頭脳集団が経営理念で一つになり世の中の単純作業を自動化する!
代表取締役 川畑 晋治
事業内容 | 自動化を始めとした新規事業コンサルティング・自動化製品の開発製造販売 |
企業名 | 株式会社 CoLab (コラボ) |
創業 | 2015年(平成27年)8月 |
所在地 | 川崎市幸区新川崎7-7 AIRBIC A06号室 |
従業員 | 18名 |
代表 | 川畑 晋治(カワバタ シンジ) |
URL | https://www.colab.co.jp/ |
生産工場における「自動化」は旧来から存在し、日夜進化を続けてきた結果、今や自動化出来ないものは無いかのように思われている。しかし「販売サイクルが短く過酷な単純作業を伴う生産現場ほど、自動化から取り残されているのが実態です」と川畑社長は語る。同社が開発する自律制御ロボットが稼働を始めれば、消費地で生産を行う、すなわち、国内生産回帰が可能となり、日本のものづくり産業に貢献する事が出来ると考えている。それを実現するのは、同社の技術と確固たる顧客第一主義の経営理念である。
自動化のコンサルティングと自律制御ロボットを開発する会社
株式会社CoLab(コラボ)は2015年に設立された。川畑氏は創業者であり現在も代表である。川畑氏は学部卒業後に大手産業機器メーカーに就職した。研究開発職は大学院修了を要件としている組織が多いなか、学部生にも研究開発の門戸を開いている会社であることも入社の要因となった。
入社後、制御機器、計測器、安全機器等の研究開発を通して技術とスキルを磨いた。開発した製品が世に出て顧客に認められることに喜びを感じてはいたが「過酷な単純作業を自動化するサービスを早く顧客に提供できないか」という思いから独立の道を選んだ。
独立当初は個人事業主として一人で顧客の課題解決を行っていたが、業容拡大とともにスタッフ一丸となって顧客の課題解決にあたるため同社を設立した。
スタッフは川畑氏と同じ産業機器メーカー出身者、研究機関出身者、そして国内コンサルティング会社出身者と様々だが、いずれのスタッフも「顧客の利益を最大化する」との思いを共有しており志は皆同一である。
現在は、主に事業会社や研究機関に対してコンサルティングを行いながら、自律制御ロボットの自社開発を進めている。
より広い開発スペースが必要となった事、川崎市には試作開発で協業を依頼できる企業が多数立地している事等から、2020年に川崎市のインキュベーションセンターである「AIRBIC」に本社移転を行った。なお、自社製品は2022年には上市の予定である。
「相手の利益の最大化が自らの利益を最大化する」経営理念と強い組織づくり
同社の基幹技術であり強みであるのは画像処理、ロボット制御、リアルタイム制御と、顧客毎の最適設計をコンピュータによって機械学習するAIソフトウェアであるはずだが、同社は技術よりも経営理念が強みだという。「新技術は生み出せて当たり前。技術を醸成し、生み出す基となる経営理念が最も重要である」と川畑氏は語る。
同社の経営理念は「相手の利益の最大化が自らの利益を最大化する」「相手の人物になって考える」
「原理原則で考え本質を追求し当たり前に実践する」の三つである。
CoLabの経理理念を言葉にするのは簡単だが実践するのは容易では無い。「指揮命令系統と迅速な経営判断を両立するには、スタッフ全員が経営理念を基に提案し、スムーズに合意形成する組織構築が重要であり会社として大切にしている点である」と、同氏は創業当初からの変わらない熱い考えを貫いている。
世界中の単純作業を自動化する
自律制御ロボットはいったいどのようなロボットで、なぜ自律制御が単純作業の自動化に繋がるのか。それを理解するには自動化に必要な「投資回収計画」と「リードタイム」を理解し、それぞれの課題を解決する必要があると代表の川畑氏はいう。
「自動車などモデルチェンジが4年から8年と販売サイクルの長い製造工程は日進月歩で自動化が進んでいる。反面、アパレルや家電製品など半年から1年単位でモデルチェンジされ、多品種を揃える必要のある製品の自動化は、多額の投資コストをかけてもそれを販売サイクル以内に回収することは困難であり、また、生産計画を立案してから数週間では自動化準備を整えることも困難であるため、人の単純作業で生産している。」結果、メーカーは人件費の安い国へ生産を分業し、その国の人件費が上昇してくるのに合わせて、さらに人件費の安い国へ移転するということを繰り返している。
CoLabは、人間が視覚情報と触覚情報を基に単純作業の方法を学習していることを機械自身に学習させ、投資コストの主要因である設計コストと設計期間を短縮することで、自動化の課題を解決している。現在は任意の位置・姿勢で生産ラインを流れる電機製品の「ネジ締め」や「コネクタ着脱」の自動化と、アパレル製品生地の「外観検査」「1枚安定搬送」を開発しており、2022年には製品が世に出回る予定である。
同社の製品が工場の各工程で活用するメリットは人件費削減だけに留まらず、ユーザーである生産者の競争優位性にも寄与する。なぜならメー
カーは市場のニーズを汲み上げて製品を開発し、消費地に近い場所で生産してすぐに市場へ出せるほど他社との競争優位を築けるからだ。それを同社の自律制御ロボットが実現するという。
「単純作業がロボット化されると人の仕事を奪うことになるのではないか」少し意地悪に代表の川畑氏に問うてみた。「人が生き生きと働いている現場では、創意工夫により新しい付加価値が生まれます。そのような場所ではロボットが人の仕事を奪うことはできません。しかし、世の中には自動化の手段がないために、過酷な作業を人が行わざるをえない場所がたくさんあります。我々はそのような現場から自動化を進めていきたいと考えています。」
同社の自動化製品は、顧客である生産者の付加価値が向上する。それは即ち、最終消費者の利便性を高める事のみならず、世の中の単純作業の自動化を実現することに他ならない。
「弊社のビジョンに共感してもらえる会社、個人、学生を始め様々方と議論したい。」と自動化を通じて社会に貢献したいと川畑氏は話している。
治具や事前設定なしに、コネクタ締結を行う同社のロボット