株式会社 前田工業所

企業安定化に向けた社内の強化に取り組み、
将来にわたって川崎のインフラ産業を支える


代表取締役 前田英成
事業内容 発電所等の建設工事・メンテナンス工事
企業名 株式会社前田工業所
創業 1948年(昭和23年)
所在地 川崎市幸区南幸町2-56
電話 044-555-4122
FAX 044-533-5450
従業員 20名
代表 前田 英成(マエダ ヒデナリ)
URL https://www.maedakogyo.co.jp/

我々の生活に欠かせない電気やガスといったインフラを陰から支える会社、それが前田工業所である。電気やガスを作る発電所やプラントに必要不可欠な機械設備の建設工事から定期的メンテンナンス工事、緊急補修工事を、高い施工技術レベルをもって行っている。中でも大型回転機器の建設・メンテナンスは、重量物分解・組立作業や補修作業・塗装作業、また高速回転に耐える精密な仕上げ作業を必要とする。それを可能にしているのが、当社が多数抱える専門の工事責任者や施工管理技士、また溶接士・非破壊検査技術者・クレーン運転士などの熟練技術者だ。

川崎のエネルギーインフラを支えて60年超

今年で設立66周年となる前田工業所。初代社長が、戦前から長らく火力発電所の建設に携わってきた経験を活かし、戦後復興時の京浜地区における発電所工事事業に多く携わったことから馴染みの地でもあった川崎市に設立した。その後、先代社長へ交替し、それまでの発電所の建設工事から発電所に常駐して各種工事を請け負うビジネスへと広げて、バブル崩壊後も堅実に乗り切り、業界や地域全体の繫栄に尽力したという。

現社長の前田英成氏は通信機器等メーカーの研究開発畑にいたが、1998年に勤めていた会社を退職し、当社に入社した。取締役として入社したものの建設工事業界は経験したことがなく、父である先代社長と共に取引先へとトップセールスを行う等もしてきたが、その時期に大きな業務改善の実績も残してきた。当時は手作業が普通であった会計処理のデジタル化に取り組んだことだ。

その後2005年に先代社長よりバトンを渡された前田社長だが、社長交代からは苦難の連続だった。

川崎のインフラを支え地域発展に貢献

社長交代から苦難が続いた10年

当時の様子を今でこそ平然と語るものの、社長就任から10年以上もの間、苦難の連続だった。社長就任3年後には、あのリーマンショックが起こった。公共工事設計労務単価も激減し、工事業界からはとにかく安さが求められた時期であったという。その時には売上も最盛期より大幅に減少していたが「会社規模を小さくして利益率を回復する」という方針の下、「原価削減計画」を立案実施し全社員が辛い思いをして乗り切った。

さらに3年後の2011年には東日本大震災が発生した。福島原子力発電所から撤退せざるを得ず、多くの現地社員技術者も退社することになった。また、2016年の電力の自由化では、工事価格が低下し、さらに古い常駐火力発電所も減少するという非常に大きな影響があった。従って、原価削減計画を初めとして試行錯誤していた10年越しの再建計画は、方向転換を図っていくことを余儀なくされた。2016年から5年間をかけて「カイゼン活動」等により、安定的に確保した利益とその利益の人材・資源への投資によるプラスの企業活動サイクルを目指した。従来のいわゆる特定顧客とその協力会社といった関係で仕事が回されていくような伝統的な形態に加えて、特に不特定の顧客の開拓に注力し、減少した常駐発電所の売上低下を補填できるモデルへと改革していった10年間であった。

理念に基づいた社内体制の強化の取組み

そんな多くの壁を乗り越えてきた当社の経営理念には、安定した企業の体質づくりと社会への貢献を目指すための以下の3つがある。「お客様が求めているものの探求・理解・積極的な実践」、「基本に沿った仕事の推進と社員全員の絶え間ない「能力」向上の志向」、「新しい提案の創造と新しい分野への進出に前向きな展開」である。

こういった理念の中で、前田工業所は事業増強へ向けて業界での差別化を図り、「適正な価格で、より高い品質」を追求し、販路拡大を行っていく考えであるという。

具体的には、安全品質向上・生産性向上や人材育成を課題としている。そのために①外部専門家の指導を受けて社員スタッフが品質マニュアルを刷新し、同時に人材育成プログラムを確立する、②社内ICT化(ペーパーレス化)による迅速かつ確実な帳票伝達を実現する、③管理者研修を導入し、工事責任者のレベルアップを図る、ことを昨年からの取組としている。また、今後は同業者との差別化を含めて、より高い品質確保に向けた回転機械設備用計測機器の社内校正化の着手を行うといったような具体策を着実に進めている。

社長から業界へ入る若い人に伝えたいこと

「ここ数年、企業安定化を最終目標とした様々な取組みの中で、上から強制されるのでなく、社員自ら気づいて社内の改善をしていこうという気風が芽生えている。彼らがさらに若手を育てて、このよい社風を伝承していければ、より発展・継続すると確信している」と前田社長は喜ぶ。近年では、人材採用に向けたチラシ「伝統の技術者集団」(https://www.maedakogyo.co.jp/20220914.pdf)を作成するなど積極的な採用活動を行っている。また、独自プログラムによる若手への技術の承継や人材育成にも余念がない。

そんな前田社長から、当社に関心をもつ若い人へのメッセージがある。
「入社前に納得するまで当社や業界を調べて、自分のもつ理想や将来像を再確認してください。また、現場作業は厳しい環境の中で危険も伴うので、個々の能力・努力とチームワークを大切にしています。そのために人はきっちりと育てるし、その環境も整えています。なので、是非しっかりとついてきてください。」

電気・ガス・水道など人々の生活の重要なインフラを担っているという社会貢献への誇りをもって、これからも業界や関係する地域の人々らと協力・助け合いながら発展・継続に取り組んでいく。

人が育つ環境作りに励む当社は努力を惜しまない人を大切にする

川崎市産業振興会館
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