株式会社 マインドウェア

グローバルネットワークでお客様と世界をつなぐ 豊かな提案力で40 ヶ国語もの多言語翻訳対応

マインドウェア 代表写真
代表取締役 大塚 正一
事業内容 印刷マニュアル・Web マニュアル類の企画・制作
企業名 株式会社 マインドウェア
創業 1987 年(昭和62 年)9 月
所在地 川崎市中原区上丸子山王町1‐1390 白井ビル3 階
電話 044‐431‐1911
従業員 26 名
代表 大塚 正一(オオツカ ショウイチ)
URL http://www.mindware.jp/

電気製品の説明書に「わかり易い」「わかりづらい」などの感想を持ったことは誰でもあると思う。当社は、身近にある電気製品に付属している取扱説明書やWeb上の取扱説明書を、多言語対応でユーザーの立場に立ったわかりやすいコンテンツ作りを行っている。そのポリシーは、「常にユーザーの視点に立つ」「コミュニケーション力で、クライアントとユーザーの架け橋になる」であるが、異色の経歴を持つ大塚社長に今後のビジョンを聞いた。

中国とマレーシアに拠点を有し、翻訳者のネットワークを駆使した40ヶ国語もの翻訳対応力と、クライアントのお客様であるエンドユーザーの視点に立った提案力

当社の強みは、一つ目は40ヶ国に対応したグローバルな翻訳者ネットワークを有することである。武蔵小杉にある本社では日本語と英語、中国拠点では中国語、マレーシア拠点ではその他の言語を翻訳している。また、使っていた翻訳会社から独立して国内外で仕事をしている翻訳者も、ネットワークとして活用している。このようなグローバルネットワークを駆使して「時差を活用する」短納期の翻訳対応を可能としている。
二つ目は、デザイナーやライターのコミュニケーション力とエンドユーザー視点に立った提案力である。例えば、取扱説明書の商談において、デザイナーやライターがクライアントから提示された通りにドキュメントを作るわけではない。コミュニケーション力とは取材する人間の「聞く力」「伝える力」「魅せる力」「築く力」「ひろげる力」の合わせ技だという。あいまいな表現があった場合は、エンドユーザー視点に立ったわかりやすい表現を提案する。また、クライアントの説明をそのまま文字にすると却ってわかりづらいこともあり、イラストなどを提案してビジュアルにわかりやすいものに仕上げていく。クライアントによってはクレーム対策のため、あえて曖昧な表現をすることもあり、その表現や翻訳をめぐって時としてクライアントと意見対立してしまう場合もあるそうである。
三つ目は、HTMLベースのWebマニュアルにしたいというニーズに対応したノウハウがあることだ。この業界では使っているアプリは限られており、クライアントがアプリを指定してくることも多いが、すべてをアプリに頼った作り方だと他社と差別化できないので、あえて人手による作業を入れた半自動化にして、一工夫している。当社のこれらの強みは、取扱説明書に限らず、製品カタログや社員教育マニュアルなどの色々なニーズにも活かされている。

プロゴルファーを目指した青年時代から一転、海外留学経験を経てたどりついた外国語に携わる仕事

大塚社長は、最初から印刷業界を目指したわけではない。社員にもあまり知られていない異色の経歴について聞いてみた。大塚社長は1957年に熊本県に生まれ東京で育った。甲子園で有名な東海大相模高校を卒業後、驚くことに千葉県のゴルフ場で2年間、プロゴルファーになるため修行をしていたのだ。ゴルフ場内のレストランで働きながら練習に明け暮れ半年で70台のスコアを出せる実力になった。ただ、プロはさらに厳しい世界である。信頼する先輩に諭されプロゴルファーの道を諦め、元々外国語が好きだったこともあり、1979年にアメリカのボストン大学に入学した。しかし生活に追われアルバイトが忙しくなり、勉学もままならず帰国することに決めた。1981年に日本に帰国して上智大学外国語学部に入学、1984年に同大学を卒業した。
得意の外国語を活かすために就職したのは外国語印刷株式会社で、翻訳やマニュアル作りのノウハウを蓄積した後1992年に独立し、その後1995年に有限会社マインドウェアに加わり、株式会社マインドウェアとして3人で事業を手がけてきた。ソニーや日本ビクターなど大手家電企業から次々と出される新製品の取扱説明書を手がけ、業績が伸びるにつれ従業員も増えていく。本社も東京都の五反田から横浜市の綱島と移転し、2004年8月にキヤノンやNECなどの顧客が近い川崎市の武蔵小杉に拠点を移し、現在に至っている。

過去の経験や失敗を活かし、新しい仕事にチャレンジする将来の夢は、新分野参入とヨーロッパ展開

大塚社長によると、1980年代半ばに印刷業界には大きな技術革新があったそうである。アップル社のマッキントッシュパソコン、ページメーカーというソフト、そしてポストスクリプトプリンター、さらに日本語フォントの著作権をアップル社に許諾する企業が出てきた。これらの「三種の神器」はわずか200万円程度で揃えることができたため、それまで印刷会社でしかできなかった仕事がメーカーの子会社や独立系の小さな会社でも可能になったのだ。この結果、参入しやすくコストも安くなったが、一方で競争も激しくなったので、差別化や営業努力が欠かせなくなってきたのである。
そんな技術革新が進んできた中、クライアントから依頼されるのは、これまで世の中に出たことのない全くの新製品の使い方を文章にしたり絵にしたりすることである。今では当たり前の製品や既に他に置き換わってしまった製品も初めて世に出た時は「使い方」が正しくわからないものである。携帯電話の走りであったPHS端末の取扱説明書を依頼された時や、NTTドコモ製ムーバの取扱説明書の翻訳を2週間で納入した時などの経験が、社是にもなっている、
「Challenge yourself, Challenge to the future」に反映されている。大塚社長は「新しい仕事・やったことがないことに挑戦しましょう、という思いを込めている」と語る。
現在のクライアントは、家電や精密機器業界が主である。取扱説明書は紙ベースとHTMLベース(Webマニュアル)があり、紙とWebの比率は7:3である。薄型大画面テレビが普及し始めた2000年代後半には、テレビの画面で見る取扱説明書で「日本マニュアルコンテスト2008 マニュアルオブザイヤー」を受賞した。クライアントである日本ビクターと当社が業界で初めて取り組み、その使い易さや内容が高く評価された結果である。
今後の目標としては、一つは医療機器業界に参入することである。この業界は、翻訳言語数は少ないが取扱説明書のボリュームが多いそうである。二つ目は、海外メーカーの日本向け製品の日本語版取扱説明書の受注拡大である。現在でもイタリアのとあるメーカーのコーヒーメーカーの取扱説明書や、ドイツのミーレ社製電子レンジの取扱説明書を受託しており、さらに拡大していきたいとのことである。三つ目は、ヨーロッパ 進出の希望である。現在、海外拠点は中国とマレーシアであるが、大塚社長は「元々、ルーマニアとかチェコに拠点を設けたいという構想はあったものの、10年前のリーマンショックで断念した。これからは是非実現したい。」と、 にこやかに将来のビジョンを語ってくれた。

川崎市産業振興会館
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