株式会社 渡久クリエイト

Made In Japan にこだわった安心の美顔器で美肌をケアする


代表取締役 渡部 文吾
事業内容 美容機器の開発・製造
企業名 株式会社 渡久クリエイト
創業 1991年(平成3年)3月
所在地 神奈川県川崎市高津区久本3-10-9
電話 044-822-0388
従業員 5名
代表 渡部 文吾(ワタナベ ブンゴ)
URL https://wqc.jp/

顔のたるみや毛穴の汚れなど肌の悩みを抱える人は少なくない。美顔器は、自宅で簡単に使える機器だが、目的や手段などの違いで多様な機器が発売されている。高津区の株式会社渡久クリエイトでは、微弱な電気を制御したり、高速振動を利用したりすることで美容液の肌への浸透や新陳代謝を促す特徴のある美顔器を開発・製造している。産業用電気機器の開発を祖業とする同社が美容機器に至るまでの足跡、今後の計画を代表取締役の渡部文吾氏に伺った。

顧客の声に耳を傾ける姿勢で製品開発

渡部氏は、愛媛県松山市近郊で生まれた。実家が兼業農家であったため、小さい頃から農作業を手伝うことで“作業の段取り”を覚えていった。地元の大学の経営学部に進み、体育会やアルバイトに明け暮れたものの「自分が何をすべきかわからない時代」と振り返るように覚悟が決まらないまま学生生活を過ごした。そのため就職に際しては、恩師に勧められるまま大手計測器メーカーに入社する。すると、そこで持ち前のビジネス感覚が刺激され、通関、経理、購買、技術など様々な仕事に懸命に取り組んだ。そして、熱心さが認められ、最終的には計測器の開発まで担当するようになる。少年時代は小刀で遊び道具を自作するなど、ものづくりは好きだったが本格的な経験はなかった。「門前の小僧習わぬ経を…という感じで、面白さに魅かれ開発にのめり込みました」と渡部氏は振り返る。

8年ほど勤めると、「良い会社だがこのままでよいのか?」という思いが強まり、知り合いのドリル専門メーカーに転じ、営業を任されることになった。競合の大手企業に真似される懸念はあったが、顧客の意見をいち早く反映して開発した機器は、展示会で実演販売すると飛ぶように売れていった。十分な業績も上げ、会社には目に見える貢献ができた。入社後8年ほど経つと、再び「このままでよいのかな?」という気持ちがもたげてきた。

そこで不惑を迎えた1991年、一念発起して高津区の自宅を本社として有限会社渡久クリエイトを設立する。ただ、明確な事業目的はなかったので、流れのままに付き合いのあった電気関係の会社に出入りして、在庫品などを大量に預かり、別の知り合いの会社に売るなどして糊口をしのいでいた。そうしていると、「こんな機器は無いか?」という相談が種々寄せられるようになってきた。その中の一つに開発魂を刺激された渡部氏は、93年に非接触の検電器を開発した。古い建物や展示会場などでは、電線がどこに埋設されているかがわからず工事に支障をきたすという相談が開発の起点であった。続いて、電圧等の測定値を音声で読み上げる音声合成式テスターを開発する。これも目の不自由な方々からの声を受けた製品である。「大企業と話し合い試行錯誤して作り込みました。生みの苦しみはありましたが、相手の規模も大きかったので売れたのが良い思い出です。今は、大企業にはアポイントがないと入れず、電話さえつないでもらえないので、こんなことはできないですね」と当時を懐かしむ。

こういう顧客の声を大事にする開発姿勢は、現在でも変わらない会社のDNAとなっている。得られた課題はストックしておき、解決策がひらめいたら商品化するようにしている。

想像していなかった美容機器業界への進出

1994年、受託開発分野で知る人ぞ知る会社となっていた同社に転機が訪れる。その噂を聞きつけ、ある商社が飛び込んできた。「明日、納品予定の機械が100台あるが、動作せず困っている」という相談であった。解決できるかの確証はなかったが、渡部氏はひとまず現物を見てみることとした。すると機械の問題点に気づき、対策を施して無事解決した。その商社はたいそう感謝し、後日美顔器の開発案件を紹介してくれた。美容関係など想像もしていなかったが、これまで計測器などで培った電気技術が活きる案件だった。その開発に成功した製品が、世界に先駆けて1996年に発表された携帯用超音波美顔器VIRULE(ビルール)である。同社にとって美容機器のODM(開発・製造受託)メーカーとしての初仕事となった。テレビショッピングで商品が紹介されたこと、そしてヒットした時の売上の上がり方など、民生品市場には新鮮なことが多くあった。VIRULEは、15年近く販売実績が続いた息の長い製品となった。量産製品を得た同社は安定した基盤を確立し、95年に増資して株式会社化した。しかし、「資金力がないので細々とやっている」と謙遜する渡部氏はいたずらに規模を追わず、人数も増やさず、ただ品質保証をして信頼性の高い製品作りに徹した。

Made In Japanの美容・健康機器のメーカーとしての取り組みを鮮鋭化

美容機器業界に入り20年ほど経った頃、渡部氏は危機感を抱くようになった。当時、大手の美容機器卸売が倒産するなど業界内の淘汰が進んでいた。堅実な経営はしていたものの、業界の流れに左右されるODMのリスクを感じていた。一方で、論文をひも解いて掴んだ超音波や低周波電気の原理を基に、今までに無い方法で製品を作ってきた自負もあった。

「美容機器メーカーになろう」渡部氏は決意した。その気持ちが通じたのだろうか、追い風が吹く。インバウンドブームが到来し、訪日外国人が高い関心をもって日本の美容機器を求めるようになったのだ。当社独自の電流技術や高速振動技術を投入し、肌の新陳代謝を高める美顔器のÉclair(エクライアー)、EMS機能を搭載したBEAUTRE(ビュートレ)を立て続けに製品化した。20年から発売を開始した美顔器のTillet(ティレット)は、2年の開発期間をかけてLED照射機能を追加したもので、従来の機能に加え、光線による更なる美肌効果が期待できる。

一方で、機器メーカーとなり販売を自社主導する大変さも痛感している。販路の選択、卸値の設定などに失敗した経験もある。ものづくりに専心していた時代には意識しなかった広告戦略の必要性も改めて突き付けられている。そんな状況下で強力な推進役となっているのが、子息の悠氏である。2019年からは、悠氏が中心となり、動画広告、インフルエンサーとのタイアップ、Instagramなど時代に合わせた手段で、Tilletのブランド強化を推し進めている。

 

 

 

 

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