株式会社 すずや

旬の食材、旬の野菜、蔵元直送の酒、暖かい接客で気楽に楽しめる居酒屋

すずや 代表写真
社長 蟹江 脩礼
事業内容 飲食店経営
企業名 株式会社 すずや
創業 1999年(平成11年)4月
所在地 川崎市中原区下小田中1-6-2
電話 044-754-0484
代表 蟹江 脩礼(カニエ ノブユキ)
URL http://www.suzuya-group.com

武蔵の国と相模の国の“くにざかい”を流れる多摩川の肥沃な中流域の農産物と、築地の新鮮な魚介類を毎朝仕入れ、素材の美味しさを最大限引き出した地産地消の創作料理を提供。さらに全国を足で開拓した蔵元からの直送の酒と、スタッフの人情味にあふれた暖かい接客で、ゆったりと心温まる時間を過ごせる居酒屋を取材した。

伸び伸び育ったスポーツ少年が迎えた人生のターニングポイント

武蔵野の湧水を集めた“野川”が多摩川に注ぐ「二子玉川」で、1975年(昭和50年)7月に誕生した蟹江社長は、自然と触れ合う環境の中で伸び伸びと成長し、幼・少年時代は父が地元道場で道院長を務める少林寺拳法の他に地域のスポーツ少年団に所属し、終日飛び回っていたとのこと。思春期の一時期は、厳格で強い父への反発から不良仲間と付き合うこともあった様だが、のめり込むこともなく強くたくましく成長したようである。
蟹江社長に訪れた一つ目のターニングポイントは、高校時代の配管工のアルバイトであったという。プロの職人が見事な施工工事をこなしていく事に驚き、また日当8千円という高校生にとっては飛び抜けたバイト料を得て、「技があり頑張れば頑張るだけ稼げるのだ」と多感な少年は目からうろこであったという。そしてほとんど誰もが選ぶ大学進学ではなく、東京ガス協力会社での配管工の道を進んだ。もともと器用な上にのみ込みの早い蟹江青年は、ほどなくトップクラスの技術を身につけ二十歳そこそこで一流会社の課長級の収入を得るまでになった。
そのころ精密機械部品メーカーの社長であった父親から強く求められ、父の会社に転職をしたが、ほどなく第二の人生のターニングポイントに向き合うこととなった。母親がかねてより心に温めてきた“小料理屋の経営”を実行に移すこととなり、蟹江青年は母親と共に歩む道を選んだ。

頑張り社長の“一念発起”と“比類ない努力”で多店舗展開

1990年(H11年)4月武蔵溝ノ口で、母親、妹に加え知人の料理人の応援を得て、14坪27席のこじんまりした居酒屋“すずや”(母親の名前から命名)がオープンした。蟹江青年23歳の時であった。
社長は言う「勢いしかありませんでした!」もともと実行力があり、決断の速い社長ではあるが、開業に向け会社勤めのかたわら居酒屋でアルバイト修業をしたぐらいで、競争の激しい業界で客を確保できるほど甘い世界では無い。「師匠の居ない世界で、客の反応に一喜一憂し、猛勉強と、働きづめでした」と当時を振り返る。負けず嫌いでくじける事が無く、幸い手先が器用であること、そして何よりアットホームな店づくりで、徐々に固定客を増やしていった。
創業2年目(2001年)、まだ苦しい時ではあったが武蔵中原の空き物件を紹介され、多店舗化を決断し、2号店“鈴や”をオープンした。さらに店舗の拡張と共に3号店“すず家”自由が丘店、4号店“朝市酒場(現:Kitchen SUZUYA)”武蔵中原店、をドミナント(*)展開するまでになった。
(*)ある地域に集中的に出店する戦略で、物流、販促、コスト削減等のメリットがある。
昨年(2013年)12月には、から揚げ&惣菜“陽だまり屋”をオープンしている。これは昨今の高齢所帯、単身者、働く女性などの増加を見据え、すずやの経営理念である“お客様に四季の食文化を通じて喜びと満足、安心安全をお届する(要約)”による中食産業への進出である。

事業を支える“人柄”“人脈”と、“優秀なスタッフ”に恵まれて

競合の激しい飲食業の中で、これほど地元に愛され発展する秘密に迫ってみたい。
社長は「居酒屋は“料理”“酒”“人”のバランスが肝要と考えています」という。
「野菜は宮前区の山田農園さんと契約し毎朝直に取りに行っています。野菜は畑から採った新鮮なものが味も濃厚で一番美味しいです」、「鮮魚も創業直後に指導頂いた業者さんとずっとお付き合いしています」、「お酒は蔵元まで足を運び、自分が味わって厳選しています」等々・・。業者さんとは長くお付き合いすること、お客様の感想をフィードバックすること、によって信頼関係を築いているという。魚河岸の兄さんにも愛される人柄によって培った人脈が他店との差別化を生み出している。
「居酒屋は人と人のつながりの場です。お客様に居心地の良い環境を作り出すには“スタッフ”の役割が重要です、店のキッチンスタッフは全て社員としています」。社員は月一度、アルバイトは3~4カ月に一度、全員集会を開いている。「難しい学習の場では無く、楽しくワイワイと話し合う場としています」、スタッフ同士が仲良く信頼していれば、お客様との信頼につながるという。
蟹江社長は常にノートを携帯している。思い付いた事、気がついた事、アイデア等を書きとめ、既に十数冊となる。これが“すずやの経営理念”“すずやの精神”“すずやの思い六カ条”となり、すずや経営のバックボーンとなっている。

経営目標は“ビッグ”、しかし内容の充実が最優先

「当店の料理は“豪快”です。そして経営目標は“ビッグ”です。しかしただ性急に大きくするという事では無く、身の丈に合った、内容の伴ったビッグでなければならないと思っています」
勉強家の社長は、田町の駒八オヤジさん“居酒屋経営塾”の一期生であり、また機会ある毎にセミナーや書籍に親しんでいる。創業当時の若さと勢いを持続しながら高い研鑚に裏打ちされた道を進んでいるようだ。「日本の食文化が、世界無形文化財に登録されました、私も微力ながら四季折々の日本の食文化の継承者でありたいです」社長の夢はビッグに膨らんでいく。
緊張の連続である日常の中で、週に一日は家族(妻2男1女)との接触を大切にしている。「妻は家庭も会社も良く支えてくれています。私は子供に自信をもって接することが出来る父親であり続けたい」、「小4の長男が“パパの居酒屋を継ぎたい”と言うんですよ」、拳法で鍛えた相貌が大きく崩れる一瞬でした。

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