうので、興味を入れて楽しみながらやらせていると、結構放課後にも実習工場にきて、技術職人の人を捕まえて作っていたり、やはりモノづくりと言うのは楽しみながら、自分が率先してやって行けるような環境を作りながらしないといけない、押し付けがましい教育ではなかなか育たないんだろうと思います。
今、他の高専のほうでも学科を全部取っ払ってしまって、同じような事を基礎教育として学ぶということが、かなり広がっていますので、そういう横断的な教育がやはり必要ですね。社会に出てからも、そういうのはかなり役に立つと思う。ですから、嫌いだからやらないという事は、たぶん嫌なことがあったんだと思うんですよ。年間10回くらい、いろんなイベントで作った物を多くの人たちに見せてあげる、学校の教室で展示したり、小中学校にいって見せたりすれば、学生にとって非常に楽しいことなんですよね。例えば、自分の母校に行って、そんなことができたらきっと嬉しいですよね。そういういろんなイベントを作ってあげて、学生を褒めてあげて、学生が楽しみながら前向きになれる事をやってあげるのが重要なんだと思います」

コミュニケーション能力の重要性

続いて、山崎コーディネータが「コミュニケーション」というキーワードをパネリストに投げかけた。

塩川氏
「私もコミュニケーション能力があまり高くないんですけれど(笑)。2005年に新潟県の中越沖地震の被災者支援というのがあり、私は直接担当ではなかったのですが、聞いた話によると、新潟の子供が落ち込んでいるので励ましに行こうと参加チームから提案がありました。何人か集まって泊まり込みで行ってですね、先程の競技のようなデモンストレーションを見せてあげたと。私が担当になって一番よく思ったのは、このロボットのどこがすごいの?と聞くと、子供に対して面白さを教えてあげられると。なんだ、彼らなりにできるなぁと思いました。その後、愛知万博(2005年)に出たり、連連連(2006年〜)のイベントに出たり、横浜から呼ばれてデモにいったりして、お客さんが判るように伝えるにはどうしたらいいか自分たちで考えだしているんですよね。私も今まで無口の子が多くて困ったなと思ったんですが、実はそういうのができるんだなと。そういう機会を通して、ちゃんとコミュニケーションが図れるんだなということに気がついてですね、毎年こういうイベントを5、6回やっています」
佐東氏
「やはりコミュニケーション能力というのは重要で、私がやってるモノづくり教育の所ででも、就職するときに学校の中で何が印象に残ってますか?という質問に対して、文化祭とか、そういうことばかり言う学生がたぶん多いんだと思いますけど、そういう時に、モノづくりと言える様な学生を育てたいなと思って、今までやって来ました。そのためには、とにかく発表する機会をたくさん設けるということが必要だと思っています。うちの場合には、1年生のときにはあまりないんですけど、2年生の時にミニ研究というモノを私が作りました。それは、入ってきて2年目にもなると心がたるんできたりするので、嫌いなものをやらせようとしてもダメなんで、好きなモノの研究をさせようとミニ研究をやらせました。なんでもいいんです。自分の趣味でも、文学でも、専門でもなんでもいい。料理という項目を作っていれたんですが、だれも料理をやらなかったんですよね。なので最後の年に私が自分で料理を課題に食材からモノづくりをしようと、キュウリ一本でどれだけの飾り物ができるかやったんです。或いは、海苔巻きでどんないろんな物がつくれるかやったのですが、これは教育だけではなく、生涯教育ですね。やっぱりずっーと作っていけるような、生涯楽しめるような教育もしていかなければいけない。そうすると、子どもたちも喜んで発表会の時にはいろんな人が質問してくれますから。人と触れ合うような教育をしていかなければいけないなと。そしてまた3年生の時には、またこう発表する。4年生の時には、インターンシップにいって全部発表させたりする。5年生では卒業研究の発表があり、低学年の所に行ったら、それを評価する。そういった機会をどんどんどんどん作っていってあげれば、自然としゃべれるようになる。そういった時に司会を一番無口な子に頼むんですよ。そうすると、ほとんど喋ってないんだけど喜んでやるんです。そういう子は、お前やれってほとんど人に言われないんですよ。あ、自分にチャンスが来たって思って喜んでやってくれるんです。そういう風に心配りして、喋らない子にしゃべる機会を周りから作ってあげる。そうすると、非常に良くなるんじゃないかなと思います」
佐藤氏
「かわロボを含めて、エンジニアというのは、だいたい無口ですね。僕もそうですけど、やっぱりその世界にはいっちゃうと、一般の人にアピールする事にあまり興味を持たない。とにかく性能がアップすればいい、相手に勝てればいいと。そして競技会でステージに上がった時に、ロボットの主張をしているんです。俺はこれができるんだよって。
彼らもコミュニケーションはしてるんです。ただ、下手だと言われるだけだと思うんです。だけど僕は、あそこで勝つことを含めて、すごくコミュニケーションをしている気がして、逆に言うと、コミュニケーション能力が必要と企業側が要求するのは、ロボットを侮辱しているんじゃないかと思うんです。力はあるわけですから、それをコミュニケーション能力がないからと、10点から1点や2点差し引く。確かにコミュニケーション能力は今生きていくには必要なことかも知れないけれど、ロボットの時代になったら、それはあまり必要ではないんじゃないかという気がするんですよね。
僕も大学院まで居て、何百人もロボットエンジニアを育てきたつもりですけど、八割くらいはあまり・・・あーだこーだ自分のことを言わないですね。それで研究発表やなんかを議論する時はとてつもなくすごい、主張するわけです。だから、就職する時に人当たりがよく、相手に説明できるわけではないですけど、コミュニケーション能力が無いわけじゃないんです」
山崎コーディネータ
「うちの大学の試みを紹介させていただきます。例えば、就職活動の時に、ひとつの例ですがこういう話がありました。
面接官に「あなたはTOEIC何点ですか?」と問われた時に面接受ける学生の答えはだいたい、「いやー、これから勉強しようと思ってるんです。前回受けてちょっと悪かったので1年勉強してまた受けるつもりです」というそうなんです。
何か気が付きませんか?
何点ですか?と聞いているのに違う話をする。それはうちの研究室で聞いても同じ話です。これ、できたの?できなかったの?と聞くと、いやーなんだかんだなんだかんだと言われます。私は耐えて10秒待つと、うるせ。早く言え!と言ってしまいます(笑)それくらいの質問にもちゃんと答えられない。これもひとつのコミュニケーション能力の欠如だと思うんですね」

