株式会社 ティーシダン

様々な印刷技法とインク配合技術を持つ熟練職人が手作業で作るプリントTシャツ

ティーシダン 代表写真
代表取締役
佐藤 剛史
事業内容 シルクスクリーン印刷Tシャツ製造・販売
企業名 株式会社 ティーシダン
創業 2011年(平成23年)5月
所在地 川崎市高津区久地3‐5‐6 片見ビル1F、2F
電話 044‐299‐8963
従業員 6名
代表 佐藤 剛史(サトウ タケシ)
URL http://www.t-shidan.com/ (オンラインショップ http://t-shidan.shop-pro.jp/

「当社は、シルクスクリーン印刷加工によるプリントTシャツ、ポロシャツ、トレーナーやグッズなどの特殊印刷のオーダーメイドが得意です」と佐藤社長は胸を張る。シルクスクリーン印刷とは、木枠にシルクなど繊維を張り、印刷部分以外の繊維部分を乳剤で隠し、スキージと呼ぶゴムベラを使ってTシャツなどにインクを塗布する印刷方法だ。現在、オリジナルTシャツ、学園祭向けクラスTシャツ、アーティスト向けグッズ、アパレル向け衣料品などを製造販売している。

プリントTシャツ等をデザイン、原版製作、印刷加工まで自社で一貫生産できる

「当社は、デザイン、原版製作、印刷加工まで自社で一貫生産できます。具体的には、デザイン用ソフトを使って、お客様が希望するデザインの相談にのり、原版製作後に印刷加工します。最大の強みは原版製作です。競合他社は分業していることが多く、当社は原版を自社で製作できるので納期も1~2日早くできます」と佐藤社長は語る。現在、最低ロット10枚から受注して最短3日で納品している。1枚からも対応しているが、サンプル料金で割高になる。
佐藤社長はソウルバーの店長だった時に、趣味でクラブDJ(ディスクジョッキー)をやっていた。その頃に裏原宿辺りで多くのアーティストや業界関係者と知り合った。その中の一人でシルクスクリーン印刷加工の会社を経営する社長からスカウトされて、製造業に転職する。
その会社で印刷加工技術を身に着けた佐藤社長は、30歳を目前に独立を意識して「自分は何ができるのか」と真剣に考えた。そんな折、懇意にしていたお客様と話しているうちに「シルクスクリーン印刷の仕事を独立してやってみたら」とアドバイスを受けた。2011年5月に佐藤社長は29歳で当社を設立した。職人と2人でスタート、その後に社員2人を採用、現在は社員4人、パート2人の体制だ。今後はデザイナーを募集する予定だ。「社会貢献を目指して、株式会社化しました」と話す佐藤社長は雇用創出で社会貢献する。会社設立当初からアドバイスをくれたお客様など売上高のベースとなる企業が存在していたので経営を軌道に乗せることができた。
主力の学園祭向けクラスTシャツは、提携企業が窓口となり一般のお客様から受注している。また、アーティスト向けグッズ、アパレル向け衣料品では海外ブランドからの加工依頼もあり、DJ時代に築いた人脈が生きている。
「前職の企業が大田区にあり、そこから離れた都内か川崎市で物件を探しました。なかなか良い物件が無かったのですが、現在の物件が見つかりました。大家さんが良い人だったのが決め手となりました」と佐藤社長は笑顔だ。

当社キャラクターデザイン“ブルドッグ”で印刷技法など細かい技術を表現する

「当社キャラクターデザインの“ブルドッグ”をプリントしたTシャツなどグッズを自社オンラインショップと小売店3店舗で販売しています。このキャラクターのライセンスを使ってくれる小売店との提携に力を入れています」と佐藤社長は力強く語る。“ブルドッグ”をプリントする際に当社の様々な印刷技法で製作した商品サンプルをお客様に見せる「販促グッズ」として提携した小売店が取り扱うことを希望している。
実際に当社でも“ブルドッグ”で印刷した多くの見本サンプルが存在する。同一のデザインを使うと印刷技法の違いが明確になるメリットがある。具体的な印刷技法として、通常のゴムラバー以外に、太陽光で色の変わるUVプリント、暗い所で光る蓄光プリント、鮮やかな光沢色のシルバー・ゴールドプリント、インク上に箔を載せた箔プリント、泡を含むインクを使った発泡プリントなど幅広い。
また、インクメーカーからは毎年新製品が発売されると同時にインクが廃盤になる。そこで、当社ではインク配合技術の向上に取り組み、同じ白色でも5種類の色味を作り出せる。
「工場長がインクメーカーと仲が良いので、新製品は最初に試して欲しいと依頼が来ます。当社はデザインだけでなく、乾燥時間など生産性や他のインクとの組み合わせも検討します。競合他社に先駆けて新しいインクの情報が入るので優位性を維持できます。インクメーカーからは実際の品物で検討できることや多数の案件をこなしていることを評価されていると理解しています」と佐藤社長は誇らしげだ。

メイド・イン・ジャパンを組み合わせた高付加価値製品で海外進出を目指す

「毎年の仕事が安定しないことが課題です。アーティスト向けグッズはコンサートがある年もあれば、コンサートが無い年もあります。アパレル向け衣料品についてもファッションは時代と共に変わるので、今年ある仕事が来年あるか分かりません。そこで、仕事のベースを厚くする為に、川崎市など近隣に住む一般のお客様からの受注を増やせるように努力しています」と佐藤社長は語る。
一般のお客様に対しても丁寧な仕事で対応している。お客様の要望を聞いてデザインをデータ化して画像を見せた後に、見積書を出して絵型を製作する。当社のホームページを閲覧してプリント加工を依頼してくるお客様は多いので、分かりやすいページ作りに取り組んでいる。
特に、検索エンジン最適化(SEO)対策には力を入れており、「川崎市」と「Tシャツプリント」で検索すると当社は1~2位に掲載される。現在、スマートフォン用ページを改良中であり、佐藤社長は「モノを作るにあたって分かりやすく」を心掛けている。
「今に満足せず、時代が変われば随時対応できるように毎年取り組まなければなりません。当社は受注枚数の少ない細かい注文への対応が得意ですが、受注枚数の多い仕事を受けた時の生産性を上げる工夫にも取り組んでいます」と佐藤社長は前向きだ。
必要な設備は徐々に増やしてきたので一通り揃っている。当社が保有する乾燥機は海外製で日本にも2~3台しかない大型の乾燥機だ。
最近、シルクスクリーン印刷機3台のうち1台に半自動回転台を取り付けた結果、手作業と比べて生産効率が大幅に向上した。残りの印刷機にも取り付ける計画だ。今後は、生地、縫製、印刷まで全てメイド・イン・ジャパンを組み合わせた高付加価値な製品を作り、「ここまで品質を上げられる」というのを証明して、大手セレクトショップやアジアなど海外にも販売できるような製品作りを目指している。
「下請工場だと受け身になりがちですが、デザイン性や工場を保有していることを情報発信していきたいです。“ブルドッグ”の知名度がもっと上がって売れたら嬉しいです。将来は都心に拠点となる店舗を持って、お客様との商談、オリジナル商品の販売、そして、仲間が集まれるようなバー空間も作りたいです。川崎のアーティストとも音楽のジャンルを超えてコラボしたいです」と佐藤社長は夢を追い続ける。

Tシャツ 写真

川崎市産業振興会館
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