日本電子機械 株式会社

お客様の意見を反映した薬袋印字機械や入退室管理システムを設計製作する企業

日本電子機械 代表写真
社長 佐藤 義明
事業内容 薬品包装紙用印字機および制御ソフトウエア、臨床検査ケース印字機、入退室管理システム、電気錠システム、サーバーラック等の設計製作
企業名 日本電子機械 株式会社
創業 1994年(平成6年)1月
所在地 〒215-0021 川崎市麻生区王禅寺西5‐3‐5
電話 044‐987-9306
代表 佐藤 義明(サトウ ヨシアキ)
URL http://ndkk.jp/

「会社でコンピュータ応用機器グループのプロジェクトリーダーとして、銀行向けの手形や小切手の印字機械などを開発製造していた。国内だけでなく海外に販売するために、米国や東南アジア諸国を飛び回っていたが、会社がコンピュータ事業の縮小を決定し、工場も閉鎖された。上司や先輩が次々と退職するなか、37歳の時に、同じプロジェクトの仲間3人と一緒に川崎市で会社を立ち上げた」と設立の経緯を佐藤社長は語る。
当社は、薬袋に薬名等を印刷する印字機械、バーコードやICカードを利用した入退室管理システム、電気錠システムなど、お客様の要望に合った機械を設計製作する企業だ。

お客様の意見を直接聞いて、薬袋印字機械や調剤監査システムを設計製作する

「自分は電気関係が得意で、仲間の2人は機械が得意だった。そのうちの1人がプロジェクト時代から外注管理も担当し、川崎市宇奈根周辺の町工場のことをよく知っていた。その関係から川崎市宮前区で会社を立ち上げることになった」と語る佐藤社長は、青森県出身で高校卒業と同時に上京した。
佐藤社長の実家は、布団の製造と打ち直しを行う工場だったので、子供の頃からサラリーマンになるイメージは無かったと言う。会社に勤めながらも“最終的には独立するしかない”と心のどこかで思っていた。会社を立ち上げた仲間2人は、佐藤社長とほぼ同じ年齢であったため、“あうんの呼吸”で仕事が出来た。
会社設立時には仕事が全く無かったが、半年も経過すると外資系情報システム会社から仕事が入った。米国の本社から輸入されない製品があるので作って欲しいとの依頼であり、コンピュータ信号を切り替えるスイッチング装置の設計製作だった。引き続き、ハードディスクのインターフェイス装置やサーバーラックの設計製作の仕事も入ってきた。
サーバーラックは、新聞会社からオーダーメード製品が欲しいとの依頼を受け、お客様の希望する位置に電気メーターを設置するなどサイズやデザインも仕様に応えて設計製作した。
薬袋印字機械や調剤監査システムなどの薬科機械は、医療器メーカーから依頼を受け、病院の職員から直接意見を聞いて設計製作した。薬袋印字機械は、オンラインで薬袋へ印字できるので、当時は処方箋変わりになる機械として全国の病院に導入された。調剤監査システムは、バーコードで誰が調剤したか履歴で分かるようにハードもマイコンボードも当社で製作した。
現在までに調剤監査システムと薬袋印字機械のセットで数百台納入した。
「前職の会社の取引先や知人から“こういう製品が出来ないか”と新しい仕事の依頼が次々と舞い込んだ。人と人とのつながりで仕事が増えていった。それらが当社の主要製品に成長した。会社設立後10年が経過した時に、場所が手狭になり、お客様も創業メンバー3人のそれぞれに付いていたので、会社も分割することを決定した」と佐藤社長は当時を語る。

バーコード・ICカード入退室管理システムや電気錠システムを設計開発する

バーコードやICカードを利用した入退室管理システムや電気錠システムなど電子機器の応用製品は、前職時代の同僚が転職したシステム機器の販売会社から声がかかり、コツコツと製品を作り始めたことがきっかけだ。
建築現場向けバーコードリーダー管理システムは、毎朝3,000人が出入りする建設現場の下請作業員を識別できる機械だ。以前は、商社を経由してシステム機器の販売会社に販売していたが、システム機器の販売会社が建築機材リース会社に販売を委託したため、当社と建築機材リース会社との直接取引に移行した。
「仕事は紹介が強い。一旦つながりができれば見積もりまでは持っていく自信がある」と佐藤社長は力強く語る。システム機器の販売会社の営業マンが新規のお客様からの仕事を紹介してくれる理由は、当社がソフトとハードの両方をまとめられることや機械を組立加工できることにある。これが当社の強みだ。
医療器メーカーが薬科機械事業を縮小した際に、販売を委託された会社から以前と同様に薬袋印字機械等の製造依頼がある。当社が設計製作した機械のため、販売会社が変わっても当社に製造を委託せざるを得ない。この薬袋印字機械は、現在も地方都市の大学病院に導入中で、ロングランのヒット製品だ。
現在、磁気カードによるパートタイマーオンラインレコーダーをICカード化する仕事に取り組んでいる。以前は、タイムレコーダーメーカーからハード部分の製造のみを当社で受託してきたが、ICカード化に向けた技術的な助言を行ってきた実績を評価され、他社に事業売却された後も当社に仕事が来ている。
それでもリーマンショック以降の売上高は減少傾向にあるので、今後は、新規のお客様も増やしていきたいと考えている。そのために、自社ホームページの制作や外部企業との連携により新商品等の開発を目的とする協創マッチングフォーラムに参加するなど川崎市産業振興財団の支援メニューを積極的に活用している。

営業と開発を橋渡し役である営業技術の役割を果たすことを期待される

「オーダーメード製品は、お客様が希望していることを機械に反映して製作する仕事だ。その他に、メーカーとして標準品を作って展開していく仕事もある。現状は標準品を開発する段階には至っていないが、今後は2つの仕事を同時に展開する計画だ」と佐藤社長は語る。医療機メーカーの依頼で、病院向けにバーコードを使った“注射薬の読み取り装置”を作った。
この製品を導入した病院の医師に喜ばれ、当社指名で新たな製品を開発する話も来ている。
ここ数年間は売上が安定しなかった。売れると分かると大手企業が市場に参入してくるなど経営環境が大きく変化したからだ。そこで、5年ほどかけて負の遺産であるバグや不具合などの技術課題を徹底的につぶすことに注力した。その結果、昨年からクレームが一切無くなった。「技術課題を解決したことにより、気持ちが解放され、新たな方向に向かう気持ちになった」と佐藤社長は語る。従来製品の薬科機械、バーコードやICカードを使った電子機器の応用製品の開発に今後も注力し、従来の製品を強化することで売れる製品の開発を目指す。
廃業する企業が増えたことから仕事の依頼も増えている。以前のように営業と開発の橋渡し役である営業技術を担当する人材が企業からいなくなったからだ。困って当社と一緒に仕事をするようになった企業も多い。佐藤社長は、“柔軟性とフットワークの軽さ”を当社の経営理念に掲げる。
今後は、経営環境の変化に合わせて、基本設計を含まない組立加工のみの仕事も積極的に受け入れるなどお客様の抱える課題解決も目指す。

川崎市産業振興会館
トップへ戻る