人を説得する力の必要性

弓納持氏
「僕は仕事で色んな物を作ったり、ロボットも作ったりしますけど、これを売り込まなければならない時に、自分が設計したロボットの良さを的確に伝えなければいけないんですね。伝えるだけじゃダメで、それを買ってくれる人を説得しなければいけない。説得するためには良さを伝えるためだけでなく、このロボットはこんなことも出来るんですよと、相手が買いたいな、これは使えるなと、そういったことを相手がわかるように伝えなければならない。今、競技大会でロボットを作ってる方は競技でやれば、白黒はっきりするんですけど、じゃ、インタビューされた時に、どこが特徴ですか?と聞かれると、ここですとなかなか上手く説明できない所もあるんですね。苦労した所は説明できるんですけど、その良さはどこで、だから強いんですと言うところまで説明して、あーと納得してもらえるコミュニケーション能力が備わっていれば、ロボットを作りたいときにお金を出してくれるところが現れ、そうすると、また自分の好きな開発ができる。だから、人を説得する能力は非常に重要だと思いますね」
佐東氏
「私も学生たちと色々やってみて驚いたことが色々あったんですけど、東北大会が終わった後に学生たちが東北地区の学生たちに連絡をとって、仙台辺りで、一泊二日で討論会や、うちの学校ではこんな事をしていると言うことを結構楽しんでやるんですね。そこには、場合によっては指導教員も入って下さいと言われる場合もある。関西地区でもやっている。今度、関東地区(東京)ではもっと発展していて、全国どこからでも来てくださいということをやっている。これは全部全員自費なんですね。それでも来るんです。そういうところでいろんな発表をする。コミュニケーション能力を養うっていう事は、学校の中だけでやっていると限られた人達になってしまうけれども、もっと広い範囲の人たちと討論し、自由に意見を話し合う。または、自分の知らない意見を聞く。そういうことを積み重ねてやっていくと言うことは、やっぱり重要なんじゃないかなと思います。どんどん盛り上がって、自分たちで開発したものはみんなに教える。オープンにしていけば良いかなと。かわさきロボコン、今日初めて見させてもらって、私はショックを受けるほど感動したというか、うわ、すごい過激だ(笑)。これは絶対に高専ロボコンではできない。そういう過激さが非常に面白かったです。その中にも、非常にノウハウ的なものもたくさんあるんだと思うんです。そういうことをみんなで集まって、ディスカッションすると良い場が出来るんじゃないかなと思いました」
山崎コーディネータ
「神奈川大学では、今はまだ機械工学科だけですけど(これから工学部になる)、工学部としてやっていこうとしていて、そこには川崎財団、NPO、地元神奈川や東京あたりの企業さんと交流会をやっています。それをやる理由というのは、教員もコミュニケーションできないんですよ(笑)。でも、企業の方は教員に対して興味はないですよね。こっちは、これをやっているんですよと言いたいけど、まったく興味がない。で、一方、学生に対してすごい興味を持っている。なので、最近やっている事は、学生と企業を集めて合コンみたいな事です。教員はなにをやっているかと言うと、外にいて雑談しているだけ。そういうような形の場を作っています。そこにも事務局の塩川さんも参加頂いていますが、そのような場も今後、かわロボの延長線上でなにか考えとかあるんですか?」

