株式会社 イクミママ

どうぶつドーナツ「こねこのミケ」「こねこのクロ」、ツイッター上の画像に一晩で20万アクセス

 代表取締役社長       中尾和善(左)        オーナードーナツパティシエ         中尾育美(右)
事業内容 菓子製造販売、飲食店支援事業、経営支援事業
企業名 株式会社 イクミママ
創業 2012年(平成24年)6月
所在地 川崎市中原区木月3-6-18 モトスミコアビル2F-C
電話 044-434-3640
FAX 044-434-3640
従業員 43名(パート/アルバイト含む)
代表 中尾 和善(ナカオ カズヨシ)
URL https://ikumimama.com/

「見た目が可愛らしいどうぶつドーナツは、国産の卵や小麦、新鮮な油など厳選された安心安全な素材にこだわり、合成着色料や防腐剤を使用せず、生地から全て当店で手作りし、ひとつひとつ丁寧に仕上げています」と笑顔で語る中尾和善社長の隣で、中尾育美ドーナツパティシエも笑顔だ。

店舗・催事販売の売り上げ1位「こねこのミケ」、2位「こねこのクロ」、3位「こぶたちゃん」、通販サイトの売り上げ1位「人気アニマルドーナツセット」、2位「こねこドーナツセット」、3位は「鳥ドーナツセット」だ。商品数は契約キャラクターを含めると600種類を超える。

商品の共同開発により川崎市内の洋菓子店の売り上げ拡大に貢献

「ドーナツ製造販売、外注先で製造した和洋菓子を販売しています。外注先の和菓子屋さんは以前から着色料や保存料を無添加で製造していましたが、探し始めて出会うまでに7年かかりました。また、近隣の洋菓子店に製造委託して、当店のこだわり素材で作ったケーキなども取り扱っています。今後も共同開発した商品を当店の直営店・催事・通販サイト・自動販売機などで販売して、川崎市内の洋菓子店の売り上げ拡大に貢献していきたいと考えています」と中尾和善社長は力強く語る。

中尾和善社長は、20代後半に添加物の多いジャンキーな食生活と持病が原因で、長期入院を2回経験した。その影響により京都で商売していた自営業の売り上げが大幅に減少した。母親から「病気になる」と指摘されていたものの国が認可した添加物だから大丈夫だろうと思っていた。しかし、長期入院で健康は何ものにも代えがたいと気付くとともに、日本の添加物は欧米に比べて認可数が多いことも知り、安心安全な商材を販売する仕事をしたいと考えるようになった。

中尾育美ドーナツパティシエは、母親や兄も料理人という料理人一家で育ち、大手料理教室で京都店長だったことから料理・パン・ケーキ等を作る技術があった。2009年12月に、甘い物好きだった中尾和善社長とドーナツのフランチャイズ(FC)加盟店を元住吉のブレーメン商店街に開店した。大手の洋菓子店が原材料の公開に消極的だったが、当店では原材料を積極的に公開した。開店から翌年6月までは売り上げは好調だったが、その後は原材料を公開しても売り上げは減少していった。

中尾育美ドーナツパティシエは、どうしたらドーナツが売れるかをスタッフと一緒に考えて、可愛らしい子猫のドーナツ「こねこのミケ」と「こねこのクロ」を開発した。ツイッターに子猫ドーナツの画像を上げると、一晩で20万アクセス、約2千人が登録するなど大きな反響があり、テレビ取材も次々と舞い込んだ。そこから新しいどうぶつドーナッツを矢継ぎ早に開発して、売り上げを大きく伸ばした。どうぶつドーナツの顔と名前で商標も10件ほど登録した。

ドーナツパティシエの技術力を突出させるために独自の職人制度を整備

「自社開発商品のどうぶつドーナッツのヒットをきっかけに、FC契約を終了して、2012年6月に、イクミママを同じ場所で開店しました。職人であるドーナツパティシエの採用では、“チョコペンで書くのが好き”、“可愛い物が好き”が大事です」と中尾育美ドーナツパティシエは採用の基準を語る。

「ドーナツパティシエは、週4~5日の勤務で4人チャレンジして1人が合格する狭き門、一人前の職人になるのに2~3年かかります。一般的に洋菓子店では3年で9割が離職しますが、当店では在籍期間を長くして、技術を維持する為に、独自のアンケートを用いた面接を1回2時間以上かけています。最初に経営理念を伝えて、同じ方向性を向いている人材を採用しています。当店の悪い所も正直に話すことで、5~13年と長い在籍期間の動物パティシエもいます」と中尾和善社長は胸を張る。

経営理念は、①『お客様を心から笑顔にする』、②『こだわり生産者の想いを伝える』、③『食の安全、添加物の危険性を世に広める』、④『他に必要とされる会社、人材作り』だ。

完成度追求の為に職人制度を整備、片付けや販売など他の業務を一切せずにドーナツ作りに専念できる。分業制を徹底する事で、他社と比較して技術力を突出させることに成功した。

出身地の京都でFC加盟店になりたかったが、FC本部から出店を許可された神奈川県で候補物件3件に絞り込んだ。土地勘が無いなか川崎市にある元住吉のブレーメン通り商店街は、買い物客や子供連れが多く、中尾育美ドーナツパティシエは「上手くいく気がする」と直観が働く。また、不動産屋の担当者が親切な対応だったことも決め手となった。

元住吉でFC加盟店のドーナツ屋を開店した直後は、集客のために元住吉駅前での声出しやチラシ配布、早朝販売や最終電車の利用者のための深夜販売にも取り組んだ。神奈川県内の全ての幼稚園や動物園にDM(ダイレクトメール)を送信しても一件も決まらなかったが、どうぶつドーナツがヒットすると多くの問い合わせがあった。どうぶつドーナツを販売するまでは苦労の連続だった。

イクミママ・ブランドを高めて、どうぶつドーナツで海外進出を目指す

「安心して食べられる、安心して人にあげられる、どうぶつドーナツのイクミママ・ブランドを高めたいです。今後も“安心安全で可愛い”を追求します。現在、人材は募集していませんが、興味のある方は連絡して欲しいです。当店は働きやすく定着率が良いので、大学生のアルバイトが就職活動を経験した後に、当店ほど人間関係が良いお店はないとの理由から卒業後の入社を希望しています」と中尾育美ドーナツパティシエは嬉しそうだ。

今後強化したい分野は、①どうぶつドーナツで海外進出して海外企業の店舗への卸売、②洋菓子店と共同開発した商品の仕入販売、③新たな洋菓子ブランドの開発、④SNSなどのフォロワー数を現在の10万人から20万人へ、⑤イクミママでの経験と実績を活用した経営改善・FC診断による問題解決・離職率の高い洋菓子業界の定着率向上などのコンサルティングだ。経営課題は、原材料高騰による売上原価の上昇への対応、人材育成のための業務の標準化やマニュアル化だ。

季節感のある和洋菓子を届ける「どうぶつドーナツ定期便」、イクミママの知名度が上がる「キャラクターとのコラボ商品」は、今後も注力する予定だ。

キャラクターのファンがツイッターやインスタグラムにイクミママを投稿すると、中尾和善社長が全ての投稿者に感謝の声を届けるなど努力を怠らない。

将来的には、社内人材が保有する接客や製造の技術を活用した飲食店向けコンサルティング、面接力を活用した人材紹介への事業拡大を目指している。

高い技術によって生み出される「可愛い」ドーナツ

川崎市産業振興会館
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