合同会社 わざあり

独自製法による、にんにくオリーブオイルと香辛子オリーブオイルを販売

 

代表 石井 正一

事業内容 にんにくオリーブオイル及び香辛子オリーブオイルの製造販売
企業名 合同会社 わざあり
創業 2016年(平成28年)4月
所在地 川崎市川崎区駅前本町11-2 川崎フロンティアビル4階
電話 042-815-0303(本社)
従業員 2名
代表 石井 正一(イシイ ショウイチ)
URL http://wazaari.co.jp/

当社は相模原市産のにんにくと川崎市産の香辛子を活用して、独自の製法でそのエキスを含んだオリーブオイルを製造、販売している。にんにくから抽出されるアホエンや、香辛子から抽出されるカプシノイドなど、人の免疫力アップや代謝促進に有効な成分を含むオリーブオイルは、サラダやパスタ等の様々な料理にマッチする新感覚のフレーバーオイルである

免疫力を高める成分を含む「我力(がりき)」を独自製法で開発

相模原市産のにんにくとスペイン産のオリーブオイルを使ったにんにくオリーブオイル「我力(がりき)」を製造販売するために、2016年4月に立ち上げた会社が合同会社「わざあり」である。石井代表に特長あるネーミングの由来、商品開発のストーリーを聞いた。

「わざあり」は「技あり」からとっている。柔道では、一本には満たないが相当の投げ技を決めたとき、寝技では規定時間以上押さえ込んだときに「技あり」と判定するが、技ありを2回決めると合わせ技一本として勝利するルールである。「1本の柱だけでは会社は成り立たないので、将来は色んな柱を作って、合わせ技一本にしたい」という意味合いを込めたそうであるが、現在は色んな商品の柱が立ちつつある。

その柱の1本が当社の主力商品である「我力」である。にんにくの英語名ガーリックをもじって付けたそうだが、我(自分)の力で治そうとする力を育むという意味も込めている。2015年頃に、相模原市の異業種交流会で知り合った方が同市で黒にんにくを生産していたが、B級品の処理に困っている話を聞いた。持ち前の好奇心で調べてみたら、にんにくにはアリシンという臭いの元になる物質が含まれており、さらに調べると、アリシンを食用油などの溶媒に溶かした際にアホエンという物質を生成することがわかった。アホエンのアホとは、スペイン語でにんにくを意味する。このアホエンは免疫機能を高め、抗酸化作用・抗菌作用があるという。さっそく家でにんにくとサラダ油やゴマ油を使って色々試してみたところ、一番美味しくにんにくの風味が出るのがオリーブオイルであることがわかった。KISTECに成分分析をしてもらうと、確かにアホエンが含有されていることがわかり、しかも美味しい。このアホエンの効能と、にんにくオリーブオイルの美味しさに目をつけた石井代表は、にんにくからアホエンをオリーブオイルに最大限抽出させる実験を繰り返し、最適なオイルとにんにくのバランス、温度、時間を導き出した。その独自の製法は、門外不出の企業秘密だそうである。

ネーミングや商品ラベルのデザインもKISTECに協力してもらって、2016年8月に「我力」を販売開始した。にんにくオリーブオイル「我力」の使い方は、炒め用ではなく、料理の仕上げ用である。サラダにかけるもよし、焼き魚や豆腐にかけるもよし、パンにつけてもとても美味しい。ネットでの販売がメインであるが、相模原市のふるさと納税返礼品でも選べる。相模原市のアンテナショップやJA直営店でも取り扱っている。

25歳で会社設立 2008年には無電力自動ドアで「かわさき起業家大賞」を受賞

石井代表は1960年、山梨県富士吉田市に生まれた。小学校まで山梨県で暮らし、中学校から神奈川県座間市に移り住んだ。親が織物職人で自営業であったため、青年時代からサラリーマンになることはあまり考えていなかった。いくつかの職を転々とした後、25歳で結婚したと同時に座間市で電動式自動ドアの設置とメンテナンスの会社を設立した。その後、2006年には株式会社アイスリーを立ち上げた。アイスリーでは、ゼンマイを駆動力とした電気を一切使わない扉開閉アシスト装置「AIDoor(エイドア)」を開発し、特許を何件も取得した。最も苦労したのは、アイスリー社設立間もない頃、元々エンジニアでもない石井代表が、機械構造のアイデア出しを懸命に行ったことであると振り返る。AIDoorの開発が完了し、2008年の第54回かわさき起業家オーディションに応募したところ、見事にかわさき起業家大賞(川崎市長賞)を受賞した。受賞後の展示会で多くの注目を集め、電車車両メーカーから車両間のドア用に引き合いが来て、都内の地下鉄等に累計800枚ほど納入した。現在は、石井代表は合同会社わざありの経営に注力している。

川崎生まれの「香辛子」を使ったオリーブオイル「香力(かりき)」を商品化

オリーブオイルの我力だけでなく、我力味噌や我力醤油と次々と商品ラインナップを増やしていた石井代表であるが、2019年6月頃に知り合いの新聞記者から、川崎市にある味の素が開発した「香辛子」のマッチング会への案内であった。香辛子とは、含まれる辛味成分カプシノイドは代謝促進効果があり、通常の唐辛子に含まれるカプサイシンの辛さの1000分の1の、香りが高い新品種である。同年8月に宮崎台のJAセレサで開催されたマッチング会から持ち帰った香辛子を、最初は我力とブレンドしようと試作したが、結局香辛子だけを使ったオリーブオイルを商品化することにした。現在は川崎駅前に事務所を構えている当社であるが、相模原市に本社のある当社を熱心に支援してくれる川崎市職員を不思議に思ったそうだが、川崎市の農家や飲食店、行政と新たなネットワークが築けると思い、香辛子オリーブオイル「香力(かりき)」の開発に真剣に取り組んだ。できあがった香力は、川崎市内の飲食店やホテルで採用され、2020年3月にプレスリリースした。ところが、直後に緊急事態宣言が発令され、アナウンス効果による売り上げが期待ほど伸びなかったが、現在ではネット販売のほか、川崎市産業振興会館2階の「まんまmiyu」で購入することができる。
味わい方は「我力」と同じく、サラダやパスタ等の料理の仕上げ用であるが、課題もある。それは、香辛子の消費者への周知である。まだまだ知名度が高くない香辛子自体を知ってもらうことが、香辛子オリーブオイルの実販を左右すると言う。将来は、香辛子の苗販売時にQRコード付きの名札でWEBサイトに誘導する企画が、香辛子関係者間で進行中だそうである。石井代表が作る「我力」と「香力」をぜひともご賞味いただきたい。

主力製品である「我力」(左)と「香力」(右)

川崎市産業振興会館
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