株式会社 オルカ

映画・テレビ・ミュージックビデオなど撮影用美術セットのデザイン施工で1,000本以上の実績

 

 

 

 

代表取締役 荒井 茂

事業内容 映画・テレビ・CM・MV・スチール等の美術デザイン制作及びレンタル業、展示会場・内装・ディスプレイのデザイン施工、家具のデザイン・製造・販売
企業名 株式会社 オルカ
創業 2008年(平成20年)4月
所在地 川崎市中原区上小山田2-6-12
電話 044‐982‐9715
従業員 3名
代表

荒井 茂(アライ シゲル)

URL http://www.orca-japan.com/

「人気女性アイドルグループの最新MV(ミュージックビデオ)では、劇場のある街並みを再現した撮影用美術セットをデザイン施工しました。また、人気男性アイドルグループのMVやCDジャケット撮影では、書家の文字を巨大な和紙に印刷した撮影用セットを制作しました」と荒井代表は胸を張る。

主要サービスは、撮影用美術セットのデザイン施工、イベントブースのデザイン設計施工、店舗用内装設計施工と幅広い。デザイン力を生かした家具「スタッキング桐スツール(椅子)」も製作する。

音楽アーティストのMVやコンサート用美術セットのデザイン施工で実績多数

「映画・テレビ・CM(コマーシャル)・MVの撮影用美術セットをデザイン施工した実績は1,000本以上です。当社の強みは、長年の実績、短納期対応、完成度の高さにあります。特に、廃墟などエージングと言われる古色塗装、煙や爆発など火の取扱、自社保有の送風機により風を起こすなど特殊効果も得意としています」と荒井代表は自社の競争優位性を語る。

最近手がけた人気女性アイドルグループの劇場のある街並の美術セットは10日前から対応した。現場で曲や歌詞の内容によって美術セットの変更にも柔軟に対応した。MVが現在の主要事業で、ニッチ市場のため競合企業は少ない。但し、音楽のネット配信や定額制サービスの台頭でMVを制作する音楽アーティストが減少しており、売上の見通しが立たないのが悩みだ。

一方、売上の見通しが立てやすいのは音楽アーティストのコンサートにおける舞台用美術セットなどだ。アニメソングの女王と呼ばれる人気声優のMVやコンサート会場における物販コーナーのブースの装飾など美術セットのデザイン施工を長年担当している。

「大学卒業後は役者になるために、寺山修司氏が主催する劇団の研究生を受験しました。その結果、学生劇団での経験を買われ舞台監督助手になり舞台監督も経験しました。当時の劇団スタッフは優秀で美大の先生になった人もいます」と語る荒井代表は、劇団で美的感性を磨いた。

劇団の仕事だけでは食べていけず、大道具会社でアルバイトした。その後、その大道具会社の社員になり、イベントや展示会の内装、メーカーのショールームや小劇場の内装も手掛けた。また、映画会社に派遣されて、黒澤明監督や市川崑監督など一流監督の有名作品において撮影用美術セットの施工や撮影現場を経験した。

「他人の仕事やデザインを見て独学でノウハウを覚えました。今も青山や銀座でウィンドウショッピングしたり、美術展や映画を見て勉強しています」と荒井代表は語る。自社工場を保有するなど会社が規模を拡大していくなか10年間働いて役員になった荒井代表は、美術デザインをメインに外注先を使ってコンパクトかつスピーディーに仕事したいと独立を決意した。1989年に有限会社龍高社を世田谷区にて創業する。

キッチンメーカーの製品カタログとショールームの内装デザインで腕を磨く  

「キッチンメーカーの製品カタログとショールームの内装デザインの仕事だけを前職の会社から譲り受けました。製品カタログではキッチンセットだけでなく、他社の窓、床材、壁紙など総合的な施工例としてスチール写真を撮影しました。それを見たお客様が欲しいと注文するので綺麗に作る必要がありました。今はCG(コンピュータ・グラフィックス)合成しますが、当時は写真を合成できなかったので、現像した写真を翌日見て確認しながら次の制作にとりかかりました。自動車のカタログも手掛けました。今は自動車と美術セットも全てCGで製作しますが、当時は自動車を撮影する角度が決まっており、自動車に美術セットが写り込まないように撮影するノウハウが必要でした。ゴルフトーナメントにおけるホールインワン賞のパネル装飾、優勝賞品の自動車を置く展示台のデザイン施工も担当しました。その後、大手レコード会社からMV撮影用の美術セット、コンサート運営会社から物販コーナーのデザイン施工の仕事を受注しました」と荒井代表は社歴を振り返る。

川崎市には多くの撮影スタジオがあった。近隣の世田谷区には映画の撮影所もあり、立地的に良かった。世田谷区の事務所立ち退きに伴い、1994年に荒井代表が住んでいた多摩区の自宅を事務所にし、1998年にアトリエ倉庫を宮前区に借りた。事務所を再度、世田谷区に移転した2008年に㈱オルカを設立した。最終的に2014年に事務所とアトリエ倉庫を統合して現在地に移転した。

川崎市は木工加工や金属加工、大道具小道具の協力会社も多い。お客様の急な要望にも対応できるので、当社の強みの短納期に役立っている。

最新VR(バーチャル・リアリティ)撮影用美術セットのデザイン施工も手掛ける  

会社のビジョンは「創造工房。デザインと技術で皆様の夢や希望を実現して行きます」を掲げる。日本で始めてやる撮影方法を相談され、方法も含め依頼されたことも数多くありました。具体的には、ストップモーションのように人物が止まって見える「タイムスライス」、演者が万華鏡のように映る「巨大万華鏡セット」などだ。最新のテクノトレーンやドローンによる撮影など器材の進化にも対応している。業界初の360度VR撮影用の美術セットも手掛けた。

最も苦労したのは、人気女性音楽アーティストのMV用美術セットの施工と撮影だった。お盆の時期と重なり、撮影地の地元企業から資材を現地調達できなかった。そこで、お盆の渋滞のなか現地まで重機など全ての資材をダンプで運搬し、準備から撮影まで2週間で乗り切った。

「今後はCGとのせめぎ合いになり、VFX(視覚効果)技術のノウハウも勉強しなければなりません。CGに負けない質感を出せるかが勝負です。CGが苦手とする物も多く、上質な仕上げで当社も活躍できます。最近、当社が保有するダミー機材のレンタル需要が増えています。

特に、音楽アーティストが学校の屋上や森の中で演奏するシーンの撮影に使用するギターアンプや大出力スピーカーなどは本物の重量の1/4と軽いので運搬が容易です」と荒井代表は語る。

デザイン力を生かしたオリジナルの家具の製造販売も展開している。自社製品「スタッキング桐スツール」は、荒井代表の母親が和室で使う正座椅子が低くて立ち上がりにくいとの不満を聞いてデザインして、伝統工芸士に製造委託した。

「デザインで世界を変えて行きたい」と語る荒井代表は、デザインの未来に五感を研ぎ澄ます。

当社が担当したMVの美術セット

 

 

 

 

 

 

 

 

 

当社製品 「桐スツールDX」

川崎市産業振興会館
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