株式会社 マサオプレス

金属プレス加工に関わる金型設計製造、試作、小ロット量産、組立をトータルでお手伝いするメーカー


代表取締役 宮澤 章
事業内容 金属プレス金型設計製作、金属プレス加工、試作鈑金加工、製品組立
企業名 株式会社 マサオプレス
創業 1979年(昭和54年)4月
所在地 川崎市川崎区塩浜4-4-6
電話 044‐270‐3340
従業員 7名
代表 宮澤 章(ミヤザワ アキラ)
URL http://www.masaopress.co.jp

「当社はプレス加工の機械だけでなく、レーザー・ベンダー・溶接といった鈑金加工の機械など豊富な設備を保有しており、プレスと鈑金のハイブリッド加工が得意です。また、プレス金型の内製化により一貫生産を行っています。一方で、機械に頼らないアナログ技術『職人技』も大切にしています。人や情報が集まりやすい立地の良さも強みです」と宮澤章社長は笑顔で語る。

主要な加工部品は、板バネ、皿バネ、クリップ関連製品、規格外ワッシャー・パッキン、ジョイント・ステー・ブラケット等の接続金具だ。自社製品の3DメタルバイクパズルMP01(ブランド名:「mayim(マイム)」)を製造販売しており、川崎ふるさと納税返礼品に選ばれている。

試作や小ロット対応のために金型が不要となるレーザーやベンダーを導入

「1979年に大田区で祖父のプレスメーカーから人力のケトバシプレス機を譲り受け、父の宮澤正男が手仕上げによる板バネの試作で始まった会社です。2004年に工場が手狭になったことで川崎市の現在地に移転し設備の増強を図りました」と宮澤章社長は語る。

1990年に当社に入社した宮澤章社長は、学卒後に大手トラックメーカーの一次下請け会社に就職し、ベテラン職人のもとでトラックのプレス・鈑金部品を手作りで試作する技能を身に付けた。それと同時に、カンバン方式などジャストインタイムの生産管理システムも勉強した。当社では2005年にパソコンによる生産管理システム、2007年にレーザー加工機や3D-CAD(3次元コンピュータ支援設計)を導入、修業時代に習得した技能や経営ノウハウを上手に活用している。2010年に宮澤章社長が代表取締役に就任した。

「プレスは金型が無いと加工できないので試作や小ロット対応のために金型が不要となるレーザーやベンダーの導入を決定しました。その後、バリ取り用のバレル加工機や二次加工用の溶接機と徐々に増設しました。また、金型を設計製作する町工場が減ってきたのでプレス金型の設計を内製化するために3D-CADを導入しました。従来の金型職人は頭の中で設計したイメージをもとに自分で金型を製作していましたが、当社では図面をデータ化し、部品加工を外注化し、現場では金型部品の組立と調整を行っています。現場を知っている社長が少ないので、そこが強みです」と宮澤章社長は胸を張る。

出来るだけ多くの仕事を外注化して協力工場の存続に貢献することを目指している。そのためにも多くの若手従業員を採用して、当社の企業存続をはかり、日本のものづくりの魅力を伝えていきたい。そこで、全日本学生フォーミュラ大会やエコラン(省エネカーレース)全国大会に挑戦する学生の自動車部品作りを当社工場内で支援することも検討中だ。

若手従業員を中心とした「溶接チーム」を社内に組織することを計画中

「当社はお客様に恵まれて運がいいのか売り上げが落ちたことがありませんでした。しかし、数年前にグローバル化の影響で長年付き合いのあったお客様と価格が折り合わず、一時的に売り上げが落ちました。現在は新規のお客様が順調に増えて売り上げが回復しつつあります。プレス加工先に困っていたお客様からの仕事や海外規格の仕事など他社では対応が困難かつ面倒な仕事を受託しています。新型コロナウイルス感染症の影響もあって物流プロセスを最適化するロジスティクスに関する装置や機械関連の仕事が増えています」と宮澤章社長は力強く語る。

経営上の課題は「若手従業員の人材確保」、今後注力したい分野は「自社製品開発」と「Webマーケティング」だ。若手従業員を中心とした「溶接チーム」を社内に組織することを計画している。その理由は、当社の現在のボトルネックが溶接工程のためだ。溶接加工の協力工場が廃業する際に、ベテラン職人から当社の若手従業員に溶接ノウハウを教えてもらい新規に溶接機を導入した経緯がある。

人材確保に関しては若手従業員を2人採用して3人体制の「溶接チーム」が理想だ。

自社製品に関しては2022年に企画開発に取り組む予定だが、具体的な製品は決定していない。そこで、メタルバイクパズルを開発した若手従業員を公的支援機関が開催するものづくり支援事業に参加させて製品を開発する予定だ。自社製品の宣伝により新たなお客様を誘引する機会になると期待している。Webマーケティングに関しては当社ホームページが制作後10年以上経過しているので従来とは異なるコンセプトでリニューアル中、2022年2月に完成予定だ。

サステナブル(持続可能な)経営を標榜する当社の社会的使命は「アナログなノウハウと最新の機械でものづくりを次世代につなぐ」ことだ。最近は製造業に人気がなく、今の子供達にどのようにものづくりの魅力を伝えるかを常に考えており、メタルバイクパズルも元々は未来を担う子供たちにものづくりの魅力を知って欲しくてワークショップ向けに製作した。

経営理念は「確実なものづくりで安心と安全が続く幸せな社会を実現します」

経営理念は「確実なものづくりで安心と安全が続く幸せな社会を実現します」、行動指針は「私達はプロとしてカッコよく行動します」、スローガンは「Everyone is Happy」だ。確実なものづくりとサステナブルな経営のために、2012年にISO9001認証取得、2013年にISO14001認証取得、2019年にBCP(事業継続力強化計画)策定、2020年にセキュリティアクション2つ星宣言、2021年にパートナーシップ構築を宣言した。

スポット溶接、ネジ立て、メッキ加工などの町工場が減少しており、内製化または新規協力工場と取引開始する際には価格改訂が必要だ。ISOなど規格を維持するコンプライアンス(法令遵守)性の強い会社がサステナブルな会社となるという信念を持ってお客様との価格交渉に臨んでいる。一方で、当社は利益にならないが面白い仕事をあえて受注する場合もある。その理由は、その仕事ができるようになれば当社のノウハウになるからだ。

「将来ビジョンは『なくてはならない会社になる』 です。当社は、ほぼ残業なし、冷暖房が効いていて、安全な工場です。働いている時間の10%は未来のために仕事します。治具製作による生産性向上など従業員が自由に取り組みます。その結果、会社が良くなればいいと考えています」と宮澤章社長は熱く語る。

今後は人材育成のための仕組みづくりに注力し、専門家の支援を受けながら作業マニュアルやキャリアマップの作成に取り組む計画だ。

3DメタルバイクパズルMP01(ブランド名:「mayim(マイム)」)

川崎市産業振興会館
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