ワールド産業 株式会社

食品工場向けに衛生管理用品を販売、そして100年企業を目指しミャンマーで新規事業を展開

 

代表取締役社長 矢的 良章

事業内容 食品工場消耗品・サニタリー販売

営繕工事リニューアル/ディスプレー・サイン製作

企業名 ワールド産業 株式会社
創業 1982年(昭和57年)11月
所在地 川崎市幸区下平間187-10
電話 044-544-7825
従業員 9名
代表 矢的 良章(ヤマト ヨシアキ)
URL http://world-sangyou.net

食品工場で一番注意を要するのが、食品への異物の混入。ワールド産業は、その異物混入を防ぐためのオリジナル商品を提供している。例えば、作業者の毛髪が混入するのを防止するための『頭巾』は、当社の主力商品だ(写真参照)。

当社はお客様のニーズに応えることで業容を拡大させており、衛生管理用品の販売にとどまらず、食品工場の内装の営繕工事などにも対応している。

さらに、近年ではミャンマーへ進出し、日系企業の工場向けに弁当の販売やキャンティーン(食堂)の運営などを行っている。起業家精神を保ちながら堅実経営を進める元気企業を紹介しよう。

市場環境の変化に機敏に対応、衛星管理用品の提案力で食品メーカーを開拓

ワールド産業が商売を始めたのは、会社設立から10年ほど遡る1970年のこと。当時、日本の経済が発展していく中、横浜や川崎市内の製造業も活気に満ちあふれていた。当社は、工場で働く作業者の手を保護する手袋を販売することから事業をスタートさせた。

お客様のニーズを先取りし、例えば綿製の手袋に替えてナイロン製の手袋を提案するなど、工場の生産性向上や品質改善に貢献することで、大手メーカーの信頼を勝ち取っていった。

また、製品の高精密化などを背景に、工場にクリーンルームが導入されるようになると、クリーンルーム用ウェアの共同開発に参画するなどして、取り扱う商品の品揃えを増やしてきた。

当社の顧客は、家電、金属、自動車部品などの大手メーカーが中心であったが、2008年のリーマン・ショックの影響で顧客全体の業況が悪化し、当社の売上も大きく落ち込むことになる。そうした中、新たに開拓したのが食品メーカーだ。

食品業界は、リーマン・ショックの影響を大きく受けていない業界であったこと、クリーンルームで培った最先端のノウハウが活かせる業界であったことから、顧客ターゲットとして狙いを定めたのだ。飛び込み営業を繰り返し、頭巾やウェア、手袋やマスクといった消耗品などを提案することで、お客様を広げていった。HACCP(ハサップ)と呼ばれる国際的な衛生管理の手法が注目されるようになってきたことも追い風となり、多様な商品群の中から最適なものを提案できる商品力がお客様から高く評価され、当社の商品を採用する食品メーカーは増えていったという。今では、航空機の機内食を製造する現場にも、当社の商品が採用されている。

当社はお客様の現場の様々な問題を解決するための商品やサービスを提案することで、時代の変化の荒波を乗り切ってきた。「お客様の信頼を勝ち取ることを第一に考え、お客様から相談してもらえるような立場でいられるよう、心掛けています」と矢的社長は語る。

頭巾・ユニフォーム・インナー等の用品販売と専門性の高い営繕工事が事業の柱

現在のワールド産業の国内事業は、食品や電機等のメーカー向け用品の販売、および営繕工事の2本柱だ。

用品販売では、食品や電機などの工場に向けて、頭巾、ユニフォーム、インナー(毛髪落下を防ぐ内帽子)、手袋、マスク、シューズカバー、アームカバー、エプロン、清掃用具等をお客様のニーズに合わせて提供している。

例えば頭巾では、お客様ごとに作業スタイルが異なり、生地の厚さ、頭巾の大きさや長さ、どの程度顔を出すのか、まつ毛の落下防止、作業者の識別など、様々な要望があると同時に、既存商品に対する不満があった。当社では、オリジナルの頭巾を開発することで、このような要望にきめ細かく対応している。そしてそれは、大手の同業他社との商品の差別化につながっているという。

「大手と同じ商品を作っていても勝負になりません。お客様の個別ニーズに対応するのは、手間がかかる上、ロットも小さくなってしまい、簡単なことではありません。ただ、各工場の現場に合わせて作業しやすい商品を提供することができますので、それはお客様の生産性の向上につながります。そこを評価していただき、当社の商品を採用してくださっているのだと思います」と矢的社長は笑顔を見せる。

営繕工事では、塗装、防カビ、大工、左官、建具、クロス、ブラインド、カーテンなどの工事を受注している。用品販売を行う中で、お客様からカーテンなどの内装品の工事を依頼されたことが本事業の始まりであったという。

食品工場における結露・防カビ・異物混入対策といった専門工事ができることが、当社の強みの一つとなっている。また、養生をしっかり行うなど、工事の際の丁寧な仕事ぶりは、お客様から高く評価されている。

海外展開を推進し、ミャンマーで弁当の販売やキャンティーンの運営を開始

ワールド産業で企画・開発した商品は、中国で委託生産している。ただ、中国では人件費の上昇が続いており、新たな生産拠点を探す必要に迫られていた。そこで日本企業の進出が増加しつつあったミャンマーに着目した。

当社はジェトロ(日本貿易振興機構)の支援を受けて、2014年頃からミャンマーの縫製工場などの調査を開始した。現地の縫製工場と具体的な商談を進める中で、生地を始めとした各種材料の調達や技術水準などの問題が明らかになり、委託生産は時期尚早と判断した。

一方、ミャンマーでの活動を進める中、ヤンゴン郊外のティラワ工業団地へ進出する日系企業から、工場の給食で困っているという相談を受けた。当社はそのようなニーズに応えるため、給食事業に着手。ミャンマー人と共同で『ミャンマーワールド産業コンサルティング』を設立し、2016年に工業団地が立ち上がると同時に給食事業などを開始している。現在ではティラワ工業団地の近くに、2カ所のセントラルキッチンを整備し、一日1,000食を提供している。当社の給食事業は、工場のミャンマー人作業者の栄養改善に役立っており、労働生産性の向上に少なからず寄与しているという。

そもそも当社が海外へ進出したのは、国内で販売するオリジナル商品の製造を海外で行うためでした。当初狙った事業の方向性とは違っていますが、お客様のニーズに応える形で弁当の製造・販売・配達やキャンティーンの運営といった新規事業を展開しています。加えて、お客様の要望に応え、工場内の清掃を行うサービスも日本品質で提供しています。ミャンマーにおけるビジネスの実績を積み上げる中で、情報収集やネットワーク作りが進んできていますので、将来的には頭巾などの縫製品をミャンマーで製造して日本国内で販売したいと考えています」と矢的社長は力を込める。

「日本の用品販売と営繕工事、それにミャンマーでの事業を加えて3本柱にすることにより経営を安定化させ、有事にも倒れない100年企業を目指して前進していきます」と将来を見据えている。

異物混入を防ぐ自社製「頭巾」

川崎市産業振興会館
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