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川崎元気企業調査報告書(川崎 元気本)
掲載企業紹介

株式会社 ホワイトウルフ

株式会社 ホワイトウルフ 代表取締役 前畑 剛

100年続くご当地アイドル、
エンタメで川崎の街を元気に

代表取締役 前畑 剛

事業内容芸能プロダクション/音楽レーベル/音楽出版事業、スタジオ運営事業、キャンプ場運営事業など
企業名株式会社 ホワイトウルフ
創業2007 年(平成19 年)3 月
所在地川崎市中原区市ノ坪449-3
電話044-789-9560
従業員8名
代表前畑 剛(マエハタ ツヨシ)
URLhttp://whitewolf.jp/

全国に数多いご当地アイドルグループのなかでも、川崎で活動する「川崎純情小町☆」は「日本一肩書きの多いアイドル」とも言われる。「かわさき産業親善大使」、「神奈川県警察見守り応援大使」、川崎市消防局放火火災防止広報大使」…。地元の活動を重ねて自然に増えたが、「他にはないアイドル」として認識されるようにもなった。今の肩書きはなんと67 にも達する。このご当地アイドルグループのプロデュースを手掛けるのが、前畑剛社長率いるホワイトウルフだ。

「日本一の肩書きの数」

肩書きを裏付ける活動も欠かさない。ごみ減量の啓発役「3R 推進広報大使」として、今も川崎市民祭りでPR 活動を続ける。神奈川県警の「特殊詐欺・振込詐欺防止広報大使」の役割は多くのメディアで報じられた。

「100 年続くご当地アイドルを目指す」。これが、前畑社長が掲げる目標だ。川崎市のイメージ活性化プロジェクトとして、2011 年10 月に結成。「純情」には純粋さや誠実さ、「小町」には和の響きが込められている。

公共機関のポスターや電車の中吊り広告への露出を通じて、地域にも次第に知名度は浸透していった。最初はどの会場でも反応が薄かったが、今では名前を出すだけで「知っている」と言われることも増えた。

そのうち、活動が認められ、「川崎市イメージアップ事業」「宮前区誕生30 周年記念協賛事業」などにも認定されるように。現在では、年間のライブやイベントを100 回ほど行っている。地元のイベントに出演すれば、お年寄りが「あら、『川崎純情小町☆』が来てるじゃない」と目を丸くする。ライブや地域活動を通じて、固定ファンの裾野を着実に広げてきた。

独立を決意「信じるやり方で」

前畑社長も、以前は自分自身がミュージシャンとして、ステージに立つ側だった。レーベルから作品も出している。

だが次第に、活動に矛盾や違和感を抱くようになっていく。「曲に込めたい思いがあっても、売れるかどうかが重視された」。タイアップのために作品を何十回も書き直す。最後には、自分の意図と異なるように変えられてしまうことも少なくない。気づけば、音楽を聴くことさえも避けるようになっていた。

「自分の信じるやり方で、本当にやりたいことをやろう」

独立を決意し、事務所を辞める。2007 年に創業した。最初はセルフプロデュースですべてを一人で手掛けたアルバムを制作したが、「自分と同じような気持ちを抱えているアーティストがいる」と感じ、プロデュース側に回ることにした。

「川崎から世界へ」を掲げて旗揚げした「川崎純情小町☆」は2019 年、中国遠征も果たしている。「『和』のテーマは他国ではまねができない、世界での強みになる」との自信があった。南西部の貴州省のテーマパークで連日、ライブを演じた。

順調に見えた活動だったが、新型コロナウイルスの感染拡大に足をとられた。

行政主催の地域イベントは、軒並み中止。100 本以上予定されていたイベントは白紙になり、撮影会も催せない。「ファンと直接触れ合えないのは厳しかった」。外出自粛の期間が過ぎても、ライブを開けない時期はおよそ1 年に上った。

コロナ禍をしのぐため、新たな挑戦に知恵を絞る。観光大使を務める川崎大師のバーチャルライブも試行した。仮想現実(VR)の事業を手掛ける会社の技術を活用し、360 度カメラで川崎大師の大山門前を撮影し、メンバーの映像を合成。「川崎大師でライブをしているかのような、360 度の立体的な映像をつくった」

新たな収益の柱づくり

制約の大きかったコロナ禍の反動からか、足元ではイベント熱はかつてを上回るほどだという。出演の依頼の多さから「これまで自粛していた分、盛大なイベントで地元を盛り上げたい」という思いが地域に強まっていることを、実感させられた。

コロナ禍でエンターテインメント事業がマヒした教訓から、新たな収益の柱づくりにも乗り出している。

キャンプブームをにらみ、大磯町でキャンプ場の開発に着手した。「土地を購入し、ユンボの免許を取り、手作りで進めた」。2023 年11 月にオープン。土曜は予約が取れないほどの活況だという。

アイドルのプロデュースからダンススクールの経営、キャンプ場の運営まで、幅広い事業に通底するコンセプトは、「エンターテインメントを通じた地域活性化」。事業を通じて、地域が笑顔と元気、愛にあふれる街を―。「住んでいる人たちが、心から笑顔で過ごせるような環境をつくりたい」と前畑社長は語る。

見据える将来の目標は、川崎に自社ビルを構え、地域に根差したエンタメの拠点にすることだ。「スタジオや事務所を集約し、ライブハウスや育成の拠点も整えたい」

   (左)ダンススクール「Studio Lotus」    (右)川崎純情小町☆