産業バンクかわさき
イベント報告 イベント情報 イベント報告 調査・刊行物 川崎市の商工施策概要 TOP
 



「あーすぷらざ」で公開された実証実験は、施設の壁面や配管、広場などを使って実施された。見学ツアーでは、3つのロボットの実験を順番に見学した。

目次
1.講演会「made in Japan デ セカイへ」(映像ホール)

当日は、「made in Japan デ セカイへ」と題した講演会が行われた。講師は潟Wェイ・エム・シーの上杉北斗氏。

(株)ジェイ・エム・シーは、先端の光造形技術と伝統の鋳造技術を融合させ、試作品から少量量産品まで手がける横浜市にあるメーカーで、医療手技をトレーニングするための製品「monoroid」(モノロイド)を開発。今後、海外展開を目指している。

講演会の様子

2.サービスロボットの実証実験(公開実証)と見学ツアー(施設の壁面や配管、広場など)

○外壁調査診断ロボット 吸盤戦士「のぼる君U」の実証実験…(株式会社小川優機製作所)

比較的凹凸のない外壁(タイル)を有するオフィスビルで、特に人手による外壁調査が難しい高層部の外壁の劣化状況を打音調査できるロボット。

本実験前に、川崎市の公共施設の壁面を利用した実証実験を行なっている。

本実験では、既存の赤外線カメラによる劣化診断との比較も行われた。

実証実験の様子

◆実験目的

  • 外壁調査診断ロボットの実証実験を実施することでロボットの実用化を目指す。

◆ロボットの特徴

  • 壁面を吸着しながら上下に走行する(壁面との離隔が一定)。

  • 3cmの段差越えができる。

  • WEBカメラで打鍵状況を高さ情報と一緒に連続記録する。

  • 搭載された2本の打鍵ハンマーの打音をマイクにて採取し、同時に音圧の高低を判定。地上に設置されたオペレータが監視するモニターには、現在叩いているタイル面と打診棒の位置情報、打音のレベルが映し出され、その映像と音声をDVDに記録。後でその映像を元に健全・不健全を判定、報告書を作成する。(新規「打診音解析システム」を搭載)

◆実験内容

  1. 吸着走行ユニットの走行実験(吸着剥がれ・再吸着操作実験を含みます)

  2. 打鍵ユニットの動作実験

  3. 打診音解析システムの試験評価

  4. ロボット雨天対策装備の実験

  5. 赤外線カメラ外壁調査の実験デモ

  6. 赤外線カメラ調査データと打音調査データとの比較検証(2/7の成果報告会で発表)

◆ロボットの仕様

サイズ W:96cm x H:125cm x D:42cm
重 量 88kg
電 源 AC100V/440W
駆動方式 外付け電動ウインチ牽引方式
制御方式 地上制御装置にて有線制御、画像・音は有線にて地上PC・DVDに採取
搭載機器 WEBカメラ、マイクロホン、ハンマーによるモーター駆動横行打鍵機構

◆今後の予定

外壁調査診断会社と提携し、外壁調査診断依頼者の各種タイル外壁ビルでの実証実験を繰り返すと共に、かわさき・神奈川ロボットビジネス協議会の協力の基に独自の実証実験を推進する。これによりロボットの実用化・ビジネス化を早期に目指す。

○無人放射線観測ロボットCERESのフィールド評価…(明治大学理工学部黒田研究室)

環境放射線の移動観測が可能な無人ロボット走行体システム。ロボットシステムの名称の「CERES(セレス)」は,連続放射線観測ロボットの意の英文の頭文字を取ったもので、同時に、汚染された土地の復活を願い、ローマ神話の豊穣の神の名を冠した。

