有限会社 インディーズ・ジェイシー

国産にこだわり競技性とデザイン性を併せ持つダーツ製品の自社ブランド「L-style」

代表取締役 芹澤甚太(左)

L-style プレミアム選手 鈴木未来選手(右)

事業内容 ダーツ用品企画製造販売、飲食店経営
企業名 有限会社 インディーズ・ジェイシー
創業 2002年(平成14年)8月
所在地 川崎市川崎区旭町1-1-1 丸金ビル201
電話 044‐223‐6566
従業員 82名
代表 芹澤 甚太 氏(セリザワ ジンタ)
URL http://www.l-style.info/

「当社が開発したダーツ製品の“フライト”は国内メーカーだけでなく海外大手3社にも真似されました。当社が世界に発信したという意味では真似されることは嬉しかったです。しかし、緩まないネジの技術だけは真似されたくなかったので世界特許を取得しました」と芹澤代表は胸を張る。

主要製品は、ダ-ツ製品の先端部分“ティップ”、ハネ装着部分“シャフト”、ハネ部分“フライト”、“ダーツケース”などアクセサリー類だ。ダーツバーは門前仲町店・野方店・新小岩店、ダーツショップは池袋本店・横浜店、ガガナ(GAGANA)ラーメンは池袋店・渋谷店・市ヶ谷店を展開する。

プロダーツ選手379名とスポンサー契約、製品の開発や改良に選手の声を聞く  

「当社の強みは人のつながりです。ダーツのプロ選手379名とスポンサー契約しており、北海道から沖縄まで、海外にもダーツのプロ選手のチームメイトがいます。そのためプロ選手の声が聞きやすく、ダーツ製品の開発や改良に役立っています」と芹澤代表は語る。

服飾デザイン会社を経営する父親の影響で芹澤代表は子供の頃からモノ作りが好きだった。父親の会社でコシノジュンコ氏のファッションショーを手伝っていたことから美容師にあこがれて、コシノジュンコ氏に美容師になりたいと相談したところ「まずは絵を勉強してから美容師の学校に行きなさい」と助言された。そこで、ファッション画家で第一人者だった長沢節氏の専門学校に入学してデザインやブランディングを学んだ。

先輩が借金苦で潰れそうだった江東区清澄白河のダーツバーを2002年に引き継いだのが当社の始まりだ。ダーツバーの店づくりのコンセプトは「家のリビングの延長」、緩い感じの店を目指した。常連客が仲良くなれる雰囲気を芹澤代表が提供した結果、客同士のカップルが何組も生まれ5組が結婚した。清澄白河の1号店は門前仲町に引っ越したが、当時の常連客は一声かければすぐに集まるほど仲が良く、常連客の一人は社員として当社で働いている。ダーツバーは門前仲町店を含む3店舗を展開する。

ダーツバーやラーメン店の多くは当社の噂を聞きつけた経営者から相談を受けて引き継いだ。店舗ではトッププレイヤーが月1回ファンサービスのイベントを開催する。池袋本店のショップはダーツ製品の品揃えも多く、売上高は25坪で月600~700万円とインターネット通販を除くと日本一売れる実店舗だ。

「当時ダーツ製品は海外からの輸入品が90%以上で、日本で作っていたのはほんのわずかでした。ダーツ製品の“ティップ”を輸入しようとした際に1カ月待ちと言われて、知り合いのプラモデル屋を工場見学した経験もあり、簡単に作れるだろうと思ったのがダーツ製品を開発したきっかけです。実際は苦労しました」と語る芹澤代表は笑顔だ。

緩み止め防止製品「GOMU」をユーチューブ動画で広告宣伝して反響を呼ぶ  

千代田区岩本町の倉庫兼事務所が手狭になったことから物件を探し始めて、ダーツ製品の営業を任せている赤井社長や社員が通勤しやすい川崎市に2012年に移転した。芹澤代表は乗馬の経験があり、川崎競馬場の馬が見える6階のオフィスからの景色を気に入っている。

「特許は基本的に真似されるので、あえて登録しない方針です。世界で一番高いが品質も一番高い製品を作り、安売り競争はしません」と芹澤代表は競技性とデザイン性を併せ持つ国産のダーツ製品にこだわる。

ダーツ製品のプラスチック加工は国内の協力工場に製造委託しており、管理会社に工場への発注から梱包まで業務委託している。ダーツ製品の“フライト”は2016年に開設した足立事務所兼印刷工場で加工している。

芹澤代表は常に新製品開発について考えている。経営者として多くの業務を抱えていると新製品アイデアのひらめきが無いことや赤井社長や社員から「仕事を任せて欲しい」との要望を受けて業務を分担した。芹澤代表はダーツ製品の開発製造、ダーツバー、ラーメン店を担当し、赤井社長はプロ選手の管理、ダーツ製品の広告宣伝や営業販売、事務処理を担当する。

プロ選手から「大会で競技に集中している時に毎回ネジの緩みを締める作業が面倒だ」と相談があり、ダーツ製品の“シャフト”のネジの緩みを防止する機構を持つ製品「GOMU」を開発した。その製品の広告宣伝にはダーツの世界チャンピオンの海外選手と若手女性の日本選手を起用してユーチューブ動画を公開した結果、再生回数10万以上と大きな反響を呼ぶ。芹澤代表はダーツの若手競技人口を増やすために新たな広告宣伝に挑戦しており、ダーツ業界を盛り上げるためにライバル企業にも広告宣伝を頑張って欲しいと考えている。

ダーツ製品をグローバルに展開して世界シェア10倍、売上高10億円を目指す  

「ネジの開発には苦労しました。緩まないネジの特許を調査した際、ダーツ製品に使用できる技術はありませんでした。そこで、自分で製作すると決めてから、その構造をひらめくまでに試作品を何度もテストしました。その度に試作金型を製作するのでコストがかかり、開発を続けても成功するか分からないので恐怖を感じました。苦労した甲斐あってどこのメーカーの製品にも装着できる汎用性の高いネジ構造を開発できました」と芹澤代表は当時を振り返る。

経営理念は“ダーツを新たな領域へ”。自社ブランド「L-style」はダーツを通して世界に愛と平和への願いを込める意味で名付けた。

「Lから始まる単語にはLove、Life、Luckなど素敵な言葉がたくさんあります。売り上げの一部はPDJやJSFD等のダーツ団体への協賛金や世界の手助けが必要な人たちへの募金等に充てられております。日本の技術力や企画力でダーツ界を盛り上げる手助けとなれば幸いです」と芹澤代表はダーツの普及に力を注ぐ。 今後はダーツ製品をグローバルに展開して世界シェアを伸ばし、海外向け売上高を現在の10倍、10億円を目指す。広告宣伝は時代の変化や海外の規制に適応
するために改善する必要があり、新たな広告手法にもアンテナを張っている。

「将来ビジョンは世界に網を張り、世界中にいる仲間と協力してダーツだけでなく新しい分野のモノを提案していきたいです。また、緩まないネジの特許をライセンス供与して異分野で役立てたいです。都心に3店舗あるラーメン店ガガナ(GAGANA)は赤字が解消したらモツを食べる習慣のあるフランス・リヨンに出店する予定です。何でもやるように見えて堅く商売しています。もちろんダーツ関連の新製品も開発していきます」と芹澤代表は未来を見据える。

当社製品ブランド「L-style」

川崎市産業振興会館
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