企業や外部とのコミュニケーション

塩川氏
「前から実行委員の中で話があったのは、協賛企業からお題をもらって、その規則の中でそれをクリアしていくようなことができないかということ。協賛企業も、今日出ている方もそうなんですけど、学生さんに非常に興味があると感じていまして、例えばロボット製作上で困ったこと等に協力したいと言う企業は結構多いと思います。実際に、ある企業は材料を無償で提供したり、技術協力をしたりしています。企業とそう言ったコミュニケーションを取っていく事は十分可能性がありますね」
桜井氏
「ロボット大会はエレキ担当や技術担当等4つの分類でチームを作って、ロボットを作るということで、コミュニケーションを達成して強いロボットを作るわけじゃないですか。ただ、それはチームのコミュニケーションであり、今度は外部とのコミュニケーションというのは別なんですね。それは別の機会に技術発表という場を作れば訓練されるわけで、コミュニケーション能力を鍛えられて行く。大切な事はそういう風に鍛えられていくことだと思います。
かわロボを企画した際、NHKに行って、川崎でこういう大会をしたいんですとお話したんですね。その時、最初に言われたのが、技術力を目指すなら高専ロボコンを見てください。でも、コミュニケーションをテーマに考えているなら、国際ロボコンを見てください。あれは技術力ではありません。あれは異文化のコミュニケーションをいかに体験して、ロボットを作ることに価値をみているんです。話を聞いてなるほどと思ったんですが、私達は技術を見せる方の大会にしたいと言うことで、今の大会になりました。そういう意味では、コミュニケーションであれば同じメンバーじゃない人たちの組み合わせで大会をするというのも、一つの方法だと思います」
山崎コーディネータ
「うちの大学では、これから学生フォーミラーを立ち上げようとしています。学生フォーミラーEVの電気自動車を今年からやるんですけど、一年目は完走、二年目は準優勝、三年目は優勝と言っています(笑)。ただ、それによって学生自身が自分でお金を稼がなければいけない。そういう所でコミュニケーション力がついてくると思っていす。また、かわロボと別の視点で交流する様な事があれば、うちの学生も成長できるかなぁと思います」

