アソシエCHACO

ユニバーサルデザインの新衣料で利用者の生活品質を改善する

アソシエCHACO 代表写真
代表 栗田 佐穂子
事業内容 衣料品開発、製造販売、教育、スペースレンタル
企業名 アソシエCHACO
創業 2006年(平成18年)5月
所在地 〒214-0014 神奈川県川崎市多摩区登戸2130-2 アトラスタワー向ヶ丘遊園2F
電話 044-900-8844
従業員 6名(シフト制)、製作インターン生(アルバイト)数名
代表 栗田 佐穂子(クリタ サホコ)
URL http://www.a-chaco.com

川崎市多摩区の小田急線向ヶ丘遊園駅前に居を構えるアソシエCHACOは、独自のファッションデザインの創案で、衣料の脱ぎ着に苦労する要介護者や年配者のための画期的な商品を開発している。長年の洋裁学校経営の経験と培った人脈を活かして、一般健常者向けの既製服では対応できない利用者の悩みを解決し、クオリティオブライフの改善に取り組んでいる代表の栗田佐穂子氏に聞く。

既製服では解決できない悩みがある

「お歳を召した方、介護を受けているような方にとっては、実は一般に売られている既製服というのは不便な点が少なくありません」向ヶ丘遊園駅前アトラスタワーの自社ギャラリーで、栗田代表は自社商品開発の原点を語った。「例えばあまり自由に関節が動かなくなっている人は、服の脱ぎ着もとても大きな負担になりますし、手伝う人もたいへんです。だからといって“いかにも介護を受ける人の着るような服”は美観が犠牲になっていて、着る人のプライドを傷つけるかもしれません。それで外出することが嫌になると、ますます暮らしの質が下がってしまいます」こうした問題意識に支えられた同社の商品の強みは、こうした暮らしに潜在している課題を発見し、美観と便利さを両立させて見事に解決していることである。「そこで例えばケープを羽織るだけだと、ケープの手首辺りが食事のとき引っかかりそうで不安です。そのため手首から肘までを袖状にすることにより、見た目も垢抜けます。また片手で簡単に外せるマグネットボタンにしたので、着る人にとても喜んでいただいています」不便な服に我慢すること、美観を犠牲にすることが当たり前だと思っていた人たちにとって、栗田氏のつくる新しい服はとても重宝されるようになった。それを励みにして栗田氏は次々と、困っている個々のユーザーそれぞれにどう対応するか、独自のノウハウを蓄えてきた。

出会いに恵まれて事業化の道を歩き始める

栗田氏がこうしたユニバーサルデザインの衣料開発に取り組むようになったきっかけは、経営する洋裁学校の入学希望者に障害を持つ人がいた縁で、たまたま養護学校を訪ねたことだった。「川崎のこの地域で、親の代から始めた洋裁学校を子供の頃からずっと手伝っていたので、“門前の小僧”の私はごく自然に洋裁の技能を身につけて育ちました。それで学校の卒業生たちの協力も得られたので、最初はボランティアで困っている人たちのために一品一品、既製服の改造から始めたんです。そのうちに一からアイデアを考えてデザイン画に起こし、パターン(裁断・仕立ての原型)をつくって、実際に着てもらっては改善を繰り返しました」支えてくれる方たちとの出会いについて感謝の念を語る。
かかる経費は持ち出しだったが、それで得た知識は洋裁学校の教師としての自分の財産にもなると思い、ある時期までは対価無しで服づくりをしていた。ところがある日、栗田氏は服の新開発に限界を感じるようになる。「差し上げた服を着た方は、これまでの既製服よりは便利なので喜んではいただけますが、こちらに遠慮してそれ以上は不満を口にされない。ある服でファスナーがちょっと引っかかりやすくなっているようなのに、我慢されたようでした。考えてみたら、私もただでもらったものには文句は言いにくい。でももっといい服をつくるためには、ある程度は対価を頂かないと、率直に問題点も言っていただけないし、手伝ってくれる人にもボランティアでは申し訳ない。それで洋裁学校からは独立した事業として、立ち上げていこうと思いました」
顧客に販売する“商品”として服づくりを見直すと、いろいろな改善点が意識しやすくなったという。そこで意を新たにした栗田氏は、「着やすく・おしゃれに!ユニバーサルデザインファッションの開発と普及」をテーマに川崎市産業振興財団主催の「第69回かわさき起業家オーディション ビジネス・アイデアシーズ市場」に挑戦、「かわさき起業家大賞」と「日本起業家協会賞」、「川崎商工会議所会頭賞」の三賞を受賞した。

便利な商品をもっと社会に広めたい

「これからは、“便利でおしゃれな”製品を、社会に広めていきたい」と抱負を語る。川崎市の福祉製品の基準「かわさき基準(KIS)」に認定された“らくらくネクタイ”は、片手だけで着脱可能なため、麻痺などで手が不自由な人にも扱えるネクタイだ。類似商品では首の後ろにゴムを使っているものもあるが、それでは長く使っているうちに伸びてしまったり、また、タイの裏の部分の素材が滑りやすいとすぐ重みでゆるむので不便だという。「素材の選択には気を遣いました。一見するとシンプルな商品ですけれど、実は細かいところまでずいぶん工夫しています」
この商品を発表したところ、事前の想定とはまた違ったところで、一般健常者にも好感を持ってくれる人がいるという。それは夏場の暑い中、外回りをするビジネスマンが気軽に着脱出来る点だった。「私も意外なうれしさがありました。考えてみれば、昔は酔ったお父さんが家に帰ってくると、片手で無理矢理引っ張ってネクタイをゆるめていたものですよね」と笑う。締めるときにも片手でらくにできるしネクタイも傷まない。第1号はオリジナルのシルク素材で制作したが、見た目も遜色がない合繊素材で色柄のバリエーションを増やしたところ引き合いが増えてきたという。
プロモーション展開を考えて、自社サイトでネット販売ができるように整備するなど、着々と事業努力も積み重ねている。「介護を受けている方が着る服を実際に選ぶのは、ご家族であることが多く、機能性を重視する代わりに美観を犠牲にしてしまいがちです。でもそれは着るご本人からは言いにくいこと。そこに気付いていただければ、当社の商品も更に価値を認めていただけのではないか。“いいものを作りさえすれば売れる”ではなく、喜ばれるところに、ちゃんとお届けしたいと考えています」と話す栗田氏の夢は膨らむ。

川崎市産業振興会館
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