はじめに
ロボコンの最右翼にある「かわロボ競技会」書類審査は、ひとつの特徴でもあるのです。
基本的には、かわロボにエントリーしたすべてのロボットに参加して貰いたいとの気持ちがあります(前実行委員会の方向でした)。
問題はエントリーチームが200を超える事態になったことです。この書類審査は有名無実的なルールでしたが、事態の変化にともない、有効な手段として復活?したと思うのです。
かわロボの主旨にある「ロボット技術」の育成に役立てることができるのです。
しっかりしたロボット技術の一つ「ロボット設計」術に道を開きます。
それも、闘うロボット設計です。技術賞が設定できる背景にもなっているのです。
講評
平成19年度「第14回かわさきロボット競技大会」には、過去最高の261チームが応募した。「アームを持った脚機構ロボット」は現時点では非常にユニークなロボコン・スタイルといえる。
脚機構の設計には、エンジニアであれば挑戦してみたいテーマではある。平らなリングを移動するだけならば車輪構造で充分であろうが、凹凸のあるステージには工夫を凝らした機構でなければ闘えない。
かわロボ競技会では、この状況に適した設計がなされているかを書類審査してふるいにかけ、脚機構の進化を促しているのである。
14回までの大会にはロボットの進化を促すため「リング」の変更を度々してきた。
近年に至り、脚の機構も「高速化」を狙って疑似的な車輪機構ではないかと見られるマシン出現し、はなはだ興を欠くと批判されていたやに聞く。
かわロボ参加者の多くの意見をもとに実行委員会では「脚」の定義を再検討した。
レギュレーション上では変更せず「補足」欄に詳細に解説した。要は「脚が往復角運動をすること」である。脚の先に付き接地する「足」だけが往復角運動をするのは認められないとした。
合わせて、バトルをするアームに、ロボットの接地面から高さ20cmのところで、なんらかの作業ができることを条件にした。そのため、戦略的にロボット設計にはアームにも力を注ぐ必要が生じてきたのである。
今大会の参加申し込み書「ロボットの構造概略図」には、注意書きがある。 *************************** @ロボット全体のイメージが分ること A脚構造とその動作が容易に理解できること
Bアーム構造とその動作が容易に理解できること(ロボット接地面から20cm通過が確認できるように)
C粗雑でないこと *************************** ・この注意書きすべてをクリアした書類は261チームの10%以下であった。
・今年3月の技術説明会で、指摘したせいかアームに関するデータを記述した図は261チームの80%強であったが、粗雑な図も多かった。
・脚機構は慎重に審査した。多くはフリーハンドであっても機構図を描いていたが、中には説明文(例えば、スライダーリンクを使う)を添えただけのも散見された。
・多かったのが、全体のイメージが不明な図があることであった。レギュレーション・ブックに記載されていても、全体寸法を手抜きしてはならない。
・スキャナーから取り込んだ写真一枚だけ(なんの説明もない)は、あまりにもさびしい。技術賞も設定されている競技会である、ロボット設計に工夫を凝らした図を提出してほしい。 ・全体を通して、残念ながら「粗雑」の感を免れない。
※稚拙であってもキチッと条件をクリアしているチームもあった。委員諸氏から賛嘆の声が上がったチームの図もある。かわロボ参加者の頑張りを期待したい。
結果 ・合格 155チーム(書類再提出 9チーム) ・B予選 106チーム(うち書類再提出13チーム)
・技術賞 エントリー合格チーム 16チーム
〃 不合格チーム 7チーム
として、事務局より通知を発送した。
第14回かわさきロボット競技大会
実行委員会 委員長 佐藤 晟 |
|