株式会社 レゾンテック

ワイヤレス給電の特許技術「並列共振駆動方式」で実用的な給電効率と給電距離と範囲を実現

 

代表取締役社長 関沢 康史

事業内容 コンピュータシステム及びソフトウェアの企画、研究、開発及び販売
企業名 株式会社 レゾンテック
創業 2017年(平成29年)7月
所在地 川崎市高津区坂戸3-2-1 かながわサイエンスパーク内 東棟507
電話 044-455-6652
従業員 3名
代表 関沢 康史(セキザワ ヤスシ)
URL http://www.raisontech.jp

「当社のワイヤレス給電技術は、長年取り組んできたバッテリーレスのスタイラスペン(電子ペン)の特許技術から生まれました。従来の技術に比べて、給電エリアを広くでき、その範囲では低損失なエネルギー供給を可能にしました」と関沢社長は胸を張る。

主要製品として、バッテリーレスのスタイラスペン、ワイヤレス給電モジュール、ワイヤレス充電可能な電池などを展開している。電磁誘導とは、磁界の変化によってコイルに電流が流れる現象だ。

電磁誘導の共振技術をコア・コンピタンスとして商品化していく技術ベンチャー

「当社は電磁誘導の共振技術をコア・コンピタンスとして商品化していく技術ベンチャーです。電磁誘導は電気シェーバーの充電器やワイヤレスイヤホンなど身近なものに使われています。電磁誘導は奥深く、電気工学分野では電磁気学は基礎の基礎、パーツ設計等は経験の蓄積が重要となります。コイルの設計のプロフェッショナルが当社に在籍していますが、このコイル設計ノウハウの蓄積で高度な技術を実現できます」と技術畑出身の関沢社長は語る。

関沢社長はシステム開発業務を経験後に独立、システム開発を受託する合資会社を設立した。その後、前職の社長から関沢社長が開発したマルチタッチパネルの特許が6千万円で売却できたので、その半分の3千万円を渡すからタッチパネル接触センサー等を製造するハードウェア会社を作ることを依頼されて、2006年6月に前身のベンチャーを設立した。

前身のベンチャーにてバッテリーレスのスタイラスペンのセンサーIC (集積回路)と電子ペンの国際特許を取得した。現取締役の技術者から「電磁誘導の技術で面白いアイデアがある」と聞いて挑戦しようと、2017年7月に㈱レゾンテックを設立、特許を移管して再出発した。

「当社は設立時から電磁誘導の高い技術を持っていました。スタイラスペンの市場は日本の企業一強という状況に風穴を開ける心意気でチャレンジしました。高抵抗の透明のフィルムセンサーで動作可能なバッテリーレスのスタイラスペンは当社のユニークな技術で実現しました。お客様の製品に組み込むためのICチップ化にお金と時間がかかりました。研究開発投資を回収するために、ビジネス化に最適なワイヤレス給電に取り組みました。並列共振駆動方式の新たな特許技術を開発し、ワイヤレス給電モジュールを1年以上かけて製品化しました」と関沢社長は語る。

その成果は、2019年4月に第19回MINERVAビジネスプラン発表会で発表した。その際に、かわさき起業家オーディションの存在を知り、2020年7月に第123回かわさき起業家オーディションアイデアシーズ市場にて川崎起業家賞やKSP賞等を受賞した。

これを機に、2020年10月に川崎市高津区のかながわサイエンスパーク内に本社と研究開発拠点を移転した。その結果、大手企業出身の技術を保有する人材2名を雇用でき、開発スピードも格段に上がった。

ワイヤレス給電モジュールはIoT機器などの製品に組み込むBtoBビジネス

「当社のワイヤレス給電モジュールはお客様の製品の中に組み込むBtoBビジネスです。売上高に占めるワイヤレス給電モジュールの比率は高く、今後の当社の屋台骨になります。最も苦労したのは資金繰りです。ものづくりベンチャーは大変で、『大手企業が紐づいていないと無謀だ』とも言われました。製品の開発にはお金と時間がかかり、世の中に出すには忍耐力が必要です。しかし、製品を出す喜びがあると信じてやり続けています」と関沢社長は力強く語る。

今年2021年は、バッテリーレスのスタイラスペン、ワイヤレス給電モジュールの両方をリリースする計画だ。バッテリーレスのスタイラスペンは基本的には海外相手の商売で、既に海外に協力者を得ている。今後も海外大手メーカーにプレゼンする考えだ。ワイヤレス給電モジュールはクラウドファンディングのMakuake(マクアケ)を活用してモバイル機器向けワイヤレス充電装置を販売する予定だ。BtoC向けのクラウドファンディングはあくまでも広告宣伝効果を狙ったものであり、BtoBのお客様への製品訴求が目的だ。アジア・欧州の展開に備えて、韓国に現地代理店を設立した。海外では無人ドローンの規格化も進んでおり、当社のワイヤレス給電モジュールの特徴を活かした小型化や低コスト化が着目されている。今後、中国や米国にも現地代理店を設立する計画だ。特許の国際出願も済み、今後は当製品の認知スピードが勝負だ。

経営上の課題は、資金調達と営業フォローだ。資金調達では、金融機関からの融資に加えて個人投資家やVC(ベンチャーキャピタル)からの出資を募っている。営業フォローでは、ワイヤレス給電モジュールのお客様からの問い合わせも多く、お客様2~3社に担当者1人必要である。
事業の拡大に、ビジネスパートナーも必要だろう。バランスを取りながら資金投下していく。

競合のQi規格製品に比べて、高い給電効率、実用的な給電距離・給電範囲で優位

会社のビジョン「私たちが生み出す技術が、世の中に多くの恵みをもたらすよう、私たちは研究開発を情熱的に取り組む」を掲げる。

社名の由来は、当社の根幹技術である電磁誘導の共振・共鳴の英語「レゾナンス」と仏語の哲学用語「レゾンデートル(存在意義)」をかけ合わせたテクノロジーという意味で「多くの人々が私たちの技術商品と共鳴して欲しい、それが私たちの存在意義である」がモットーだ。

「電磁誘導の小中電力機器への給電と言えばレゾンテックと言われるように、トップを狙える企業としてグローバル展開を考えています。開発は日本、製造は海外が中心となる予定です。競合のQi規格製品に比べ、高い給電効率、Qi規格の3~5倍の実用的な給電距離と給電範囲、対価格性能という点において、当社のワイヤレス給電による充電方式は実用的で優れていると自負しています」と関沢社長は語る。

現在はワイヤレス給電技術を世の中に出す段階。2~3年後にはICチップ化して、より適用できる製品を増やしていきたい。更には、4~5年後にはカプセル内視鏡やインプラント式センサー等の医療機器市場を開拓する。2023年度実績でIPO(新規株式公開)を目指している。

「ワイヤレス給電は脚光を浴び始めている技術です。一度見て頂いて、製品のグレードアップやリプレース、新製品を一緒に作っていきたいです。社会実装、つまり、企業の製品への実装を通して、社会を変革し、社会を便利にする研究開発に邁進していきます」と関沢社長は熱く語る。

多くの可能性を持つ自社のワイヤレス給電技術

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