株式会社 JP TIGHT

軽い!弾む!速い!楽しい! スノボーの滑りを変える革新ギアを川崎から世界へ

 

 

 

 

代表取締役社長 粟國 さやか

事業内容 スノーボード関連機器の開発
企業名 株式会社 JP TIGHT
創業 1950(昭和25)年12月
所在地 川崎市高津区子母口194
電話 044-873-2811
従業員 3名
代表 粟國 さやか(アワクニ サヤカ)
URL https://www.platepia.com/

スノーボードの世界に凄い道具が現れた。それがJP TIGHTが製作するディスクプレート「プレートピア」である。重量はわずか110グラムと、従来品と比べて40%以上の軽量化を実現しながら、乗り手にとって最も大切な、操作性や快適さを異次元のレベルで向上させた。一度でも試乗した人の99%が本製品を購入し、「もう元には戻れない」とその魅力の虜になるらしい。たった一度の試乗で違いを実感できるディスクプレートとは、どのような道具なのだろうか。

ディスクプレート「プレートピア」とは?

ディスクプレートとは、バインディング(ブーツをボードに装着するための締め具)をスノーボードに取り付けるための円盤状の固定具である。外周にはギア状の切れ込みが形成されており、これをバインディング側のギアと噛み合わせることで、スタンスの角度や幅を調整する役割を担っている。

スノーボードが国内で流行り始めたのは1990年あたりと言われているが、当時からディスクプレートは樹脂製であり、30年が経過した現在も形状や材質、性能にほぼ進化が見られない。そこに一石を投じたのが「プレートピア」である。

JP TIGHTが開発したディスクプレートは、チタン製の薄板のディスクとナイロン製のクロックを重ね合わせて作られている。その狙いは軽量化と同時に、フレックスとトーションを最適にコントロールするためだ。スタンスの調整の役割に加えて、機能性を求めたのだ。

フレックスとはスノーボードのたわみ具合、トーションとは同じくねじれ具合を指し、その違いは滑走時にボードの柔らかさ、コシ、反発力となって足裏に伝わってくる。一般的にフレックスとトーションが強いボードは、高速滑走時にブレが少なく、安定したカービングが可能になるほか、ボードからの反発力を加速やジャンプに活かせるなどの特長がある。しかし、これらが強すぎると、ボードは暴れ馬のように乗り手を跳ね上げ制御が困難になる。そのためフレックスとトーションは、単純に強ければいいというものではない。

プレートピアは、世界で初めてディスクプレートにチタンとナイロンを採用し、弾性や応力などの物性値を緻密に計算の上、プロスノーボーダーによるテストを重ねることで、フレックスとトーションの最適値を導き出すことに成功している。そのことで軽量でありながら、適度な反発力と素早いレスポンスをあわせ持つ、ハイパフォーマンスなディスクプレートが誕生した。既に国内特許を取得し、外国への出願も済ませている。

オリンピック選手を育成するためにプロスノーボーダーが開発

開発したのは、粟國朝嗣専務である。粟國専務は同社の製品開発を担う一方、実は日本スノーボード協会の公認資格を有するプロスノーボーダーとしても活躍している。アマチュア時代にはオリンピック出場を目指し、国内の主要大会で数々の好成績を上げ、プロに転向してからはコーチとして、オリンピック選手や指導者を育成してきた経歴を持つ。プレートピアの開発のきっかけを専務に伺った。

「選手時代から市販のディスクプレートの重さや硬さ、レスポンスの鈍さなど性能面に不満を抱えていました。そして、プロに転向しジュニア選手の育成に携わったことで、子供たちの能力を効率よく伸ばすために、より軽量で身体への負担が少ない、高性能なプレートが必要との思いが一層強くなりました。」

こうして粟國専務は、プロスノーボーダーとして活躍する傍ら、2014年から選手の育成のために、自らディスクプレートの開発に取り組んだのだった。2017年には、休眠状態にあった家業の鉄工所を引き継ぎ、社名を「JP TIGHT」と改め、スノーボード関連器具の開発会社として再スタートさせた。社長には奥様である、粟國さやか氏が就任している。

開発の裏には社長による内助の功 

粟國さやか社長にこれまでの苦労話を伺った。

「特許を取るまで、詳しい内容を一切聞かせてもらえませんでした。それなのに開発費や遠征費が嵩んで資金繰りが苦しくなるし、家の中まで試作した金属部品だらけになるし、本当に大丈夫だろうか?と不安になることもありました。」さらに続く。

「それでも、製品の1号機をプレゼントしてもらい、初めてそれに試乗した時には驚きました。軽くて弾むような感覚がリニアに得られるので、いつもより上手に滑ることができたのです。その時になって“これならいける!”と確信することができました。」と当時を振り返る。

なお、後日専務から伺った話では、粟國社長もスロープスタイル(レールやジャンプ台を攻略しながら、空中技の難易度や完成度を競う得点競技)や、スノーボードクロス(バンクやウェーブのあるコースを選手が一斉に滑り着順を競う「雪上の格闘技」とも言われる競技)の大会で優勝経験を持つ、アマチュアトップレベルの腕前の持ち主だった。初めて試乗した際の的確な評価も頷ける。また、学生時代には、「きもの装いコンテスト」の全国大会で入賞を果たした着付けのプロでもあった。多才さに驚きだ。

そんな粟國社長はプレートピアが完成するまでの間、資格を活かして着付け教室を開いて生活費を賄い、専務を信じて支え続けていたのだった。

やがて競技に勝つための必需品になる

2019年4月、理想とするディスクプレートがついに完成し、「プレートピア」と名付けて発売を開始した。それは選手の育成に役立つだけではなく、子供からエキスパートまで、誰もが楽にスノーボードを楽しむことができる渾身の自信作に仕上がった。

価格は1セット18,000円で、UNIONとFLUXのボードに対応している。動画サイトを通じてユーザーの口コミが広がり、オフシーズンであるにもかかわらず、12月までの9か月間で既に130セットが販売された。専門家からは「やがて競技に勝つための必需品になるだろう」との心強いお墨付きも得た。

今春からは国内外の展示会に出展し、本格的な営業活動をスタートさせる計画だ。粟國専務は「川崎から世界中に広げていきたい」と意気込みを熱く語ってくれた。

プレートピアの真価は、実際に試してみないことには伝わらないだろう。ご関心のある方はぜひ試乗をお勧めしたい。そして99%の世界への誘いを体感して欲しい。

スノーボード用ディスクプレート「プレートピア」

 

プロスノーボーダーの粟國 朝嗣専務の妙技

川崎市産業振興会館
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