株式会社 タマオーム

一本を大切に! 鉛フリーの ホーロー抵抗器で業界をリード

タマオーム 代表写真
社長 玉田 寛実
事業内容 電力形巻線抵抗器の製造・販売、抵抗器型負荷装置の設計・製造・販売、
電子部品総合商社、基板設計・製造・実装、ハーネス全般、各種組立配線 等
企業名 株式会社 タマオーム
創業 1967年(昭和42年)2月
所在地 〒214-0001 川崎市多摩区菅6-9-16
電話 044-944-8083
FAX 044-944-8081
従業員 31名
代表 玉田 寛実 (タマダ ヒロミ)
資本金 5000万円
URL http://www.tamaohm.co.jp/

重電、電源、モーターなどの産業機器で使われる、大電力に耐えることが出来るホーロー抵抗器で業界をリードするのがタマオーム。環境に優しい鉛フリーホーロー抵抗器を他社に先駆けて開発し、国内外の業界関係者から注目を集めている。「当社の強みは抵抗器を始めとした電子部品全般を、短納期かつ高品質で提供できること。技術力や提案力にさらに磨きをかけ、これからもお客様に選んでいただける企業であり続けます」と玉田社長は力強く語る。

ゼロから顧客を開拓し、電子部品の総合商社へ成長

玉田 数幸氏(現会長)は戦後間もない1950年、「石の上にも三年、人様に迷惑をかけるな、男になれ」という母親の言葉を胸に、故郷大分を後に上京した。いくつかの職業を経験した後、電機会社に入社。抵抗器の営業マンとして12年間の経験を積んでから独立し、技術者であった実弟とともに1967年にタマオームを設立した。「退社する時、勤務先の社長に“お客様を持っていかない”という約束をしました。ゼロから新しいお客様を開拓すべく、電話帳で電機と名のつく会社を調べ上げて、毎日、飛び込み営業を繰り返しました」と玉田会長は当時の苦労を振り返る。1976年、顧客の要求に応えて生産体制を強化するため、故郷の大分に工場を建設することで錦を飾った。地元の友人の協力を得ながら工場を立ち上げ、現在では当社の生産拠点として大きな役割を担っている。
父親である会長の後を継いで社長を務める玉田寛実氏は、ホーロー抵抗器の製造・販売に次ぐ第2の柱を育てるため商事部門を立ち上げた。「最初はメーカーの二次代理店として電子部品の販売を始め、少しずつ仕入先や取り扱い部品を増やしていき、現在では一次代理店として半導体、受動部品、コネクター、FA部品など多種多様な電子部品を扱っています」と玉田社長は笑顔をみせる。「部品を売るだけでは価格競争になります。まずは業である抵抗器の営業から入り、順々にその他の電子部品を売り込み、最終的には実装やハーネス加工、組立配線も含めて基板上にあるもの全てを当社で取扱い出来るように提案営業をしてきました」という玉田社長は、その提案力と技術力、短納期かつ高品質をもって、電子部品の総合商社としての同社の地位を確立したのである。

環境に優しい鉛フリーのホーロー抵抗器の共同開発に成功!

昨年4月、当社は被覆材に鉛を全く含まない“鉛フリーホーロー抵抗器”を発売して好評を博している。従来、被覆材に含まれる四酸化鉛は、EU(欧州連合)のRoHS指令(電気・電子機器に含まれる鉛などの特定有害物質の使用を禁止する規制)の規制対象にはなっていないが、近い将来、規制対象になると判断。材料メーカーと共同で、環境に優しい新素材の開発に成功した。「開発には2年を要し、会社を挙げて取り組みました。500回以上の試作を重ね、1万個の試作品を廃棄しました。シリコンやアルミなど材料の組成を工夫し、温度や時間など焼成に最適な製造条件を把握することで、欠け、ひび割れ、しま模様など欠陥の発生を解消できました。また、耐湿や耐振動などの性能を確認するため、大手メーカーの信頼性テストセンターにサンプルを持ち込んで、数ヶ月かけて試験を行い、データを集めました。開発には多額の先行投資が必要であるため、着手するか否か、たいへん悩みました。でも今は、やって良かったと思っています。開発を通じて社員全員が“世の中の役に立つ抵抗器を作り上げたい”という気持ちで一つになり、営業や工場など組織の結束力が高まったことが一番の収穫でした」と玉田社長は振り返る。
玉田社長が特に心に留めているものが緊密なコミュニケーション。社員からいつでも気軽に相談してもらえるよう心掛けているという。例えば、朝一番で大分工場へ電話を入れて「問題や困ったことは無いか」を確認することは日課となっている。また、展示会の出展準備や工場との打ち合わせなど、本社川崎の営業と大分工場の社員間の交流の機会を意図的に設けている。その他数社ある協力工場やメーカーとの定期的なコミュニケーションも欠かさない。組織や商売というものは、お互いの信頼で成り立っているからこそ、顔の見える人間関係を築くことが何よりも大切というのが玉田社長の持論である。
『TAMAOHM』のブランド力強化のため、展示会への出品、情報雑誌の広告掲載、ヤフーのサイト広告など、積極的に自社ブランドのPRにも力を入れている。例えば、毎年幕張メッセで開催される『テクノフロンティア』には2003年以降、連続して出展しているという。「当初は来場された方に“水道管ですか”と聞かれて恥ずかしい思いをしましたが、現在では展示品の見せ方も上手くなりました。様々なメディアでPRすることにより、毎週7~8社から新規の問い合わせがあります。これは新しい顧客を獲得するチャンスになるだけでなく、お客様から宿題を頂いて次の商売を考えるヒントにもなります」と玉田社長は説明する。

生産体制を整えて高品質を追求、未来に向けて前進

当社では電気機器の負荷試験装置に使用する負荷抵抗器を開発し、4月の展示会で発表を予定している。板金のボックスに抵抗器やスイッチなどを組み込んでユニット化することにより、付加価値を高めて販売する作戦だ。顧客が必要とする容量(KW)に合わせたユニット方式で納品することにより、顧客の利便性を高め、かつ安価に負荷抵抗器を提供できるという。また、高度化する顧客ニーズに応えるため、小型化にも取り組み中である。
「リニア鉄道や電気自動車の分野での技術革新によって市場の成長が期待できます。これを受けて重電、電源、電池関連の設備投資の増加が見込まれるため、当社にとっても大きなチャンスにしたいと考えています。製品の品質が良いのは当たり前の時代。より高いレベルの品質をお約束できる生産体制を整えて、将来に備えます」と玉田社長は将来構想を明快に語る。
当社は「一本を大切に」を経営理念に掲げている。大量受注が全てではない、例え一本の抵抗器だけの注文であっても心を込めて対応するという真摯な姿勢が、お客様からの信頼と今後につながると言う。“MADE IN JAPANを支える会社でありたい”経営理念を大切に守りながら高品質を追求するタマオームは、未来に向けて着実に前進を続ける。

川崎市産業振興会館
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