本実験前に、横須賀市の県有地を利用して、1週間に渡る実験を行っている。

会議室でCERESの実験内容、観測技術などについての説明が行われた。

会議室での説明及び見学者の様子

◆実験目的

  • CERESの機能を確認して、遠隔でのオペレーションにより、観測活動が可能であることを実証すること。

◆ロボットの特徴

  • 太陽電池からの自己給電ができる電源管理システムを搭載し、長期間に亘り、外部からエネルギー供給をせずに長期連続運用が可能なロボットシステム。

  • 携帯回線の利用により、事実上無制限に離れた遠隔地からの遠隔運用が可能であり、現地の画像のみならず気象データ、放射線データ他、必要な科学観測データを送信可能。

  • 搭載したステレオカメラおよび三次元レーザセンサにて地図(地形図)を作成し、自己位置を計測。障害物を判断して、自律で回避しながら走行する機能を有している。

  • この自律機能と遠隔でのオペレーションを統合することによって、効率的な移動探査を行う。

◆実験内容

  1. 新しい遠隔制御による走行機能の試験

  2. 画像,位置および各種センサデータの高速な通信機能の試験

  3. 三次元環境計測機能の評価

◆ロボットの仕様

サイズ L:220cm x W:120cm x H:150cm
重 量 約60kg+ペイロード
電 源 ソーラーセル+リチウムイオンバッテリ
駆動方式 4輪、4個のDCモーターによる独立ドライブ方式
制御方式 無線による遠隔操縦および自律によるハイブリッドナビゲーション方式
搭載機器 ステレオカメラ、IMU、DGPSコンパス、3次元レーザスキャナ、放射線量計、風向風速雨量等気象観測器、他科学観測機器、インターネット接続機能、動画像送信機能

◆今後の予定

2013年度中に以下の実施を予定している。

  1. ソフトウェアのさらなる拡充.自律走行機能の整備

  2. 長期間の完全無人運用試験の実施

  3. より本格的な遠隔観測試験の実施

○背面吸着型全方位移動目視検査ロボットによるスチールダクトの亀裂/腐食等グローバル検査…(株式会社イクシスリサーチ)

橋梁や高架等の床板や工場などの狭隘部点検では、接近目視が困難なため足場を架設しての目視検査やファイバースコープによる画像診断が行われている。

しかし、足場架設には膨大な費用と工数が必要になり、また、ファイバースコープでは撮影箇所の位置特定が困難といった問題がある。

このロボットは、ロボット自身が磁力により吸着し点検検査を行うことができるため、従来は足場架設などの大掛りな検査準備設備を必要としていた箇所において、簡易的な設備でも容易に検査用画像の取得を行うことができる。磁力吸着が可能な箇所であれば、スチールダクト以外でも、橋梁、プラントなど応用範囲も広く、大きな効果を見込んでいる。

本実験前に、川崎市及び平塚市の橋梁、川崎市の京浜コンビナート地区にあるいくつかのプラントで実験を行っている。

実験の様子

◆実験目的

  • 画像取得による亀裂/腐食等の検査

◆ロボットの特徴

  • 検査対象面にロボットを吸着させ、遠隔操縦用のコントロールパッドにより、ロボットの前後左右移動および旋回、カメラのTiltを制御し、検査対象箇所へ接近する。

  • リアルタイムで手元の画面にカメラ映像が映し出され、同時に、高精細な画像も撮影できる。

  • 全方位移動機構により、特定の箇所の亀裂や腐食を、様々な方向から撮影することができ、検査終了後に、撮影された画像を解析することで、より正確な損傷解析が可能。

◆実験内容

  1. 検査ロボットの磁力吸着試験

  2. 全方位移動の試験

  3. 検査箇所の画像・動画取得試験

※以下はオプション

  1. 亀裂・損傷箇所の調査

  2. 取得画像からのパノラマ画像への画像補正実施

  3. 移動機構(位置決め)の評価

◆ロボットの仕様

サイズ Φ350mm x H200mm
重 量 5.5kg
電 源 安定化電源(AC100Vより給電)
駆動方式 三輪オムニホイルによる全方位移動式
制御方式 有線による遠隔操縦方式
搭載機器 一眼レフデジタルカメラ

◆今後の予定

橋梁・プラントなど、磁力吸着が可能な箇所での運用を見込んでいる。

▲このページの上
  [Home] BACK
産業バンクかわさき