株式会社 天然素材探索研究所

動物試験による有効性・安全性評価で医薬品・機能性食品の研究開発に貢献する企業

天然素材探索研究所 代表写真
社長 青山 美子
事業内容 機能性食品素材などの有効性試験受託事業、実験小動物用床敷材「パルマス®」の製造販売事業、テクニカルスタッフ派遣事業
企業名 株式会社 天然素材探索研究所
創業 1999年(平成11年)10月
所在地 川崎市川崎区殿町3-25-13 川崎生命科学・環境研究センター(LiSE)4F
電話 044‐287-2551
代表 青山 美子(アオヤマ ヨシコ)
URL http://www.scitex-mrc.co.jp/

設立当初から医薬品・食品メーカーをはじめ、国公私立大学を含む研究機関からの委託を受け、マウスやラットなど小動物を用いた医薬品や機能性食品の有効性・安全性試験、動物試験で得られた血液、尿、組織等の検体の分析試験を受託しています。また、これまでの実験小動物の飼育経験をもとに開発した床敷材“パルマス”や医理化学実験器具洗浄剤“クリアウォッシュゼロS”も販売しています」と当社の事業内容を青山社長は語る。
当社は、血糖上昇抑制作用、脂質代謝改善作用、抗肥満作用、コレステロール上昇抑制作用及び抗動脈硬化作用などの有効性試験、毒性試験、変異原性試験、抗原性試験、生殖試験及び皮膚刺激性試験などの安全性試験、肥満モデル、卵巣摘出モデル及びアトピー性皮膚炎モデルなどのモデル動物の作製を得意とする。

特定保健用食品の登場により小動物試験の受託依頼が増加する

「私は3代目の社長で、初代の社長が実験小動物を用い、製薬会社が開発した様々な医薬品の動物試験を受託していました。当時、製薬会社とタイアップし、毎回、小動物1,000匹単位を用いた大規模試験を実施したことにより、当社は実験手技を社内で確立できました。また、特定保健用食品の認可制度が始まった頃で、機能性食品素材を用いた動物試験の受託も増えました。血糖上昇抑制作用を証明する糖代謝試験など機能性食品ならではの科学的データが動物試験により判明しました。食べることは人が生きていくうえで必須であり、食べることで健康が維持できる機能性食品の開発に貢献できることにやりがいを感じています」と青山社長は穏やかな口調で語る。
機能性食品素材を用いた動物試験の依頼が増えた結果、現在も動物試験の売上割合は6割と高い。
会社設立当時は、都内で動物試験を実施できる施設がなく、千葉県木更津市のかずさアカデミアパーク内にある中小企業基盤整備機構のかずさバイオインキュベータに入居した。入居中に動物試験用の床敷材が産業廃棄物の排出量として占める割合が高いことに着目した。動物試験業界での床敷材は木クズが主流だが、木の持つ揮発性成分が実験に影響する可能性があり、プラスチック樹脂の床敷材では小動物の皮膚に傷が付き、廃棄処理がし難い課題があった。また、実験小動物は疾患のあるモデル動物も多いので、安全な床敷材を開発する必要があった。そこで、当社で開発した製品が木と紙の中間的構造を持つ床敷材パルマスだ。
「販売価格は安価ではないが、廃棄物重量を約3分の2に軽減し、ラットやマウスなど小動物が繁殖のための巣作りを効率良く作り上げるという機能性の高さで勝負する方針を打ち出し、様々な研究施設へ紹介しました。中小企業基盤整備機構の販路開拓コーディネート事業を活用して、理化学研究所や産業技術総合研究所への納入にも成功しました。仕入先の材料メーカーも実験小動物用の床敷材という新たな用途に期待しています」と青山社長は笑顔で語る。
大規模な動物試験受託施設でも使われるようになった床敷材パルマスの昨年の売上高は前年比25%と増加している。

川崎生命科学・環境研究センターへの移転によりお客様の来社数が増加する

「当社は、小規模の動物試験施設であるがゆえに小回りを利かせて、医薬品や機能性食品の開発段階の素材の有効性や安全性など動物試験を実施した後に、血液、尿、組織等の解析を行い、データをお客様に提供します。また、動物試験の委託先から検体の分析試験の依頼も受ける場合もあります。当社はnon-GLP施設ですが、GLPに準拠した施設環境の中で、さまざまな素材についての評価を受託できます。お客様の応用研究への橋渡し役となることを目指して日々精進しています」と青山社長は自社の存在価値を語る。
限られた予算内で動物試験により素材を評価したい顧客に、様々なデータが取れるように実験プランを組むサービスを提供している。実験中や実験後の動物の様子や実験データの結果について顧客とディスカッションするサービスも行っている。例えば、「動物の毛並みが、悪くなっていた」とか「採血の際に血液がドロっとした感覚があった」など細かい気付きを情報提供することが強みだ。その為、顧客の担当者が当社を動物試験の委託先として代々引き継ぐことによりリピート顧客が増えてきた。
「川崎生命科学・環境研究センター(LiSE)に移転したのは、バイオジャパンに出展した際にLiSEを建設した大成建設㈱がライフサイエンスを主要事業とする企業を探していたことから声を掛けてもらいました。川崎市の中小企業支援の後押しもあり、移転が実現しました。移転前と比べると、距離的に利便性が良くなったことでお客様が気軽に来社されるようになりました。また、お客様が実験できるスペースも社内に確保したので評判は上々です」と語る青山社長は川崎市への移転の効果を実感している。
「人が健康維持・増進のために食する、安全な素材を開発するための基礎的研究の場」が当社のキャッチコピーで、大手の動物試験施設では対応が困難な短納期かつ小規模の動物試験にも対応している。その結果、動物試験の実績数が累計228件と伸びている。

動物試験の実習トレーニング施設と相談窓口の開設を計画する

「動物試験のトレーニング施設が無いという市場のニーズに応えて実習場所を提供するサービスを考えています。また、動物試験受託では中小企業が温めている食品素材を評価できる実験モデルを作ることやパルマスシートの改良品の開発も行っています。動物試験のデータが無いことで販路が広がらない中小企業にも動物試験の方法を提案できることや地の利を生かして、相談窓口を開設することも計画しています」と青山社長は今後の取り組みを語る。
自分達の培ってきた動物試験のノウハウの提供に加え、良い素材であれば共同研究への橋渡しなど大学への紹介も計画している。その際には、当社スタッフを動物試験や分析のために大学に派遣できる副次的効果も狙う。
青山社長が代表に就任した当時は、リーマンショックで経済状況が落ち込み、顧客の経営状況も厳しかった。動物試験の受託が少ない時に、小動物実験用の床敷材パルマスの営業に注力したので、現在のパルマスの売上に占める割合は4割まで成長した。
「将来的には、動物試験の受託については中小企業とタイアップして、見え隠れしている市場を引き出すことや、パルマスの販売については少量購入でも機能性を評価し長く使っていただけるお客様を増やしていく方針です。そして、売上が上がればスタッフも増やしていきます」と語る青山社長は、LiSEの入居企業や今後殿町地区に進出するライフサイエンス分野の企業との交流や連携を通して最先端研究開発への貢献を目指す。

川崎市産業振興会館
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