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川崎元気企業調査報告書(川崎 元気本)
掲載企業紹介

株式会社 川商ホーム

株式会社 川商ホーム 取締役社長 鳥山 裕揮

不動産を通じて
川崎の街の魅力づくりを

取締役社長 鳥山 裕揮

事業内容不動産仲介・取得・管理および有効活用提案・コンサルティングなど
企業名株式会社 川商ホーム
創業1989 年(平成元年)8 月
所在地川崎市川崎区小川町15-1
電話044-245-5050
従業員10名
代表取締役社長  鳥山 裕揮(トリヤマ ユウキ)
URLhttps://kawasho-home.com/

「賃貸の更新で家賃値上げを求められている」、「相続したアパートに飲食店が入っているが、契約書がなくて状況が分からない」、「息子が不動産に興味を持たず、土地をどう処分すればよいかわからない」…。 鳥山裕揮社長が加盟する宅地建物取引業協会支部が川崎の区役所で開く無料相談会には、さまざまな相談が持ち込まれる。不動産にまつわる需要にこたえるため、会社として手掛ける事業も幅広い。業務内容は川崎を中心とした地域の仲介を含む不動産売買、賃貸物件の仲介・管理、リフォーム、損害保険代理店業務などだ。

賃貸管理から売買までの循環

1989 年に鳥山社長の父が創業。当時は売買に注力する風潮が強かった業界内で、創業時から賃貸に注力してきた。「土地神話が崩れる前の時代から、他社があまり注力していなかった賃貸管理に取り組んできたことが、現在の事業基盤を築くきっかけになった」。

基盤のひとつである賃貸管理は、オーナーから依頼を受けて入居者を募集し、入居期間中のトラブル発生時にオーナーに代わって窓口を務める。居室のリニューアル工事の提案も手掛ける。

管理物件の主力は単身者向けのワンルームや1K、1LDK。1 棟を丸ごと管理する例もあれば、分譲マンションの一室だけを管理するケースもある。

入居者の入退去に伴って、部屋の原状回復や修繕が必要になる。段取りを組んで手配し、「部屋を再び募集できる状態に整えるのも私たちの業務」。管理から修繕、募集、契約、再び管理へと、業務を循環させるビジネスを形づくった。その過程の先にある、不動産売却支援や有効活用提案も基盤だ。

エージェントとして全う

「クライアントのエージェントたる立場を全うする」という考えを大切にしている。

「売買仲介業者は、売主と買主の間に立って諸条件においてバランサーのような役割を果たしがちだが、それは本来の役割ではない。クライアントが売主であれば売主のために、買主であれば買主のために、全力を尽くすことが必要だと考えている」。

オーナーの世代交代や、所有しているアパートの老朽化が進む例が多い。現在の需要に合うかたちで修繕の見積もりを出すと「建て替えたほうがいい」というほどの金額になることも少なくない。

そうした状況では、そのまま売却活動を実施したり、既存建物を取り壊して新たに収益不動産を建てたり、建てた後に売却したりといった選択肢を提案することもある。但し、既存建物には賃借人がまだいるケースも往々にしてあり、移転先支援や建物解体費など更地化までの費用に加えて再建築費がかかるため、実際の価値は分かりにくい。「こうした情報を整理して相談に乗り、提案し、実行していく場所は必要だ」と強調する。

そこでは、「クライアントのエージェントたる立場を全うする」というお客様側に立った視点で、デベロッパーや、複雑な権利関係や収益不動産であっても購入検討が可能な不動産会社と協力していくことが、お客様にとって最適な提案(有効活用・売却)を裏付けるものとなる。「地場業者として地元に根付いているからこそ、100%のパフォーマンスを発揮できる。個人・法人を問わず幅広い不動産サービスに従事している」。

不動産活用は所有者のライフサイクルと一体だ。最近受けた相談は、当初は有効活用の検討から始まったが、検証途中で「売却する」という結論に至り、売却先を入札形式で探した。
「容積率をフル消化した最有効利用の形から検討を重ね、建築に相当なコストがかかるという結論に至った。『終活』の一環として保有資産を整理・現金化する方針にシフトし、新しい住居へ移り住むお手伝い」を数カ月かけてまとめ上げた。こうした不動産売却コンサルティングのお手伝いは、お客様から感謝される仕事であり、とてもやりがいを感じている。

問題発見・問題解決の考えとエッジの効いた取り組み

かつて川崎には「治安が悪い」とのイメージがつきまとった。街の雰囲気が変わったと実感したのは、東芝の旧工場跡地に「ラゾーナ川崎プラザ」がオープンしてからだという。そこから人の流れが変わり、街も美しくなっていく。

自身が高校生のときに開業したラゾーナから強い印象を受け、「開発業」という仕事に関心を抱くようになった。大学卒業後は、そんな開発の素地や事業用不動産を扱う法人向け不動産サービスを提供する会社に入社。その後、建設・不動産のコンサルティング会社への転職を経て、家業に入った。

サラリーマン経験から得たのは「良い会社には共通点がある」ということ。ビジョンが明確で、プロフェッショナルな仕事に拘る尊敬できる諸先輩方に恵まれ、代表もトップセールスに励むことで社員が成長を続ける―。「自分の会社を大事にするのは自分しかいない」と自身に言い聞かせて、会社の働き方改革にもかじを取ってきた。

掲げるのは「不動産業を通じて街の魅力を高める」という地域貢献に対する思い。「『いま世の中に何が起こっていて、その何が問題で、あなたはそれをどう解決しますか』という問題発見・問題解決の考え方に加えて、カッコいいものを提供したい。それが目に留まり、『住んでみたい、借りてみたい』と思ってもらえるかもしれない」。

自社で取得した不動産を現代のニーズに合った形で新築して提供する構想を描く。その第1弾が自社ビル「Neo」だ。今後も起こりうる感染症対策として、テナント賃貸フロアまで非接触で行き来できるテナントビルをコロナ禍にリリースした。外観や内観のデザインにも拘った。

不動産業を通して、川崎の街が、「住み・働き・憩う場」としてより魅力的になるような、そんな一助となれば嬉しい。こうした「エッジの効いた取り組み」のアイデアは、海外映画鑑賞などからもらうことが多いという。

(左) Neo外観       (右) 非接触EV