株式会社 ネオ・モルガン研究所

育種技術でバイオマスエネルギー、化成品、医薬品を効率生産する生物を創出する

ネオ・モルガン研究所 代表写真
社長 藤田 朋宏
事業内容 産業用微生物・細胞・藻類の開発研究受託・コンサルテーション
企業名 株式会社 ネオ・モルガン研究所
創業 2002年(平成14年)11月
所在地 川崎市宮前区野川907 生物工学研究センター2F
電話 044-741-2168
代表 藤田 朋宏 (フジタ トモヒロ)
URL https://chitose-bio.com/cl/

「バイオバブル全盛時代の2002年11月、世界的に著名な理論進化学者の古澤満先生を創業者として、投資会社が約12億円と製薬メーカーのOBを集めて設立した会社です。古澤先生は『俺は社長をやる才能はない』と謙遜されたので顧問として参加しています」と設立の経緯を藤田社長は語る。
同社は、古澤満氏が提唱する世界的な進化理論「不均衡進化理論」に基づき、進化を加速することで生物を改良する「育種」がコア技術で、国内外の大手企業に産業用の微生物、動物細胞、藻類を作成、提供している。 自然に近い形で突然変異を誘発する育種技術により、植物を発酵してバイオマスプラスチック原料を生成する菌種や油を効率的に生産するバイオマスエネルギー資源の藻類を創出してきた。

若い社員だけでバイオベンチャー企業を引き継ぐことを決意する

「バイオベンチャー企業の多くが淘汰されていくなか、売上が上がらず、経営はうまくいかなかった。古澤先生の進化理論は面白い理論だが、あくまでも生物学の理論であって、そのもの自体がお金を生むものではなかった」と当時を振り返る。
古澤氏との出会いは、藤田社長が前職のコンサルタントを辞めて、知人の投資会社で投資先企業の一覧表を眺めていた時だった。書籍や論文で知っていた“古澤満”の文字が目に留まり、古澤氏に直接話を聞くために会いに行ったことがきっかけだ。すぐに意気投合して、2004年に社員として30歳で入社した。数年後、投資会社が経営から手を引いた。
2008年、代表取締役COO(最高執行責任者)だった藤田社長は、生き残りをかけて、若い社員だけで会社を引き継ぐことを決意する。若手社員の中で一番上のポジションにいたこともあり、営業統括責任者としてお客様に対する責任感と自ら採用した従業員に対する責任感から引くに引けなかった。覚悟を決めた藤田社長は、頭を丸めて代表取締役CEO(最高経営責任者)として、設立当初の事業目的や事業内容を大きく変えて、社員数を半分にするなど事業を再構築する。入社当時は、大学院で専門分野だった進化学の知識、前職のコンサルタント時代に培った経営の知識、技術と経営の両方の言葉を理解できるので通訳的な立場になることで自分の存在が役に立ちそうだと考えていた藤田社長だが、将来社長になりたいという気は無かったと言う。その後、受託研究企業として40社を超える国内外の製薬・化学・食品の大企業の研究開発を支援することにより、研究活動の中で継続的に育種技術を進化させてきた。 「僕が社長になった時には12億円すべてが残っていたわけではなく、そのタイミングで持っていた研究室と研究設備、研究員と彼らの給与の1年分にもならない現金などのリソース(経営資源)を生かして若手社員だけで生き残るために何とか食いつないできました。売上は継続的に伸びていますが、大企業からの受託研究が主要事業のため、製品を売っている企業と違って契約期間が長くて2年程度とその先の保証がないので安心して食べていける感じではないです。黒字ですが自転車操業というのが正直なところです」と藤田社長は語る。

独自の育種技術「不均衡変異導入法」は極論すると「進化を加速できる」技術

当社は「育種」の会社である。ビールを作る酵母から競走馬のサラブレッドまで人間はいろいろな生物を利用しているが、天然の生物をそのまま利用している例はなく、トマトや稲など人間が品種改良したから食べられるようになったのだ。「育種」とは種を作って人間のために使えるようにすることを指すが、逆に、生物の立場からすると絹を作るカイコなど人間に飼われることで、つまり、人間と暮らすことで遺伝子を残すという選択をしたことになる。これは遺伝子組換ではなく、品種改良を繰り返してきた結果である。品種改良は時間もかかるし、勘と経験に頼る職人技みたいなところがあるが、古澤氏の理論を応用すれば、生物の進化を加速できるのだ。
大腸菌が人間になるのに38億年かかったが、38億年必要だったわけではなく、たまたま38億年かかっただけで、短くしようとすれば1億年ぐらいでできるという理論だ。それをいろいろな生物に当てはめれば遺伝子組換しなくても生物は進化できるのではないかという理論が不均衡進化理論だが、当社独自の育種技術「不均衡変異導入法」の確立により、実際に理論通りになり、実用化できることも確認できた。 古澤氏の理論は、進化論について書かれた本では、ダーウィン、モルガン、ワトソン、クリック、古澤満と時代の変遷とともに後半に必ず紹介される理論だ。社名のネオ・モルガンの由来は、ノーベル医学・生理学賞の遺伝学者T.H.モルガンに因んでいる。

受託研究企業からの脱皮 バイオマス起点の産業構造の転換を担うプレーヤーへ

東京から近く、家賃が手頃な川崎市野川に本社とラボがあり、昨年12月にラボ拡張のためにKSP(かながわサイエンスパーク)に進出した。また、茨城県の筑西アルジェファームでは藻類を利用した持続的農業の開発をしている。ボルネオ島のボルネオバイオマスフィールドではバイオマス生産・物質循環試験も行っている。トウモロコシなど食べ物を使ったバイオマスでは採算が合わないので、葉や茎、農業廃棄物など食べ物を使わないバイオマス起点の石油代替技術など産業構造の転換を担うプレーヤーを目指している。 「当社は育種技術を使って菌を作れる会社なので、その菌が医薬品を作れば医薬品事業、その菌が化成品を作れば化成品事業となります。昨年までの売上では医薬品の方が多かったが、今期は化成品が売上の半分を超える見通しです。今までの受託研究や共同研究では菌だけを作って提供してきましたが、バイオマス燃料やバイオ化成品に注目が集まり、当社もプロジェクト全体に参加できるようになりました」と藤田社長は語る。
当社では、医薬品や化成品などの目的物の収率を10~100倍にすることは容易だと言う。生物を多様化する不均衡変異導入法の確立と並行して、多様化した生物の中から質の良い生物を選択するスクリーニング法も確立した。
その結果、三井化学㈱との共同研究では、バイオプラスチック生産菌を当社の育種技術により改良して生産効率を高めることに成功した。IHIとは、当初は油を効率的に生産する藻類の共同研究であったが、研究が順調に進捗したためジョイントベンチャーのIHI NeoG Algae合同会社を立ち上げマスコミでも話題のプロジェクトに発展させることに成功した。提携企業と相互に得意分野を活かせるプロジェクトを推進する独自のビジネスモデルを構築した。
「採用面では生物系の学卒や院卒の若い人が欲しいです。特に、プロジェクトの受注から進捗管理、その成果の特許化まで全てを担当するプロジェクトマネージャーを増員したいと考えています。大企業に入社するよりも大きな活躍する場を提供できる自信はあります」と藤田社長は新卒の応募に期待している。

川崎市産業振興会館
トップへ戻る