木造の家よりも強く、安心で、自由な住まい ガイアフィールドのスチールハウス
社長 遠藤 陽一
事業内容 | 分譲マンション設計・施工・販売、戸建住宅設計・施工・販売、マンション等運営管理 |
企業名 | 株式会社 ガイアフィールド |
創業 | 1990年(平成2年)11月 |
所在地 | 川崎市高津区梶ヶ谷4‐11‐2 |
電話 | 044‐852‐9588 |
代表 | 遠藤 陽一 (エンドウ ヨウイチ) |
URL | http://www.gaea-field.com |
「当社は、スチールハウスツーバイフォー(2×4)工法、つまり、薄板軽量形鋼造の枠組み壁工法の独自の構造計算ソフト『KIZUKURI-スチール』を開発しました。スチールハウスとは、木造2×4工法に用いる枠材を厚さ1.0mm前後の鉄を材料とするC型スチールに置き換え、外張断熱材を施した住宅で、木造の家の1.5倍の強度があります。岩手県大槌町のスチールハウスアパートが東日本大震災と津波に耐えたことから、その耐震性と耐久性が証明されています」と遠藤社長は胸を張る。
現在、スチールハウス分譲住宅事業・木造分譲住宅事業・土地開発分譲事業並びに請負事業、戸建て・2、3階建てアパート・マンション・店舗等の設計管理事業、分譲マンション管理・賃貸マンション管理事業を展開する。
戸建住宅やマンションの設計施工から運営管理までの請負により経営が安定する
「スチールハウスは、国土交通省により在来工法と同じく特別な手続きなしでの建築が可能であり、『特殊な鉄骨造』の位置づけの一般工法です」と語る遠藤社長は、㈱リクルートコスモスの共同住宅の企画開発課長としてリクルート事件後の厳しい状況の中で朝から晩まで働いていた時に、『きちんとした建築、地に足をつけたモノづくりがしたい』との思いから、平成2年に当社を立ち上げた。しかし、お金を貸してくれる人も仕事をくれる人もいなかったことから、すぐに壁に当たった。
初めての仕事は知人の保有する物件の掃除の仕事だった。その後、会計事務所に籍を置き、前職で経験と実績のあった等価交換、税務、設計、建築等の不動産資産コンサルティング業務を担当した。その時に、カラオケボックスの事業化の話が舞い込み、土地探しから、内装、人材採用、店舗運営まで任され、夜の客商売という全く異なる世界を経験した。その頃、設計をもう一度勉強しようと決意した遠藤社長は専門学校に1年間通って一級建築士の資格を取得した。すぐに一棟目の戸建て設計の仕事を獲得できたものの経営状態は相変わらず苦しかった。
その後、前職時代にお世話になった㈱末長組の会長から『梶ヶ谷の地主がゴルフ練習場を作りたいと言っているので手伝ってくれないか』という依頼が舞い込む。ゴルフ場の設計、施工、運営まで請負、昼間は設計、夜間はゴルフ練習場の支配人として働いた。資金的に余裕が出来た頃に、分譲マンションの販売も依頼されたのをきっかけに、従業員を1人雇用した。
「平成5年以降、ゴルフ練習場の支配人を辞め、戸建て住宅やマンションの設計施工から運営管理まで請け負った結果、安定的に収入が得られるようになり、それに伴って徐々に従業員も増えていきました」と遠藤社長は笑顔だ。
スチールハウス普及のため、一般社団法人日本薄板軽量形鋼造普及会を設立する
『アフターから逃げない』という主義で、歯を食いしばってお客様からのアフタークレームに対応することを当社では徹底している。クレームの多かった米国木造2×4住宅を輸入していた遠藤社長は、平成7年に米国を訪問した際に、マイクロソフト社のビル・ゲイツがシアトルに家を建てているとの噂を聞いて見に行った。そこで目にしたのがスチールハウスだった。日本の気候では、木造住宅は木腐れや内部結露が問題になっていたが、スチールハウスには、それらの問題は関係なかった。日本に戻るとすぐに社団法人日本鉄鋼連盟日本スチールハウス協会に入会して、スチールハウス2×4住宅を当社の強みとすることを決意した。スチールハウスのメリットは、木造のようにたわみなどの経年変化が少なく、100年以上の耐久性を持つ。また、溶接によらないドリルネジだけの接合のため熟練の職人がいなくても施工できる。
日本には大手鉄鋼会社が開発したスチールハウス用の構造計算ソフトがあったが、その会社が構造計算ソフトから手を引くと言うので、当社が引き受けることになった。その構造計算ソフトのバグを修正する必要があったが、開発資金が不足していた。そこで、平成23年に『スチールハウス用構造計算ソフト貸与と建築技術支援パッケージ化』というテーマで経営革新計画の承認を受けたことにより、川崎信用金庫から開発資金を調達できた。
当社は、狭小地の防災のために、安価で軽く丈夫なスチールハウスの長屋住宅に以前から取り組んできた。その結果、東京都城東地区の木密地域(木造住宅密集地域)の防火ニーズに基づく耐火パネル『シートプレース耐火壁』を開発した。また、ガイアスチールパネルを作る工場を茨城県神栖市に設立した。その理由は、大手鉄鋼会社が薄板軽量形鋼や外壁材を独占的に販売しており、建築家や工務店に価格決定権がないことだ。そこで、当社は薄板軽量形鋼を世界中の鉄鋼メーカーから調達して『自由な設計、自由な仕入』が可能な環境作りを目指し、一般社団法人日本薄板軽量形鋼造普及会を設立した。
「これまで最も苦労したのはリーマンショック以降の不況です。当社も危機に陥り、ヒト、モノ、カネ、経営資源の全てを見直しました。生き残るために自分の給料はもちろん社員の給料も下げました。会社を去る社員もおり、辞めていく社員の生活を考えて悩み、商売をやめることも考えました。しかし、事業リストラを進めていくうちに、改めてスチールハウスに集中することを決意しました」と遠藤社長は語る。
町を守る地域の会社として安定基盤を確立すると同時に、東南アジア市場を目指す
企業理念は、「日本の住宅産業は21世紀を迎え、成熟した生活産業へ急速に進化しています。そのような変化の中で、弊社は『地域』『構造』『デザイン』『アフターサービス』『顧客満足』をキーワードに、“地域循環型住まいビジネス”を実施し、将来にわたって永遠に残り続ける『地域』『日本』のための社会基盤として“構造供給企業”を目指しています。日々進化しつづける“土地からはじまる物語を紡ぐ”企業でありたいと考え、社員の個性を重視しつつ、皆様とともに歩んで行きたいと考えています」を掲げる。
現在、コスト・立地・スタイルのバランスを極めた分譲テラスハウス『リムテラス』に注力し、設計施工販売、請負管理、アフターフォローまで当社で実施している。今後は、①㈱ガイアフィールドは町を守る地域の会社として安定基盤を確立する。②日本薄板軽量形鋼造普及会は、スチールハウスを全国に普及させる役割を果たす。③㈲ガイアフィールドベトナムは、社員が活躍できる場として東南アジア市場でのスチールハウスの展開を目指す。
「東南アジアでは地域ごとに防錆性やシロアリ対策などの用途対応により営業面で工夫する計画です。スチールハウスは1850年に米国で誕生し、構造物としての歴史があります。一方、日本は鉄に防錆性を付与する亜鉛溶融めっき技術、接合に使うドリルネジの加工技術では世界一です。ベトナムでも日本のきめ細かな対応や日本品質に期待が高まっています」と語る遠藤社長はスチールハウスの普及に情熱を注ぐ。