GOKO映像機器 株式会社

光学70年の技術で世界の顧客に寄り添う観察・映像機器のインテグレーター

 

 

 

取締役社長 後藤 友子

事業内容 光学映像機器の開発製造販売、貿易、不動産業
企業名 GOKO映像機器 株式会社
創業 1960年(昭和35年)2月
所在地 川崎市幸区塚越3-380 GOKOビル
電話 044-544-1313
従業員 15名
代表 後藤 正(ゴトウ タダシ) 後藤 友子(ゴトウ トモコ)
URL https://goko-imaging-devices.com/

人間の身体には、毛細血管が網目状に張り巡らされ、その総延長は10万kmを超えると言われている。しかし、毛細血管を観察しようとすると、構造の複雑さのため、一般的な顕微鏡では鮮明な画像を得るのが困難である。そのような特性を持つ毛細血管や血流を鮮明かつ簡単に観察できるようにし、世界中の医療関係の研究者などから圧倒的支持を得ているのが、GOKO映像機器(株)の卓上・ハンディ兼用型毛細血管スコープ「GOKO  Bscan-Z」である。約70年の歴史を有する光学設計技術を礎として、使いやすい観察・映像機器を生み出す同社の後藤友子社長にお話しを伺った。

8ミリ映写機やコンパクトカメラの世界市場で築き上げた光学設計技術

1953年に当時27歳の後藤正氏(現会長)が創立した三星光機株式会社が同社の前身である。I.一切の見栄を排す II.自らで考案した製品のみを作り、下請け仕事をしない III.無借金経営 という『経営三原則』は創業から現在に至るまで約70年間堅持されている。同社は1960年代に8ミリや16ミリの映写機の交換レンズを手始めに映像関係で事業拡大し、1964年には当時の主力製品であった8ミリフィルム編集機が世界一の市場シェアを獲得する。また、80年代からは、コンパクトカメラ市場を開拓し、国内大手のほぼ全てのカメラメーカーからOEMを依頼された。特許取得技術であるユニバーサルフォーカス機能などの光学技術が強みとなっていた。カメラ事業が伸長し、1989年にはGOKOカメラ株式会社へ社名を改めると、1993年にはコンパクトカメラの生産量が年420万台にも達し、有名雑誌により生産台数世界一と評された。

しかし、2000年代に入ると、業界に大きな波が押し寄せる。フィルム式のカメラからデジタルカメラへの転換が進みつつあった。正氏は、「電子機器であるデジカメは、当社の事業領域外」と光学技術を主軸とした事業形態を貫くこととした。2002年にGOKOグループの業容大転換を実施し、コンパクトカメラ事業を漸減させる決断をした。また、カメラで培ってきた生産技術を農業へ応用し、新たにアグリ事業部を設立して、ガラスハウスによるトマト栽培を進めた。

業容大転換の時期にGOKOに入社したのが、正氏の孫、後藤友子氏だった。幼い頃から祖父が世界を相手にビジネスしている姿を見て、尊敬の念を抱いていた友子氏がGOKOを選んだのは自然な流れであった。

2003年に入社すると、経営、経理、広報、貿易実務等の多岐に渡る業務を経験した。会社の転換期であったため、映像機器の製造販売に限らず、食品製造販売、不動産管理などの様々な事業に関わってきた。

当時、会社は映像機器事業を縮小する方向で検討していた。しかし、貿易業務に携わっていた友子氏は、「日本以上に海外でのGOKOというブランドの認知度が高い」ことに気づいていた。8ミリフィルムの編集機、接写機能に優れたコンパクトカメラに世界中の人々が愛情をもって扱ってくれていた。数多くのファンから修理や発注の依頼を受け、その気持ちを受け止める中で、「自分たちから絶やしてしまってよいのだろうか?この思いに応えないと後悔するのではないか?」友子氏は自問した。そして、自ら手を挙げて、映像機器事業を統括し、強化することとした。2015年12月より社長に就任し、2018年には映像機器を一層拡充する思いでGOKO映像機器株式会社へと社名を改めた。

顧客の声に耳を傾け、社員全員でのチームワークで丁寧な製品作りをする

就任直後の友子氏は、当時の状況を見て、直接当社の製品を使っている顧客の生の声を積極的に聞く事で当社独自の製品開発を加速できると考えた。当社から徹底的に、顧客の声を聞く努力を繰り返したことで世界中の顧客から貴重な意見を得ることができた。その結果、自社の映像機器は、自分たちの想像以上に多彩な使い方をされており、発見も多かった。それらに真摯に向き合い、丁寧な製品作りをすべく社内をまとめ上げていった。

そういった姿勢が結実したのが、主力製品であるGOKO  Bscan-Zだ。生体観察などにおける研究者の手を煩わせないように、片手で持てる軽量さで、レンズを替えることなく低倍率から超高倍率まで鮮明な画像を得られる。また、フィット感の高いハンドグリップや特許出願中の無反射キャップ、そしてユーザーフレンドリーな流速計測ソフトなどの豊富なオプションも、「世界で一番使いやすいと自負しています」と友子氏が胸を張るポイントとなっている。

こういった製品開発を支えているのが、社員全員でのチームワークである。開発は全て社長が主導で率いるべきとの当社会長のポリシーを引き継ぎ、開発に関連する会議には友子氏も加わり、多様なメンバーが当事者として製品作りに関わっている。初代から勤め上げている優秀な職人も在籍しているので、速やかに試作品もでき、顧客の要望への高い対応力につながっている。友子氏は、朝礼等を通じて、風通しの良い雰囲気を心がけ、社員が自発的に動く風土を形作ってきた。その道標となったのが、小さい頃から祖父母が話していた言葉の数々であった。社内外の相手への接し方、会社の目標の設定の仕方など「今だからこそ理解できると感じることが多くあります」と先人の知恵を活用しながら風土を作っていった。

医療分野へのアプリケーションを開拓し、海外展開を強めていく

今後、同社は、医療分野への展開を強めていきたいと考えている。ここ数年、観察・映像機器へのニーズが強くなっており、マイクロサージャリー(顕微鏡等を用いて1-2mm程度の細い血管の縫合などをする外科手術)分野での研究論文も増え、国内のみならず海外からも問い合わせが増えている。

この分野でも自社の使いやすさを追求した製品戦略が有効であると考えている。生体に生じた異変のモニタリングの過程では、血管を毎日観察することもある。観察時の眼精疲労が少なく、見やすい画像を得られる製品を提供することに価値があると友子氏は考えている。リウマチの判断、形成外科での術後の生体組織の再建状況、COVID-19等の疾患で生じる血栓の状況、頭皮の血流計測などで効果を発揮する。

「医療分野に展開して映像機器の世界が広がっ
てきている。やってみるまでわからなかった」     と友子氏は実感している。社長になった時の不安も、支持してくれる国内外の医療分野の研究者が増えたことで払拭された。

「特殊マイクロスコープの領域でも、日本のみならず海外でもGOKOの名前を広く知っていただきたい」と落ち着いた表情で語る友子氏。その凛とした眼差しの先には、世界中の医療研究者がGOKOの映像機器を使いこなすイメージができているのであろう。

 

多彩なラインナップの映像機器

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