ハップ・ビー・ビー 株式会社

ママと子供のライフステージに彩りを添えるネットショップ

ハップ・ビー・ビー 代表写真
社長 内海 亜紀子
事業内容 パンケーキ・ミックス、キッチン雑貨販売 他
企業名 ハップ・ビー・ビー 株式会社
創業 2005年(平成17年)7月
所在地 川崎市多摩区生田2-9-4 HapBeeBee物流センター
電話 044‐543-9762
代表 内海 亜紀子(ウツミ アキコ)
URL http://www.ultramix.co.jp/

「仕事もしたいけれど、子供との時間を大切にしたい」そんな思いから起業を選択したのが、パンケーキミックスとキッチン雑貨販売のハップ・ビー・ビー(株)代表取締役の内海亜紀子氏である。「毎日、仕事での楽しみを感じられる環境を維持していきたい」と語る内海氏に、働くママの気づき力で成長してきた同社の足跡をうかがった。

乳児を抱えながらの起業で、パンケーキミックスを大ヒットさせた

大学卒業後、大手企業での店舗開発や広告宣伝のコンサルティングに携わり、「仕事一辺倒の生活でした」という内海氏の転機は、2003年の出産であった。子供が生まれても仕事をしたいという思いから、資金なし、事務所なしでもできる仕事を考えた結論が、ネットショップであった。化粧品、少子高齢化関連のビジネスなど様々な分野を調査し、考えをめぐらせた。
結果、辿り着いた商材は、身近なところにあった。それは、夫の好物のパンケーキであった。
自称「料理下手」でわが子に食べさせる料理のレパートリーに悩んでいた内海氏は、試しに刻んだ野菜をパンケーキに混ぜて食べさせてみた。そうすると、おいしそうによく食べてくれ、母親としての喜びと同時に、「私と同じように悩んでいるママがいるのではないか?」と発想した。早速調べてみると、パンケーキに関する情報や製品は少なく、海外の大使館などへ片っ端から電話をかけていきパンケーキミックスやシロップなどを探した。しかし、満足できるものは直ぐには見つからなかった。さらに持ち前の行動力を発揮し、時には打合せの現場に乳児を抱えて、仕入れ先を開拓していった。そうした内海氏の熱意に動かされ、メーカーの担当者などが協力してくれるようになった。商材確保のめどは立ったものの、ホームページの作り方もわからない状態であった。とはいえ、自分一人しかいない。パソコンに悪戦苦闘しながら、2005年7月に同社を設立し、11月にはインターネットショッピングモールにショップ「ウルトラミックス」を出店した。
出店して一息というわけにもいかず、知名度の低いウルトラミックスにママたちの関心を集めるという課題があった。ショップのコンテンツとして、毎日の子育てに奮闘する自身の等身大の姿を綴り、ママからの共感を得ていった。時には「頑張ってください」と顧客から励まされることもあった。このように同じライフステージを歩むママからの支持を受け、後のパンケーキブームに先駆けた形となり、比較的順調に滑り出した。
内海氏のママ目線は、パンケーキだけに留まらなかった。別の店でアンパンマンの顔型のフライパンを買ってパンケーキを作ってみると、わが子がまたまた喜んで食べた。「これはいい」と仕入れ先に掛け合って自社で販売したところ大ヒットとなった。出店から1年ほど経つと、子供にどんな成分のパンケーキを食べさせているか?添加物はどんなものが使われているか?が気になってきた。そこで開発に1年をかけ、原材料にこだわった満足のいく「ウルトラミックス・オリジナルパンケーキミックス」を完成させた。北海道産バターミルクの香りが食欲をそそる、ふんわりしっとりした食感が豊かなパンケーキは、同社の看板商品となった。販売面では、製菓材料では珍しかった「1,000円ポッキリセット」などで買いやすい工夫をして、発売1か月で6,000袋を売る大ヒットとなった。

全員女性を採用し、子育てママ共通の困りごとを解決する商品を販売してきた

現在では、7つのインターネットショッピングモールに店舗をもち、パンケーキミックスをはじめとする製菓材料やキッチン・フード関連商品、キャラクター商品、キャラ弁グッズ、ベビー・キッズ用品、ファッション雑貨・ギフトなど幅広い商品を販売している。一人で始めた会社も20名の規模に成長した。(2014年3月現在)
子育ての場面、特にイベントなどで遭遇する「ママ共通の困りごと」を感じ取り、解決するお手伝いをしてきた。例えば、運動会などでは、祖父祖母を呼んでも座れるような大型のレジャーシートが欲しいが、近くのお店では業務用しか売っていない。また、大きめのお弁当箱もいる。こういったちょっとした悩みを解決してくれ、かつ生活に彩りを添えてくれる雑貨を揃えていった。
そんな商品の仕入れの視点を与えてくれるのが、自社の従業員である。全員が女性で、主婦の先輩である人も多い。
その具体的な場面が、“ランチミーティング”。皆で一つのテーブルを囲みながら、日常接する商品への意見などを率直に話し合う。そこで出た意見をスピーディに吸い上げ、仕入れに反映させる。実際、自宅に戻ってから自社の製菓材料でレシピを作り、翌日のランチで試食会などをする従業員もいる。
こういった「世の中にありそうでないマーチャンダイジング(商品政策)ができる」のが同社の強みとなっている。社長から従業員まで「みんなで作っていく会社」という理想像に近づいている。同社には、女性の働きやすい場所作りのための様々な工夫がある。
一つは、パート従業員のシフト制だ。自分たちで調整し、状況に応じて助け合うことで仕事をしやすい環境を作っている。また、休園日などで子供を保育園に預けられない時には、会社に子供を連れてきても良いことになっている。こういった決め事を通じて、会社全体を理解して、自発的に参画する従業員が多い。裁量権を増やし、仕事での達成感を感じられるようにしている。
現在、同社の製品アイテム数は、10,000点にも及び在庫管理も簡単ではない。この管理には、ママ独特の“整理する”知恵も入っている。棚の寸法に合わせた小さな段ボール箱を特注し、手をかけて配置を工夫し、棚を最大限に有効活用して管理している。一つ一つの製品に自分たちが関わった思いが入っており、商品のピッキングなどの間違いも少ない。ネットショップであるが、企画・営業部門と物流センターが同じ場所にあるため、実際の商品の動きもよくわかる。棚の配置換えなどでは、従業員の夫たちが自発的に手伝ってくれることもあり、まさにママの力で動かしている会社となっている。

ママのライフステージに合わせて、国内外で彩りを添える商品を紹介していく

今後も、自分や従業員のライフステージでのささやかな変化をとらえ、彩りを添える商品を提供していくことに変わりはない。それは地域が変わっても同じであり、海外展開なども進めている。内海氏は「海外は隣の県と同じような距離感になりました」と語り、2013年にはシンガポールに海外初出店した。日本と似た市場環境であると判断し、実際に同地ではパンケーキミックスが売れてきている。成長が期待されるアジア市場に向けて、ファッション関係など幅を広げた事業展開を検討している。
一方でママ目線は変えない。「学校へ行きたい子供を支援する」という同社の国際協力活動もその一つである。ママの生活シーンを自分事として捉える内海氏の描く事業のコアバリューは国内外と問わず支持されていくことであろう。

川崎市産業振興会館
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