ロボットの技術について、嘘はつかない

佐藤氏
「芝浦工業大学でも20年前に同じような事がでたんです。その時に、芝工大にロボット工学部やロボット学科というのは作れなかったですね。カタカナの学部(システム工学)は日本で初めてなんです。そりゃもう文科省の反対はものすごかったですね。日本でカタカナ学部なんてありえないと言われ、システムとはなんだ。説明しろーって言われるんです。
だから、機械制御システム学科とつけるしかなかったんですね。僕はロボットにしたかった。でも、仕方ないや。ロボットというのは機械制御システム等を全部含んでいる…。ま、そういう名前にしました。電気系ということで、ソフトでは電子情報システム学科、建築系は美術や建物の関係もあるので、環境システム学科と名前をつけても、中身は建築屋さんなんですよね。実にトラウマじゃないですけど、その時にコミュニケーション力で学科名がどうのこうの、学部の定義をしたり説明をしたんですけど、建築系の先生は、なっとらん!と言ってましたね。機械系、ないしは技術系の教員を含めて、卒業生というのはぜんぜんコミュニケーション力は0だとそこまで言われて反論したんですけど、ダメでしたね。その先生になんで建築屋さんはそんなにうまいんだ?と聞いたら、それは騙してるからだ。と言うんです。なぜかと言ったら、建て主さんに建物を売りつけるわけですよね。その時に白で作ってくれって言われても、出来上がった時に黒なる場合があるんで、もう、黒を白と言い含めて買わせてなんぼなんだと。そりゃもう教育を受けてる分野の人たちとは話ができない。やっぱりロボットじゃないけれど、固い技術系の場合にはほんと上手にね、そりゃビジネスとして生きていくためには訓練すれば言い訳ですけど、エンジニアになった時の心構えとして、そちらの能力を高めるのは後で、と思ったんです。ま、トラウマですよ。それで変な話だけど、先進国アメリカとかヨーロッパではあそこのエンジニアは今言われたテーマの中に一つ新しいこと、一つなにか違った考えがあったら、針小棒大で言うんですよ。僕らから聞いたらなんだそれは、と思える。それでその企業の方はコミュニケーション能力があるっていうんです」

最後に山崎コーディネータが
「そうですね、コミュニケーションはキレイ事を言うのかもしれないですね。はったりしろよ!見栄はれよ!カッコつけろ!と。そうかもしれないですね。就職の面接でアピールしろと言われてるのに、弱いものは排除。アウトですね。できるって言っちゃえばいいんですね。そういう事ですね。ロボットの技術については嘘付くな!それ以外はいいじゃないか」と述べ、議論を締めた。

交流会

あいさつ

川崎市経済労働局産業振興部工業振興課 課長 赤坂慎一氏

過去出場のロボットの展示

2.インタビュー

公益財団法人川崎市産業振興財団事業推進課 塩川克久氏

かわロボの成り立ちについて

当時財団では、企業の勉強会「ロボット開発研究会」を芝浦工業大学・佐藤晟先生(現大会実行委員長)のご指導のもと、開催していました。

参加されている企業さんから、「企業の持つ技術を見える形でピーアールできないか」との話があり、先生に相談したところ、大会の企画を提案いただきました。

当大会のロボットは、手脚の構造を持つことが義務づけられていますが、歩行ロボットは先生の専門でもあり、また、当時のロボコン競技としては大変めずらしいものでした。市内にはロボットを製作する技術を持った企業は数多くあり、また「国際ロボパークin KSP」といった関連イベントもありました。

川崎にはこのような技術イベントを開催する素地は当時既にあったと思います。

かわロボに関わった経緯

私は第3回大会から担当しています。当初から人気があり、毎年倍々で参加チームが増えていったのですが、規則の改正や部品の調達、受入体制の整備が追いつかず、苦労した思い出があります。

20年を顧みての感想

最初は動かないロボットが多くてハラハラしていました。

年々ロボットが動くようになり、試合も見応えがあるものになりました。技術力の向上は、製作環境を提供して頂いている企業や学校の支援も大きいと思いますが、なんと言っても、チーム同士仲が良く、情報交換が盛んであることが一番で、これは大会の誇りだと思っています。大会としてもこれを支援するため、技術交流会や発表会等を企画しています。

ちなみに「かわロボ」の愛称は参加チームの間で自然と生まれたものが定着しています。

これからのかわロボについて

かわロボを含めロボコンの良さは、製作や競技を楽しむことで自然と技術が身につくことにあると思っています。また、イベントや学祭等、各地でかわロボが独自に企画・開催されるようになってきています。

我々はあくまで場を提供しているだけで、主役はあくまで参加者だと思っています。参加者を中心に、技術者育成の支援の輪を協賛企業の皆様を始め、関係者の方と一緒に広げていければいいなと考えています。

これからもかわロボをよろしくお願い致します。

◆H26年度 かわロボ開催スケジュール
8月23日(土) Jr.ロボット部門 予選トーナメント
8月24日(日) 決勝トーナメント
◆競技大会の歩み
競技大会の歩み(PDF 643KB)
▲このページの上
  [Home] BACK
産業バンクかわさき