株式会社 シムラ
川崎生まれの100 年企業
時代の変遷とともに喜ばれるサービスを提供
代表取締役 置鮎 弘健
事業内容 | エネルギー事業、介護福祉事業、運輸・廃棄物収集運搬事業 |
企業名 | 株式会社 シムラ(シムラグループの中核企業) |
創業 | 1948 年(昭和23 年)9 月(志村組としては大正初期) |
所在地 | 川崎市川崎区浜町4-4-9 |
電話 | 044-344-1211 |
従業員 | 約300 名(シムラグループ全体として・パート/アルバイト含む) |
代表 | 置鮎 弘健(オキアイ ヒロタケ) |
URL | https://shimura-group.jp/ |
シムラは、大正初期創業の川崎生まれの100 年企業である。現在は、シムラグループとしてエネルギー事業、介護福祉事業、運輸・廃棄物収集運搬事業と経営を多角化させて事業を展開している。
時代の変遷とともに顧客に喜ばれる新たなサービスを開発提供し続ける姿は、まさしく川崎の歴史そのものである。そのシムラグループを率いる置鮎社長にこれまでの展開と今後の抱負を伺った。
創業は大正初期の埋め立て事業からエネルギー事業へ
現在のシムラグループは、中核である㈱シムラが川崎区水江町の石油コンビナートにてLP ガスの充填や潤滑油の生産、㈲シムラトランスポートが運輸・廃棄物収集運搬事業、㈱ヒューマンテックと㈱ハートプラスが有料老人ホーム等の介護福祉事業と領域の異なる事業を展開する複合型企業である。
そのシムラグループの創業は今から約100 年前の大正初期である。当時の川崎は沿岸地域で埋立地が造成中であり、その建設事業を担う志村組としての創立であった。重要なインフラ事業を行う中でこの頃、培われたのが「決して手をぬいてはならない精神」であり、現在も同社一人ひとりに受け継がれている。
埋立地造成が進捗するとそこに石油化学会社が進出してくる。いわゆる京浜工業地域が形成された時代である。その頃、シムラは石油精製会社から構内作業を請負うようになり、現在でもLP ガスの製造管理や潤滑油の製造工場の業務を請負っている。
昭和23 年には㈱シムラとして法人化、エネルギー事業への展開を図ってゆく。
先代の父から会社を引き継いだ置鮎社長は5 代目の社長である。就任当時には金融機関のいわゆる経営塾を受講し経営ノウハウの取得を図り、実践のみならず知識の向上を図っている。この経営塾は同社の様々な事業開発に今でも大いに役立っていると置鮎社長は語る。
その後、石油製品の運搬をしていた運送部門を独立させ㈲シムラトランスポートを設立している。
石油化学向け事業は現在の生活では欠くことの出来ないエネルギーに由来する事業であり、市民の社会生活を支える重要な社会インフラ事業と言えるだろう。
時代が変われば会社も変わる~介護事業への展開~
時代は平成に入り川崎のみならず日本全国で少子高齢社会が急速に進展してゆく。約100年もの間、川崎に根付いて地域の皆様にお世話になってきたと考えている同社が、「地域の皆様に恩返しが出来る事業はないだろうか」と置鮎社長は様々な事業を熟慮した中で平成16 年には㈱ヒューマンテックを設立し、平成18 年より介護事業へと進出する。
これまでの事業領域とは全く異なる分野ではあったが、培われた「決して手をぬいてはならない精神」を糧に「時代が変われば会社も変わる」との思いで、通所介護施設、居宅介護支援、有料老人ホームへと事業を展開させた。(現在、川崎に1 施設、横浜に3 施設、1 店舗、1 営業所が所在)
介護事業では特徴的な事業を行っている。それは、同社の介護施設や訪問事業を利用して頂く方々に喜んで、楽しんでもらえる事業はないだろうかとの考えから生まれたのが「音楽療法」である。介護スタッフには音大等で音楽療法を学んだスタッフがおり、実際の演奏と共に利用者の皆が楽しめる音楽空間を提供している。同様の他施設ではカラオケ等を活用しているが、実際の演奏とすることで臨場感が増し、心理面、身体面、コミュニケーション等の社会的な側面等で良い影響があると考えている。サービス名を『オトカテ』と名付け同社の施設での実施のみならず、依頼のある他の施設へ訪問して音楽療法のサービスも実施しており、「施設の利用が楽しくなった」との声を多数頂いているという。
『シムラグループの恩返し』たゆまぬ向上心と喜ばれるサービスを提供する
現在、新たに取り組んでいる事業がある。介護施設での「介護シフト管理ソフト」の開発である。介護施設では多くの人員が従事するが、法定人員の確保や時間別の人員管理等は市販の管理ソフトではいわゆる「事業所毎のかゆい所」への対応が難しい。また、大手介護事業者では独自の管理ソフトを利用しているが、同社のような中規模介護事業所では通常では独自管理ソフトの開発は、まず不可能である。しかし、同社ではソフト会社出身のスタッフがおり、自社での管理ソフトを開発中で、近々で自社介護施設での実証実験が始まる予定であり、ゆくゆくは、同規模他社の介護事業所への販売及びサポートを目指しており、これが軌道に乗れば高齢社会への貢献の一助になるとの思いで新規事業を推進している。
「シムラグループは大正初期の創立以来、約100 年にわたり地域社会に貢献してまいりました。当グループで展開する事業には、目を惹くような華やかさはありませんが、人に喜ばれ、社会に貢献できる仕事であると考えています」と置鮎社長は語る。
最大の財産は“人(=社員)”と捉え、研修・教育によるスキルアップが出来る環境作りを行っているのも同社の特徴である。これは、領域の異なる事業を展開する中での働きやすさとグループの一体感の醸成に大いに貢献していると思われる。
「これまでの100 年から、次の100 年へ」とこれからもたゆまぬ向上心と喜ばれるサービスを提供するシムラグループ、置鮎社長の今後の展開に大いに期待したい。
<左:エネルギー部門・右:同社の住宅型有料老人ホーム「リュエル・シャンテール」川崎市川崎区>