株式会社 東洋内燃機工業社

エンジン・鉄道保線機械・建設機械等の整備保守  自社製品の道路標識ラインマーカ車等の製造販売


代表取締役社長     檜垣隆三
事業内容 発動・発電機の整備据付、鉄道保線機器の整備、建設機械・道路機械の製造販売整備
企業名 株式会社 東洋内燃機工業社
創業 1948年(昭和23年)11月
所在地 川崎市宮前区神木本町2-10-1
電話 044‐866‐8171
従業員 79名
代表 檜垣 隆三(ヒガキ リュウゾウ)
URL http://www.toyonainenki.co.jp

「当社は産業機械の整備を生業とし、エンジン整備の技術では自負を持っております。売上の6~7割はエンジンの整備で、航空自衛隊や鉄道保線機械企業など特定のお取引先がお客様です。建設機械の整備や、クレーン・常用、非常用発電機のエンジン整備、砕石をならしレールのゆがみを矯正する「マルチプルタイタンパー」・レール頭部を削る「レール削正車」等の鉄道保線機械の定期整備やそれらに関する部品の供給も行っています。自社製品は道路にラインを引く道路標識ラインマーカ車、アスファルトが固まらないように高温で運搬するニーダ釜搭載車、塗料の運搬車、道路コンクリート自走式増圧施工機、自走式鉄道レールヒータ、PCマクラギ穿孔機等で、これらは当社の技術を活かし、特許や実用新案を取得した機械です。」と檜垣社長は語る。

新しい整備技術の習得のために若手社員を海外の研修や講習に派遣

「JR東日本やJR東海が購入され、関東保線地区の専門会社が管理されている鉄道保線機械の定期整備やオーバーホールを行っています。以前からJR東日本のスイス・マティサ社製やオーストリア・プラッサー社製『マルチプルタイタンパー』の整備を関東地区では当社を含め数社が担当しています。新しい整備技術の習得のためにスイス、オーストリア、イタリア、アメリカ、ドイツ、シンガポールに若手社員を研修や講習に派遣しています。4年前に導入されたドイツ・キロフ社製『鉄道クレーン車』は日本国内3台すべて当社の専属保守契約をしています。キロフ社の整備認定書を取得するため、ドイツライプチッヒにある同社の工場で当社の若手社員が3カ月かけて技術を習得しました」と檜垣社長は笑顔だ。

昭和23年に満州の帰還兵で陸軍相模工営廠(しょう)にて戦車のエンジンを製作していた創業社長の故柴田敬蔵氏が川崎市渡田町にて当社を設立した。昭和24年に川崎市川崎区元木町に移転、昭和32年に現在の本社工場がある登戸工場を開設した。創業当時は米軍の払い下げエンジンや焼玉エンジンを再生して、各地の遊覧船向けに販売したと社史に記載されている。

現在はエンジン整備や鉄道保線の機械の整備が主力だが、元々は建設機械や社名の内燃機「ディーゼルエンジン」となる発電機の整備がスタートだった。その後、原油の高騰により、大型スーパーや工場は定置常用のディーゼル発電機は減少したが、ディーゼルエンジンの仕事は、港湾で荷物の積み下ろしのクレーンで活躍しており、また、昨今では、通信会社の交換機用や、超大型データセンターの非常用の発電機の整備の仕事が増加しています。エンジン整備ではメーカー別に資格を取らなければならず、また、エンジンの種類に応じて公害規制に合わせた講習も受けなければならない。

一方、鉄道保線機械も、先ほど説明した「マルチプルタイタンパー」・レール頭部を削る「レール削正車」等のほか、鉄道専用の超大型クレーンなどの整備の仕事も増えた。

その結果、こんにちまで、退職者を含め黄綬褒章5名、現代の名工6名、平成16年以降神奈川県卓越技能者6名、優秀技能者12名、青年優秀技能者8名、特級・一級・二級建設機械整備技能士のほか内燃機関組立技能士、土木施工管理技士、ガソリン・ディーゼルエンジン自動車整備士、電気工事士の資格を持つ数多くの従業員がいる。資格取得が社員の励みになり、お客様の信頼を得ている。

黒字の継続により債務超過と累積損失を解消して会社を立て直す

町田に住んでいた創業社長が地の利のあった川崎市の工場跡地を購入したと聞いている。平成16年に檜垣社長になって今年で19年目だ。檜垣社長就任時の第一声は「会社を明るく、礼儀正しい、秩序ある職場環境にしていこう」だ。また、就任当時の経営目標「皆で働いて、皆で儲けて、皆で分ける」を掲げた。就任当時は債務超過と累積損失もあり、檜垣社長は従業員に、「昇給は世間並、賞与は業績給だ。」と訴え続けた。わずかな賞与で我慢してもらったときもあったが、2017年に債務超過と累積損失を解消し、会社を立直した。「資金的には厳しかったが、19年間黒字を継続してきました」が、自己資本率はまだ一歩足らないと檜垣社長は前を見る。

従業員は、「会社が儲かれば賞与は期待できること」を社員は確信した。社長は社内報を通じて、社員には一切隠し事なしの経営状況を3カ月毎に報告している。という。

しかし、安全面や品質面ではまだ厳しい言葉で指導を続けるという。今取り組んでいるのは、当社では書く文化とそれを承継する文化を定着させるために手順書やチェックリストの作成に注力している。また、原価意識の向上に取り組んでいる。

今後は常に新規技術に対応すると同時に技術を承継していく計画だ。新しい需要としてデータセンターに大型ディーゼルエンジンが非常用発電機として導入されている。そのエンジン整備の教育のために社員を中国、シンガポール、ドバイに派遣して技術力の向上に努めている。

「生涯現役で働ける会社」、これまでの通常勤務の最年長は78歳

「今期経営目標は『安全第一、クレームゼロ、人材育成と登用、財務体質の向上』です。管理者教育に注力して全社運営面のマネジメント力の向上を目指しています。新しい需要になんとか食らいついていかなければなりません。前述のデータセンターの新規大型ディーゼルエンジン発電機の整備のほか、自動車の自動運転で基準となるラインを引く機械『道路標識ラインマーカ車』の電子制御化に取り組みます。需要が増加する鉄道保線機械の技術を習得し、研修を受けた社員が社内で展開します。エンジン整備では新しい燃料媒体の変化にも当社の保有技術で対応します。明日の東洋内燃機工業社の自分達の仕事を生み出していくために潜在需要の掘り起こしが大切です」と檜垣社長は語る。

若手社員の採用が経営課題だ。新卒初任給は大手企業に負けない金額で募集している。本人が希望すれば定年後も働ける就業規則があり、これまでの通常勤務の最年長は78歳、「生涯現役で好きな仕事で働ける会社」だ。社員アンケートで「今の仕事に満足」は9割と定着率が高い。希望する人材は「機械を直して喜んでもらえるのが好きな人」だ。機械が好きな人であれば高校の工業・普通科、大学の学部・学科など年齢性別に関係なく募集している。

ものづくりのまち川崎市に当社が存在することをアピールするために長尾小学校2年生の町探検では工場見学を受け入れ、同小学校6年生の工場実習では当社の機械を使ってアルミ材料から携帯ストラップを作る体験型ワークショップを開催している。現在「大人の工場見学」を企画中、地元からSDGs「持続可能な開発目標 4.質の高い教育をみんなに」への貢献を目指す。

当社が製造する「ラインマーカ車」

川崎市産業振興会館
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