株式会社 ROX

データサイエンス企業AIが新型コロナウィルス感染対策にも貢献

 

代表取締役 CEO 中川 達生

事業内容 AIアプリケーション開発事業、データ解析事業、研修事業
企業名 株式会社 ROX
創業 2015年(平成27年)10月
所在地 川崎市中原区木月1-32-3 内田マンション2階(川崎サテライト)
電話 03-6809-5633
従業員 9名
代表 中川 達生(ナカガワ タツオ)
URL https://www.rox-jp.com

“AI”とは、「人工的な」という意味合いを持つ「Artificial」と、「知能」を指す「Intelligence」の頭文字をとった略語であり、日本語では「人工知能」と訳されている。日常的な関わりでは、スマホに向かって問いかけると、ネットを検索して情報を提供してくれる「音声アシスタント機能」、人の動きや室温の変化を検知して、快適に温度を自動で調整してくれる「エアコン」、障害物を避けながら掃除をする「お掃除ロボット」、ドライバーの代わりに、周囲の状況を判断しながら安全に車を走らせる「自動車の自動運転」など、AIは我々の身近に存在している。

AIによる需要予測

ROXは、「AIの民主化、AIによる業務の効率化」をミッションに掲げる、データサイエンス企業である。AIについて改めて調べてみると、実は明確な定義は存在せず、通常は“人間の脳が行う知的活動を行えるようにしたコンピューターシステム”のことを指すらしい。データや経験から自ら学習し、臨機応変な判断や論理的な推論を、人間よりも素早く膨大に処理できるのがAIである。

こうしたAIの強みを活かしてROXでは、ビッグデータ分析、AIアルゴリズム開発、システム導入、AIアプリケーション提供など、様々な分野における業務の効率化や社会問題の解決に役立つデータサービスを展開している。

受託開発の事例を紹介すると、「パン・洋菓子屋の販売数予測」では、過去の販売データや天気データを解析することで、数十日先までの全商品の販売見込数を計算するAIシステムを開発した。パンや洋菓子は日持ちしないため、これまで廃棄ロスの多さを課題としていたが、システムを導入した店舗では、廃棄ロスが前年同月比で平均22%もの削減効果が確認された。また、「物流業の貨物数予測」では、過去データ、送り先、商品やシーズンの傾向を分析し、顧客企業独自のAIアルゴリズムを開発した。その結果、職人的なノウハウが必要とされる、トラックの配車業務の標準化と効率化が進み、スタッフ一人当たりの残業時間が月平均で14時間も削減された。このようにROXが提供するAIは、地球環境や働き方改革、経営の効率化、売上の向上にも貢献している。

昨今注目を集めているのが、「スーパーマーケットの混雑予想」である。新型コロナウィルスの感染防止対策として、生活必需品を扱うスーパーマーケットでは、顧客の混雑解消が課題とされている。そこでROXでは、客数予測技術をベースに、スーパーマーケットの混雑予測を可視化する「混雑予想カレンダー」を開発した。さらに、混雑が予想される曜日や時間帯の情報を、スーパーの利用者に提供することで、三密回避などの行動変容を促し、新型コロナウィルスの感染防止対策にも貢献している。

人々がより一層イキイキと働ける社会を実現したい

設立の経緯について中川社長に話を伺った。

「親友が仕事でメンタルを病み、32歳の若さで他界したことをきっかけに、“人々がより一層イキイキと働ける社会を実現したい”との思いで2015年に起業しました。そして始めたのが、ウェアラブルデバイスを使った、ストレスの可視化サービです。元々データ分析やプログラミングが得意だったので、身体データを解析してメンタルヘルスに活かそうと考えました。」

意外なことに、当初はメンタルヘルス分野での起業だった。AIサービスに舵を切った経緯について伺った。

「3年間ほどメンタルヘルスの仕事を続けましたが、売上が上がらずうまくいきませんでした。そのため傍らでデータ解析の技術を活かして、製造業やペットショップ、アイドル事務所、アプリ会社などでデータを分析解析するお手伝いをしてきたのですが、大阪で飲食店を経営する友人からの依頼で、お店の過去のデータをAIで解析したところ、業務の効率化や売上の向上に役立つ情報が見えてきました。色んな業種のデータを取り扱いましたが、中でも飲食業や物流業にAIの収まりがいいことが分かりました。」

こうしたことを背景に誕生したのが、店舗に向いた来客数予測AI「AI-Hawk-」と、運送業・物流業者向け専用の予測AI「AI-Buffalo」の二つの専用アプリである。店舗と物流業に特化した汎用品なので、個別にアルゴリズムを開発せずに、低コストでAIを導入することができる。例えば、店舗の来客数予測の「AI-Hawk-」の利用料は、スタンダードプランで月額9,800円(税別)とリーズナブルだ。45日先までの来客数や売上の予測、スタッフの最適なシフト予測にも対応しており、これまでに50店舗以上で採用された。運送・物流業向けの「AI-Buffalo」も同様にお手頃の価格で、貨物数を45日先まで予測可能なため、配送計画の効率化や人員配置の最適化に使える。フードデリバリーやネット販売の需要が伸びている昨今、非対面型ビジネスを推進する事業者にも便利なアイテムと言えそうだ。

BSMOグループ入りで新たな展開

2021年2月、ROXは株式会社BSMOグループに加わったと発表した。BSMOはD2C販売ビジネスや、グローバルなSNSマーケティングのパイオニアとして知られている。同社では、販売実績や顧客情報などのビッグデータを総合的に解析し、課題解決や未来予測・意思決定・企画立案に役立てる“ドリブンマーケティング”を強化するにあたって、ROXのAI/データ分析能力とプロダクト開発力を必要としていた。

ROXにとっても、BSMOの資金力やマーケティング力、営業力は魅力である。「これまでやりたくてもできなかった事業や、新プロダクトの開発に力を入れることができる。」と、グループ入りのメリットを語ってくれた。

両社が手を組むことで、様々な分野でビッグデータの解析が行われ、AIによる業務の効率化や社会問題の解決が一層進むことだろう。消費者にとっても、より便利で面白い社会がやってくるはずだ。

最後に「ROX」の社名の由来を伺うと、「人生を面白くする、世の中を面白くする」の“ろくする”を転じて「ROX」にした。」と明かしてくれた。親友の悲しい出来事が、前向きに昇華されていてチャーミングな命名だ。

川崎市産業振興会館
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