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川崎元気企業調査報告書(川崎 元気本)
掲載企業紹介

株式会社 叶屋

株式会社 叶屋 代表取締役社長 クルーズ 由美子

70年に及ぶ「信頼と技術」で
「夢のエクステリア」を提供する地域密着型企業

代表取締役社長 クルーズ 由美子

事業内容外構工事、ガーデンデザイン、石工事、建材販売、造成工事
企業名株式会社 叶屋
創業1963 年(昭和38 年)6 月
所在地川崎市中原区下小田中6-29-6
電話044-872-7776
従業員16名
代表クルーズ 由美子(クルーズ ユミコ)
URLhttps://www.kanou-ya.co.jp

当社は、外構工事、建材販売など、川崎市・横浜市・世田谷区・大田区を中心とした顧客に、70 年近く培った「信頼と技術」で「夢のエクステリア空間」を提供する企業である。また、女性の活躍推進やワーク・ライフ・バランスの推進に積極的に取り組んでいる企業を川崎市が認証する「かわさき☆えるぼし」に選ばれている。顧客から高く評価される当社の業務内容と今後の抱負について、代表取締役社長のクルーズ由美子氏にお話を伺った。

創業時からの石職人技術ノウハウを
活かした外構工事で顧客を拡大

当社の事業は主に外構工事と建材販売である。一戸建て住宅や事業所等を建築したことがある方はご存知と思うが、そもそも外構とはどういうものか定義を聞いてみたところ、「建物は本体というが、本体以外の構造物が外構」と明確な答えが返ってきた。たとえば、石塀やブロック塀、テラスやアプローチ、車庫やカーポート、柵や垣根などの工事と言えばおわかりになると思う。外構工事は主に川崎市のゼネコン各社様やホームページからのアクセス、顧客からの紹介で受注することが多く、B to Bが70%、B to C が30%の割合で、石工事・アスファルト工事・左官工事・タイル貼り付け・造園工事など多岐に渡っている。

当社の外構工事の強みは、そのデザイン力と提案力に加え、「綺麗に仕上げる職人の技術力を顧客から評価いただいている」とクルーズ社長は言う。また、ビジネス対象エリアは川崎市・横浜市・世田谷区・大田区が中心であるが、これは当社の営業方針に関係している。初期段階で工事の価格を聞かれたとしても、いきなり概算見積りを出すことはせず、まずは現地に赴き、顧客の声を聞くことから始めるという。話だけではなく実際の現場を見てみないとわからないことが多いため、狭小部分がないか、勾配はどうか等を確認した上で、手書きのイメージ図で提案し、顧客の確認をとりながら平面図や立面図を起こしていき、最終的な価格見積りを行う。工事完成後に万が一不具合等生じた場合は即刻手直ししに行くという。迅速対応しやすいということもあるが、現場感覚を重視しているため、地域密着型の営業範囲にしているのだ。ただ、他の関東圏内からの受注もゼロではない。たとえば栃木県であれば信頼できる協力業者にお願いしているが、「叶屋さんの協力業者ならば間違いない」と、高い評価をいただいている。

もう一つの柱の建材販売は、クルーズ社長の父でもある北原会長のチャネルで、工務店やゼネコンから受注するB to B ビジネスである。ブロック、フェンス、タイル、砂利や砂など扱う建材は様々であるが、最も多いのは生コンである。生コンは使用時間の限度が厳しく決められており、25℃以上のときは練混ぜから打込み終了まで90 分なので、やはりビジネスエリアは近郊に限られているが、60 年以上の経験を持つ会長のコネクションで、遠方の現場の手配も行う。生コンのみならず広範囲の地域への建材全般の手配を得意としている。

元々は長野県から川崎に出て来て、墓石を主に作っていたクルーズ社長の祖父が、1954 年(昭和29年)に武蔵小杉の地で創業したのが当社である(法人化は1963 年)。時代は高度成長期に入り、東急田園都市線延長に伴う造成工事に必要な間知石(けんちいし:石垣や土留に用いる土木建築材料)の工事で会社は発展してきた。ただ、石を主とした工事だけでは売上に波もあり、石職人の技術を活かせる外構工事にも事業を拡大してきたのである。当社には上野さんという約60 年間当社で働き続けている石職人の方がいる。上野さんは入社後に創業者の祖父の下で若手石職人として鍛えられたそうである。建材販売に加えて外構工事を事業展開し、外構工事の出来栄えが顧客から高く評価され、その評判が新たな顧客を呼び込んでくるのは、上野さんをはじめとした職人が創業以来70 年間受け継いできた技術力にほかならない。当社のキャッチフレーズ「信頼と技術で夢のエクステリアを実現する」は、このような歴史と人材に裏打ちされているからこそできるのである。

女性が働きやすい職場づくりを推進し、地域貢献や新しいビジネスも展開

クルーズ社長は、1970 年に武蔵小杉に生まれた。祖父や父親が叶屋を経営していたが、高校を卒業する頃の日本はバブル景気に突入しはじめた時だった。実家が営む業種とは真逆の、華やかなアパレル関係の仕事に就いて、渋谷や自由が丘のセレクトショップで働く日々を過ごした。その後、結婚・出産で専業主婦になってもアパレル関係の仕事に戻ることをあきらめていたわけではなかったが、父親から請われて1998 年に叶屋に入社した。「会社の仕事は何をやっているかわからず、子連れ出勤して店番から始めた」とクルーズ社長は笑顔で振り返る。子育てをしながら、トラック配達のためマニュアルの運転免許をとり、経理全般も見るようになり、技術関連の資格もとった。並大抵の努力ではなかったが、入社後15 年経た2013 年に父親から代表取締役社長を受け継いだ。

社長に就任してからは、働きやすい職場作りに注力した。産休育休取得や時短勤務等を取り入れ、一人一人のライフスタイルに合わせた働き方を推進し、「家の事を第一に考えて仕事をしてほしい」と従業員に言っているそうである。当社は役員含め総勢16 名であるが、内9 名が女性である。外構工事・建材というガテン系イメージの強い業種ながら高い女性比率を有し、女性が活躍できる企業を川崎市が認証する「かわさき☆えるぼし」に選ばれているのも納得できる。また、当社ホームページのスタッフブログ欄をご覧いただくと、スタイリッシュで機能的な車止め「i/lock (アイシャロック)」販売や、未就学児から大人まで楽しめる「英語工作教室」の展開など、新しいビジネスや地域貢献イベントが満載である。ブログは社長や女性若手社員が書いているが、大変楽しそうに叶屋の取り組みを紹介しているのが印象的である。

最後に今後の抱負を伺ったところ、「石職人の技術を若手に承継しつつ、これは叶屋が施工したとわかるオリジナリティのある外構工事をやりたい。社業第一ではあるが気持ちの余裕も大事にし、地域貢献も続けていきたい」と締めくくっていただいた。家を新築される方、外構を改築される方は一度叶屋を検討されることをお勧めしたい。「夢のエクステリア」が実現することは間違いない。

   (左)集合写真     (右)当社に約60 年勤務している上野氏